広州の長期賃貸マンション

《 福福の知りたい広州！vol.8 》

こんにちは。福福です。

今回は、長期賃貸マンションについて触れてみたいと思います。

『廣州日報』2021年２月２5日「春节期间广州租金保持平稳，带出“5+2”居住模式。市区公寓租住便利，城郊大盘安放生活」より

「ある日残業でとても遅くなり、車で帰る途中危うく事故を起こしそうになりました。すぐ、会社の近くに部屋を借りることに決めたのです。そうすれば、残業や付き合いで遅くなってもすぐ帰宅できますから」　

海珠区琶州エリアに勤める鹿さんは、“職場近くの長期賃貸マンション＋郊外の自宅”という居住スタイルをとっている。通勤時間がかからないので、平日はこれまでより2時間は長く眠れるようになったとのこと。鹿さんのような考え方のホワイトカラー層の人々が増える傾向にある。

長期賃貸マンション運営会社の関係者によると、広州市内に家を持ちながらも、通勤の利便性を考慮し、平日は会社に近い賃貸マンションに住み、週末は自宅で過ごすという人が少なくないとのこと。

記事の後半は、

「借り手の権益を保障する為、広州市は家賃や敷金などに対する管理監督強化の実施」

についての紹介が続きます。

【福福より】

長期賃貸マンションは、立地の良さや機能性の高い仕様などで、比較的若いホワイトカラー層を中心としてニーズが高まっており、不動産業界の新しい市場として、多くの賃貸マンション運営会社が誕生しているそうです。

その一方で、運営会社の破綻も相次いでおり、昨年末には業界最大手の「蛋殻公寓（ダンケ・アパートメント）」が資金繰りに窮し、経営破綻がささやかれるなどしています。

『廣州日報』記事タイトルの「“5+2”居住模式」というのは、「平日5日（賃貸）＋週末２日（自宅）の居住モデル」という意味です。
※このような生活スタイルを取れる人は、中国でも一部のエリートだそうですが。

記事冒頭の「鹿さん」、記事中の表記は「鹿小姐」。
郊外に不動産、そして車を所持し、更に職場近くの賃貸マンションを借りることのできる「鹿小姐」は、一体おいくつぐらいの方なのだろうと思いつつ記事を読みました。

ライチ局長！以前に比べ賃貸物件の選択肢が増えているようですが、広州の日本人駐在員の方々は、どのような住居を選んでいるのでしょうか？

【 ライチ局長より 】

今回、福福さんの《 福福の知りたい広州！vol.8 》は、投稿がいつもより１週間遅れてしまいました。申し訳ありません。

今回の長期賃貸マンションに関してですが、時代を反映した状況の一つですね。

一つに、都心部では既に開発の余地がなくなり、新築のマンションが売りに出されることがほとんどありません。そこで、会社近くに住居を構えようと思ったら、中古物件を購入するか、賃貸の方式を取るしかないということになります。

ちなみに、中国では普通、賃貸目的でビルを建設したり、アパートにしたりという、日本でいう「賃貸マンション」や「賃貸アパート」はほとんどありません。

土地の所有権を持てないお国柄ですから、使用権を取得したら、開発をして、販売して終わり、という方法を取りたがるのです。

したがって、いわゆる賃貸物件というのは、既に分譲されたマンションの個人オーナーのうち、賃貸に出したいというオーナーがいたら個別に賃貸するという方法になります。

そして、それを取りまとめているのが賃貸の不動産仲介業者となりますが、中には自分たちで物件を複数件借り上げ、オシャレに内装を仕上げて、顧客に貸し出す…、いわゆるサブリースのような商売が起こってきます。

今回の記事で福福さんが取り上げている「蛋殻公寓（ダンケ・アパートメント）」もその一つだと思います。基本的に自分で物件を所有している訳ではなく、顧客から受け取った賃料から、自分たちの利益を差し引き、それぞれの大家に支払うという形態を取ります。

したがって、より経営が安定するように長期の契約を結びたがりますが、今回のコロナのように顧客が離れてしまう事態が起こると、収入がないのに大家への賃料支払いだけが発生し続け、経営状況が一気に悪化し、ある日突然姿を消す…といった事態が起こってしまうのです。

そうなると、家賃を支払ったはずの賃借人と、家賃を受け取っていない大家だけが残され、困り果ててしまう…ということになりかねないのです。

以前、福福さんが記事でも取り上げていたように、現在の中国人の労働環境はどんどんブラックになっていっていて、労働時間は極めて長くなってきています。

そこで、この記事のように通勤時間を少しでも減らしたいというニーズがある一方で、少し高級な単身向け賃貸マンション市場を安定させていくのは、まだまだ課題があるようですね。

なお、中国に駐在している日本人は、概ね、①大家から仲介業者を経て賃貸するマンション、②ホテルのアパートメントのようなサービス付きアパート、のタイプに分かれるようです。

①の場合には、くれぐれもサブリースの物件を賃貸しないようにしたいところですね。

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