『ザ・アンリマーカブル・ナイト』④
寝なきゃいい。
寝る前に食べると太る。それは問題だ。しかし空腹だ。……ならば、寝なければいい。
たきなや千束の中には存在しない発想だった。
まさにコペルニクス的転回であり、常識を打ち破る新たな、そして見事な回答と言えた。
これまでも時の刻みに人間は支配され続けてきた。
時計など想像もされなかった原始時代であっても、日は登り、沈んだ。その間――昼と夜に人々はスケジュールを組み、それに従って生きた。
当然それは、昼の明るさの利便性や夜の危険性などから必然的にそうせざるを得なかったがゆえである。