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お笑いライブシーンの"今"を切り取る「TP寄席 Vol.4」公式ライブレポート
2024年10月27日、キングオブコントの決勝が終わり、M-1グランプリではこれから激動の3回戦が始まるというお笑いファンの熱が高まっている季節に、しもきたドーンにて『TP寄席 Vol.4』が開催された。
まえがき
2021年に始まった『TP寄席』も今年で第4回。今回もお笑い好きから既に多くの注目を浴びている賞レース強者から、アンテナを張り巡らせないと出会えないような芸人まで、まさにお笑いの「今」を見ることのできるメンバーが集まった。
■そもそも『TP寄席』とは…
株式会社TPコーポレーション東京X代表取締役であり『金属バット無問題』や『板橋ハウスのラジオディア』を手がけるなど、様々なエンタメの渦の中心地にいる高橋雄作氏(通称TP)が「今ネタが見たい、話してみたい」と思う芸人たちによるネタとトークのライブである。TPが「1番信用できるライブ主催」と太鼓判を押す「ライブマン」が主催している。
前回に引き続き、このTP寄席のレポートを書くという使命を担うことになった、ごく普通のお笑いファンが『TP寄席』というライブの”臨場感”と”熱さ”を伝えていきたいと思う。
また、前回のレポートと見比べて、この1年で”TP自体を取り巻く環境”や”お笑いシーン自体”がどう変わったかを見るのもまた、面白いかもしれない。
オープニング(MC:ピュート)
今回のMCはライブを通してピュートの二人が担当
所属している神保町よしもと漫才劇場でも数多くのライブで主催、MCを担当している上に、竹内とTPの関係についても(酔っ払うたびにツーショットをSNSにアップするなど)非常に深く、この日一日安定したMCを見せてくれた。
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ピュートとTPの関係として真っ先に挙げられるのは
竹内がルームシェアメイトと配信しているラジオ『板橋ハウスのラジオディア』だ。
このラジオの作家・プロデューサーのみならず、TBSチャンネル1で放送された板橋ハウスの冠番組『おでかけ板橋ハウス』についても、TPコーポレーション東京Xが担当しているため、板橋ハウスのメンバーは『TP寄席』には欠かせない出演者のうちの1組となっている。
MCの登場から程なくして本日の主役であるTPも登場。
前述のように、普段はラジオブースや番組撮影で会うことがほとんどであり、今回のように舞台上で「ライブ」をする姿を見られるのが珍しいため、竹内は思わず「なんか授業参観みたいで恥ずかしい」と話していた。
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ちなみに、去年のライブレポートを見返していたら、去年MCを担当した「めぞん」の吉野もこの状況に対し「授業参観みたい」と例えており、TP寄席を通して意図せず板橋ハウスの絆を感じられてしまった。
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また、TPが舞台上に立つ姿が見られるのも『TP寄席』の見どころの一つ。「お笑いが好きな裏から操るフィクサー的な存在(当日の説明の原文ママ)」であるTPが一年に一度だけこのように表に立つことを許されているとのこと。
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また、この日はちょうど『令和6年度NHK新人お笑い大賞』が放送された当日であり、同じく板橋ハウスのメンバーが所属する軟水も出場。
早速大会の感想を述べるようなトークもあり、まさにお笑いのアンテナを常に張り続けていることがわかるオープニングとなっていた。
ネタブロック前半
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トーク①(ガングリオン/えびしゃ)
ここからは出演者を2組ずつ呼んでのトークコーナー。
最初に登場したのは今年開催されたUNDER 25 OWARAI CHAMPIONSHIP 第2回優勝者のガングリオンと、初代優勝者 えびしゃの2組。
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そして初代優勝者のえびしゃは優勝特典として『えびしゃのオールナイトニッポンPODCAST』を半年限定で放送。トリオの素直すぎる関係を出していく内容にリスナーが終始ハラハラとドキドキが止まらないラジオだったが、こちらも作家、プロデューサーをTPが務めている。
当時このラジオのメール職人だったリスナーが、現在は先述した『板橋ハウスのラジオディア』のスタッフを務めているという話も飛び出すなど、TPをきっかけに演者だけでなくスタッフの縁も広がっているのがとても面白い。
