広州人の食卓の変化

《 福福の知りたい広州！vol.7 》

こんにちは。福福です。

今回は、廣州日報「精明主妇（賢い主婦）」コーナーから思い至った、中国人家庭の食卓の変化について少し触れてみたいと思います。

「精明主妇」とは、新聞の後ろの方のページに毎日掲載されている「天気予報」や「広州市内のコロナ感染状況」などを中心とした「身辺紙（身近なニュース）」のコーナーの一部です。
内容は、広州市価格監測センターが発表する生鮮食品の標準小売価格の一覧になります。

ご参考までに『廣州日報』2021年２月２0日「精明主妇」より抜粋して記載します。
広州市の物価についてなどは、また別の機会にライチ局長に聞いてみたいと思います！

広州市発展及び改革委員会　広州市価格監測センター 2021-2-19発表
＜平均小売価格　単位：キロ　※1元＝16円で計算＞
レタス　　　　　119円
大根　　　　　 　74円
南瓜　　　　　　108円
卵　　　　　　　181円
皮付き豚肉　 　1,138円
牛肉　　　　 　1,821円
ソウギョ　　　　451円
※下処理済み

【福福より】

「精明主妇（賢い主婦）」というタイトルと内容を目にした時、食材の鮮度や値段を吟味し、買い物、調理をする市井の人々の姿が目に浮かびました。

しかし、今は仕事などに追われ、家族の好みなどを考慮しながら食材を購入し調理する時間はとても捻出できないという人が大部分です。
同時に、食事のテイクアウトやデリバリーサービスはますます便利になり、家族それぞれが好きなものを帰宅時間に合わせて注文し済ませるというスタイルも増えてきていると聞きます。

経済や技術の発展に伴い、人々の家庭の食卓にも大きな変化が生じていることを実感しています。

ライチ局長は、広州で料理の腕をふるう機会はありますか…日々の食事はどうされていますか。

また、ライチ局長から見た、中国の人々の家庭の食卓の変化はいかがでしょうか？

【ライチ局長より】

実は私は、日本でも中国でも、料理は苦手で、「料理の腕をふるう機会」という言葉に全く縁のない生活をしています。

以前は、中国で一人で食事をしようと思ったら、飲食店は基本的に円卓で、複数人で食べるところばかりだったので、一人でちょうどいい分量がバランスよく食べられる店を探すのに一苦労していました。

ところが、00年代くらいから、中国人も若い年代を中心に生活のリズムが少しずつ変化し、仕事で残業などが増え、みんなでゆっくり食事をする時間が確保できなかったり、料理を作る時間がなかったり、といったことが起こるようになりました。

それに合わせるように、一人でもすぐに食事が取れるファーストフード的な飲食店が増え始めました。味千ラーメンや吉野家が、中国のあちこちにできていたのもこの頃だったように思います。

そして今、デリバリーの発達で、とうとう外で一人で食事をしている人を見かけることも減りました。外で一人で食事を取るくらいだったら、早く家に帰って、動画やゲームをしながら、食事を取る方が楽でいいということだと思います。

そうなってくると、飲食店の形態も変わってきますよね。①誰かと食事を楽しむ（外食そのものを楽しむ）、②そこだけの味を体験する（デリバリーできない）、③ランチタイム、移動中など（デリバリーの方が不便）などの条件が揃わないと外食に行く機会は減る一方だと思います。

一方、デリバリーの市場は細分化が進んでいますので、①完成品、②半完成品、③食材という３種類のデリバリーが可能になっています。この中から、日々何を選んで何を食べるのか、ということは個人の好みになります。

また、中国は元々共働きが基本で、夫婦ともに忙しくて時間が取れないというのはよくあることです。「奥さんが毎日料理をする」という伝統が共産主義で一旦なくなったところから今の社会が成り立っています。

そうなると「料理をする」ということは、もはや料理が「好きか嫌いか」という選択肢の一つ、もしくは「どちらが節約になるか」という選択肢の一つになります。
「ある程度の収入」「料理が好きではない」「時間がない」なら迷わずに「①完成品を選ぶ」という行動様式になっているように思います。
特に、若い世代の家庭では、その辺の合理性は更に顕著です。

そうなると「家庭の味」のようなノスタルジックなものは、２１世紀に徐々に姿を消していくのかもしれません。
例えば、週末のDIYは、自分で材料を買ってきて自分好みのモノを作り上げる特別感が楽しみの一つだと思います。料理もそのうち、そんな趣味の一つになるのかもしれませんね…。

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