雲吞麺ワンタン麺
雲吞麺が好きだ。ワンタン麺と書いてもいい。続けて書くと、詩的な響きもある。ワンタンメンと全部カタカナにするとなんか違う。
先日、ちょっと残念なワンタン麺を食べた。
ワンタンの味が薄い…そこだけは譲れない。
ワンタンの具はしっかり味で、スープが物足りないくらいの塩味であって欲しい。
そしてチャーシューが、硬くて、ちょっと獣臭くて、そして味がしみていなかった。
こうなるとフライドガーリック?オニオン?も邪魔にしか感じない。どこかで塩気が決まってないと、脂も香味も生きてこないのだ。
味玉の印象が残っていないくらい、何重かにがっかりした。
不味くはないのに、後味の悪い思いでお店を出た。口の中にはフライド何かの臭いがこもっている。小松菜の茎の繊維が奥歯に挟まっている気がする。
頭の中にあるがっかりを表現したいけれど、悪口みたいなものを読んでも誰もハッピーにはならないし、どうしたらいいんだろうと帰宅してからも布団に入ってからも考えていた。
それにしても。この前食べたワンタン麺はよくできてたなあ。
たまたま用事があって降りた駅で、時間調整のために入ったラーメン屋さんの海老ワンタン麺。まずこのナルトが可愛い。
青菜が乗っているのもいい。そしてメンマがしっかり味なのもいい。チャーシューはパサつかず獣臭くなく、いい塩梅に味がしみていた。
そして!ワンタンを食べてびっくり。もう1口続けて食べた。「二度見」ならぬ「二度食い」して確かめたくなったのだ。なんか、紹興酒みたいな引っ張られるようなコクがある。
細くて固めのストレート目の麺をすすり、よいバランスのあっさり塩スープを飲み、合間にしっかり味メンマを挟んで、ワンタンを繰り返し齧る。紹興酒、料理酒じゃあこれは出ないよな、やっぱ紹興酒なのかな・・・ワンタンは二口で飲み込まれてしまう。答えは出ないし店主に訊く勇気もない。
途中で海苔を食して磯の香りでブレイクしながら、あっという間に食べ終わった。謎めいたいい女、みたいなワンタン麺だった。滅多に用のない駅だけど、次に降りる時にはまた行きたい。
そして、その後の用事が私にとってインパクトが大きすぎて、しばらくこのワンタン麺のことは忘れていた。
忘れていたはずが、ちょっと残念なワンタン麺に出会って、一気に思い出した。スマホの写真データみると、いた。そうそう、この日。ああ、画像見てたら味も思い出したけど、美味しかったよな。
まるで、そんなに乗り気でない誘いに乗ってデートしたら案の定楽しくなくて、帰宅してふと卒業アルバムを開いたら、目だたなかった1人のクラスメイトが急に目に飛び込んできて気になってしまう、みたいに。
この思い出が美化されたものなのか、どうか自分でも自信がない。
そうだ、こんなにラーメンについて無駄にいろいろ思ってしまうんだから、これをnoteに書きためてみよう。
それが、ちょっと残念なワンタン麺と、謎めいたいい女みたいな・目だたなかったはずなのに妙に気になりだした元クラスメイトみたいなワンタン麺がもたらしてくれたアイディア。
そしてこの翌日に、私は不味いラーメン屋に行きあたり、このアイディアを実行したのでした。その話はまた。
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