ガングリオンについてはUNDER 25で面白かったから呼んだ…のもきっかけの一つではあるが、実はもっと過去にきっかけがあると言う。
2023年の1月ごろ、TPが大阪でふらっと立ち寄ったライブにたまたまガングリオンが出演しており、そこで面白いと思ったとのこと。
その後再度大阪に行った際にクボが勤めているバーに飲みに行くほどのファンになったという。
TPがお店で大盤振る舞いをしている姿をクボから暴露させられた上に、それに便乗してピュート竹内から「酔っ払ってると同じ話を5回する」などのリークもあり、お笑い界で暗躍するTPの素の姿を芸人たちが陽のもとにさらしていく展開に客席は大盛りあがりであった。
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トーク②(パトカー/家族チャーハン)
次に登場したのはピン芸人 パトカーと神保町よしもと漫才劇場で活躍中のコンビ家族チャーハンの2組。TPはどちらも実際に会うのは初めてだという。
家族チャーハンといえば今年のUNDER5 AWARDでも決勝に進出していたことが記憶に新しいが、TPは昨年からファンになり、単独ライブももちろん視聴済み。
そして何よりもTPの髪型は大石の髪型をマネたものだという事実が発覚。
美容院に行った際に大石の写真を見せて「これにしてください」と注文しているなど、驚きの家族チャーハンオタクっぷりが垣間見えた。
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大石からは「インコを飼った時に肩にのると髪の毛が邪魔で懐かなくなる」という用途があまりなさそうなアドバイスをもらいつつも、憧れの人からのアドバイスに頬が緩みっぱなしのTPであった。
一方パトカーは、現在社会人として働いているのだが、大学時代にサークルでライブに出ていた余韻として、未だにたまにライブに出てる状況だと明かした。
R-1についても「時々出ている」程度という、まさに”ネタを見れる事自体が貴重な経験”となっている。
実際にTPやピュートのポイントもパトカーのネタが「界隈」で話題になっていることをきっかけにネタを見て衝撃を受けたという。
恐らくこのレポートを読んでいる”かなりコアな部分のライブへ行くようなお笑いファン”でも名前すら知らない人も数多くいるだろう。
パトカーのネタについては、いくつかYouTubeで動画が上がっているので
筆者も一瞬でその魅力に惹きつけられてしまった「多角的」でかつ「前衛的」な衝撃的三分間を体験してもらいたい。
※今回のTP寄席で披露したネタではないが、フランスピアノなかがわ氏曰く「くらってしまうネタ」を一例として貼らせていただいた
先ほど登場したガングリオンや今紹介したパトカーについては現在フリーで活動中ということもあり「吉本においでよ」という勧誘も行われた。パトカーはこれまで”あくまでメインは社会人”としているが、吉本に入ることも視野に入れているという。
家族チャーハンはその気持ち歓迎しつつも「元10億円山内のネタを見て講評をする謎の授業がある」という事実を伝えていた。
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ネタブロック後半
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トーク③(鈴木ジェロニモ/ライドMEズ)
後半のネタが終わり、まずは鈴木ジェロニモとライドMEズが登場してトーク…と行くはずなのだが、この後に登場するはずのサツマカワRPGが出てきてしまうという(お客さんにとっては嬉しい)ハプニングも。
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ライドMEズの岡村は昨年『ヨッフィー』としてTP寄席に登場。今回も元々はヨッフィーとして出演する予定だったが、紆余曲折あり今回はライドMEズとして出演。ちなみにこちらも普段は社会人として仕事をしている。
繋がりとしては、TPが大学時代に早稲田寄席演芸研究会、通称ヨセケンに所属していた頃、岡村は同志社大学の喜劇研究会に所属。お互いお笑いサークルということで、そこから交流を持ち、現在では1年に1度この『TP寄席』のみネタを行いM-1グランプリに出場……するのだが
”1年に1度の舞台”とは思えないクオリティーの高さを見せてくれた。
漫才の質の高さはライブの観客のみならず、実績にもしっかり反映されている。実際に昨年のヨッフィーについてはM-1グランプリの3回戦まで進出しているし、なんと今年のライドMEズでも3回戦進出。
このレポートを書いている今がちょうどM-1グランプリ2024東京の3回戦直前となっているため、今年の戦績がこれから楽しみで仕方がない。
