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リージョ観察日記20190330ガンバ大阪戦


■宮本恒靖監督の頭の中をのぞく

神戸対策
神戸がボールを握って前進してくるのを踏まえ、中断期間はビルドアップに対してどう守備をしていくかということをトレーニングしていたのだろう。2センターバックが大きく開くときにはプレッシャーをかけない。GK前川へのバックパスには必ず前から詰めていく、同時にガンバの最終ラインも前線の動きに連動してあげることで全体陣形、とくに前後の距離をコンパクトに維持したまま圧縮した守備を90分やりたかったんだろう。


ボールを奪う狙いどころはサンペルやイニエスタらのラ・マシアのフィロソフィーの体現者。奪ってからトランジション勝負なのはベガルタ仙台と類似。異なったのは計算できるフィニッシャーの存在。

前半の2得点は宮本恒靖のゲームプラン通りに進めた守備の成果である。なにがバルサやわしはガンバのツネ様やで、してやったりの展開だったんだろう。ただ得点した後、ゲームを静かに収斂させていく点で持ち駒がいなかったことを踏まえれば「早過ぎた」ゲームプランの果実だったのかもしれない。


失点後に古橋とポルディの位置を変更したのも仙台戦と同じ。


■ラ・マシアのメチエ
サンペル起用は、もちろん我々のディシプリンであるボールを前進させるため。実利としては左足でリリースすることにまだ不慣れな大崎をサンペルというヴェールで隠すことに成功できイニエスタがボールタッチするエリアを下げさせないところ。
実損は不用意な失い方をすれば後半3失点目シーンにみられるようにフィルター不在になって容易にシュートまでもっていかれてしまうところ。

サンペルは相手のパスラインを読んでスティールするタイプなのでJリーグになれるまでは危ないシーンも散見されるんだろう。今後は蛍とどう調整していくか興味深いところではある。

■後半
攻め急ぐ必要もないガンバは守備はそのまま維持し遠藤の周囲にペナ角周辺で味方とボールに寄ることでペースを握ろうとする。寄る辺ない現代社会へのアンチテーゼなんだろう。サッカーを通して現代社会に警鐘を鳴らしたいと。トランジションを強く意識した前半と異なりこの選択は神戸と同じ土俵で勝負することになる。倉田のシュートシーンなどを除き、奪ってから即前に出さなくなった影響をダイレクトに受けたのがファン。スペースに飛び出すのではなくボールを待つことが増えたためダンクレーに消されがちになった。

59:34あたり
以前からの習い性のままボールを持ちたいが前進できない今のガンバーを象徴するシーン

■神戸の2点目
スローインで小野瀬が初瀬に、三浦がイニエスタに吸い寄せられ高とスイッチしてしまいポルディと不利なフィジカル勝負になった。小野瀬を前に押し出しながら中に入ってアデミウソンと絡ませるためにサイドの回廊をひとりでフタできる三浦をサイドバックに起用するのが本来の狙いであろう。スローイン守備は宮本恒靖監督に細部まで詰めて欲しいところ。守備のディシプリンは細部に宿る。

高との駆け引きのなかでポルディがアーリーヒットでボールコントロールする小さいスペースとビジャが動き直す時間を創りだした。これは昨シーズントヨスタでの決勝ゴールのプロセスとほぼ同じである。


■三田、TJ 投入の意図
ビジャが内転筋に不安があったようなので残り30分あまりの時間を使いながらで1点とり試合をそのままクローズさせるためと推測。
ただ、3失点目以降はオープンな展開を甘受してもポイント3を奪いに行く采配をみせたということだろうか。
長期目標は見失ってはならない。しかし短期目標も無視できない。長短の目標を擦り合わせていく作業は実に骨が折れる仕事である。

■残り20分の戦略目標の違い

清水戦ではシュートを打った古橋を下げてサンペルでオープンな展開になることを避けた。ガンバ戦では古橋とTJを前線に残しオープンな展開を甘受した。采配としては正反対だ。ここに清水とガンバの守備強度、あるいはディシプリンの有無の違いを読み取ったからこその采配かどうか。


■ガンバのセットプレー

後半の遠藤はハイボールを入れてきた。雨でキャッチするか弾くか迷いを生ませる高さに。


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