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ソムリエ野尻 南米ワイナリーツアー②
こんにちは。ソムリエ野尻です。先日はチリ到着1日目の様子をお伝えしましたが、本日はチリ2日目、メインテーマのワイナリー訪問日です。
ウンドラーガワイナリーへ
ウンドラーガはウンドラーガは、1885年フランシスコ・ウンドラーガ氏により、マイポ・ヴァレーの中心地に設立された、チリ最古のワイナリーの一つです。
チリワインと言うと日本ではリーズナブルなワインと言うイメージがありますが、このウンドラーガは古くからプレミアムワインを生産している為、1960年代にはベルギー国王夫妻や、イスラエルの首相、そして、人類初の月面着陸に成功したアメリカのアームストロング船長もウンドラーガのワイナリーに訪れています。このような歴史があるのはチリを代表する名門ワイナリーである証です。
ホテルから車で1時間ほど走るとワイナリーに到着します。
チリの首都 サンティアゴは大都会で大きなビルもたくさんあり、東京や大阪ともあまり変わらないなと思っていたのですが、車で30分くらい郊外まで出ますと土壁や板壁の平屋建ての家がたくさんあり、まだまだその辺は先進国とは一線を画す風景があります
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まずはぶどう畑に向かいます
ワイナリーに行くと必ずぶどう畑を入念に案内されます。ワインはぶどう作りが全てと言っても過言ではありません。6月は晩秋→初冬の時期ですので、ワイン用のブドウは収穫後で、木の葉も枯れてしまっています
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我々のような見学者のためにブドウ品種ごとの畑もあります。撮影し忘れましたが、テンプラニーリョやアルバリーニョのようなチリではあまり見かけないブドウも実験の意味もこめて植えられています
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そして、畑を見ると必ずこの話になります。土壌の話。地層が見えるように掘り込まれた場所が畑の通路そばにあります。
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日本の畑や水田と違い、ワイン用のブドウ畑はこのような石や岩がたくさん含まれていることが多いです。水はけの良い土壌が多いため、木の根は水を得るために地中深くへとどんどん根を伸ばします。そうすると地中からの栄養分や石や岩からのミネラル分もブドウに良い影響を与えます。
畑の後はワイナリーへ
ざっと見て回ったブドウ畑は見学畑の要素も強く、午後には特別な畑を見に行きますとのことで一旦ワイナリーの中へ。まずはワイン工場に向かいます。
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こちらはステンレスで作られた最新鋭のタンクです。この中で収穫したブドウジュースはワインに変わっていきます
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ステンレスタンクの中からプラスチックのバットにブドウジュースを少し出し、赤い服の女子が手に持っている袋からワイン用酵母をジュースに混ぜているところです。よく混ぜた後でまたステンレスタンクの中に戻すことでタンク全体でアルコール発酵がはじまり、タンクの液体が徐々にワインへと変わっていきます。これまであまりこういう酵母を混ぜ込んでいるような工程をワイナリーで見たことは無いので新鮮な気持ちになりました。
ステンレスタンクでワインに仕上げた後は熟成の工程に移ります。
ワイナリーと言えばこの風景ですよね
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ワインは樽で熟成させることで香りはより華やかに、味わいはまろやかに変化していきます。ただし、樽は非常に高額ですので、全てのワインを樽熟成させるわけではありません。コクのある赤ワインや白ワインである程度高額なものが樽熟成されている事が多いです。
最近流行の熟成方法がこちら
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テキストでは何度か見たことありますが、現物ははじめてみました。ステンレスタンクで出来上がったワインをこの卵形のコンクリートタンクで熟成させます。そうすると、タンク内でゆっくりとした液体の動きが続き、オリとの接触も増え、とてもまろやかな味わいのワインに仕上がると言うことでした。ピノノワールやカリニャンと言った軽めでエレガントなワインに使っているそうです。
醸造や熟成工程の見学も終え、次はワインの味見、テイスティングへと進んでいきます。
その途中でとてもチリらしいお部屋がありました。
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これが何なのかは正直分かりませんが、ミニ歴史博物館のような施設があります。これまでヨーロッパやアメリカのワイナリーにいくつも行ってきましたが、こう言った自国の歴史を表現したお部屋があるワイナリーは初めてでした。こういった取り組みは非常に素晴らしいと感じました。
さて、ワインの味見をしましょう
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ワインの醸造責任者が製造方法とか産地の違いとかを分かりやすく説明しながらのテイスティングが続きます
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チリは南北に長い国
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チリのワイン生産地は、南北1,400km(南緯27〜39度)に及びます。良質なワインを生み出す環境が整っているチリは、各生産地によってテロワールが大きく異なるという特徴があり、ウンドラーガでは、チリのテロワールと品種の個性を反映したワイン造りを行う為、チリの銘醸5地域に6自社畑、合計1,275haを所有し、ぶどう造りからワイン生産まで手掛けています。
ウンドラーガは、品種の個性と、多様なテロワールとを掛け合わせることにより、洗練された高品質なワインを作り出しています。
南半球なので北が暖かく、南が涼しい。北では良質なカベルネやシャルドネ、南ではピノノワールやソーヴィニヨンブランと気候に適したブドウ作りが行われています。
ワインを飲むとお腹が空くんですよね
ティスティング後はより海のそばにある格上の畑に移動です。その途中にあるレストランでランチタイム。
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食前酒でチリならではのお酒をとの事でみんなでピスコサワーを飲みます。
ピスコはワインを造った後のブドウの搾りかすから作られたブランデー。イタリアのグラッパやフランスのマールと同じ製法。そのピスコで作ったレモンサワーに仕上げにシナモンパウダーを。量的にはワイン1杯分も無いのですが、かなりアルコール強め。メンバー全員がこれ1杯でアルコールはもう要らないとなってました。
で、お食事はこちら
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右手前はシーフードフリット その上がシーフードサラダ、ウニ(再び登場!)ホタテのオーブン焼きなど。こちらも大変おいしくいただきました。
その後特別な畑へと移動します
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とてつもなく広い畑に移動してきました。アメリカも規模の大きな畑はたくさんありましたが、チリも負けてない。広いだけでなく、一日の寒暖の差も非常に大きく(この時期で朝は-3度、昼は15~20度)ブドウに適した畑であることが分かります。
色々畑見学が終わった後は首都のサンチアゴへ戻ります。しばらくホテルで休憩した後はディナーの会場へ。
南米でTOP50に選ばれたレストランヘ
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チリの最終夜なので、これまでよりも良いお店へ。いつもの男子5人に加えてウンドラーガ女子2名も加わり、より華やかな雰囲気に。
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ここにきてシーフードに少し飽きが来る
これまでどこのレストランも大変美味しいんですよ。ですが、贅沢なもので同じような趣の料理が続くと「また牡蠣か・・・」と贅沢な思いが出てきてしまいます。
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特にこのセビーチェが毎食あったイメージ
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色々なお料理を美味しくいただきました。チリのラストナイトはこのような素晴らしいお料理とともにお開きへと進んでいきました。
チリの2日目はこちらで終了です。
3日目はサンティアゴ市内観光後アルゼンチンへと移動します。
そちらはまた後日。お楽しみに。