なかなかネタを見ることが難しいコンビではあるが、恐らくM-1グランプリの3回戦動画がこれからアップロードされるため、その時にはぜひチェックしていただけると嬉しい。
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鈴木ジェロニモとTPについてはGERAで大絶賛放送中のラジオ『鈴木ジェロニモの感情』での関係性が強く感じるが、
元々は「チーム鬼ヶ島」という人力舎の草野球チームにお互い参加しているところからの繋がりだという。
高校時代にブルペンキャッチャーをやっており
「立っているよりも座った方が大きく感じる」と豪語する鈴木ジェロニモだったが、出演者にはあまり伝わらず…。やはり身体よりも言葉で説明するのが得意分野のようだ。
もはや鈴木ジェロニモの代名詞にもなった「説明」だが、芸人間にも「説明」のファンが多い。
お笑いファンなら見たことある方がほとんどだと思うが、YouTubeではそんな彼の「説明」を好きなだけ聞くことができるため、未履修のお笑い好きがいたらぜひ一度触れてみていただきたい。
トーク④(サツマカワRPG/永田敬介)
最後はこのライブを大きく沸かせたサツマカワRPGと永田敬介が登場。
登場して早々、縦に並び始めるサツマカワRPG。
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永田敬介はTPと同じ”ヨセケン”出身であり、TPが4年生の時、永田は1年生。
”TPのコンビ時代のネタをいくつも見てきた数少ない人物”ということもあり、「コンビ時代、ウケてはいたが拍手笑いはなかった」など、当時の話にも言及してくれた。
もちろん仕事での繋がりもしっかりある。
stand.fmでは『永田敬介の絶望ラジオ』を配信中で、11月には2部制の公開収録も行うほどの大人気ラジオとなっている。
実はこの日、永田はラジオに関するネタを披露しており、1度も聞いたことない人でも面白い内容なのだが、ラジオを少しでも聞いたことがある人間にとっては更に噛み締めて笑えてしまうネタとなっているため、もしまだ聞いたことがない人がいたら”いつかネタを見る日”のために予習しておくことをオススメする。
サツマカワRPGはGERAにて『サツマカワRPGのスーパーラジオRPG(通称サツマカワラジオ)』が大絶賛配信中で、このラジオでTPはプロデューサー兼聞き役としても出演している。
基本的にはサツマカワRPGがゲストを呼ばない一人喋りが中心。
「シンプル大喜利」のコーナーや持ちギャグの続きを考える「ギャグ2」のコーナーなど…超ストイックなコーナーがある一方で、Twitterでウケそうな一言ネタを送るだけの「Twitterお笑い」のコーナーなど、
インコース高めからストライクゾーンを思いっきり外れたお笑いまで楽しめる”お笑い好きによるお笑い好きのためのラジオ”だ。
今回の『TP寄席』のように「いろんなお笑いを見たい、聞きたい」という人には間違いなくオススメできるラジオなので、まずは第1話か最新話を聞いてみていただきたい。
現在そんなサツマカワラジオ内で1コーナーを持つまでにTPの出演頻度が上がっているのだが、それについてサツマカワは「(活動が見えづらいこともあり)お笑いファンから胡散臭いと思われているTPに対して、なんとかその外側を引っ剥がして”怖くないよ”と伝えてあげたい。」と話していた。
TPからお笑いへの愛はもちろん、芸人側からのTPの愛が伝わるまさに『TP寄席』にふさわしい一幕であった。
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エンディング
最後は出演者全員揃ってのエンディング。
鈴木ジェロニモからはレポート内でも紹介した「説明」の番組を告知。
なんと「ニッポンを説明する」という番組がNHKで11月10日に放送予定とのこと。
もはや「国営放送の仕事」となった「説明」であるが、鈴木ジェロニモと共にどんどん進化していくその姿にこれからも注目していきたい。
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また、えびしゃからは11月29日に行われる第二回単独ライブ「大道具禁止メン」の告知。
今年、ツギクル芸人グランプリを優勝し勢いに乗る彼らが「お笑いライブシーン」の先頭を走る日もそう遠くないはず。
予定が会う方、そして新進気鋭のコントの世界が見たい方はぜひ単独ライブに参加すると良いだろう。
また、サエキはスムージーを作るTikTokがベトナムで流行り始めたり、大根のポケモンカードゲームのチャンネルが登録者3000人を超え、中村はユニットでM-1 3回戦に進出するなど、それぞれの活動にも注目していきたい。
TPからは10月31日から開始される
アメリカの超有名ファッションブランド”ケイト・スペード ニューヨーク”が提供するポッドキャスト番組『Discover Your Joy』の告知。
株式会社TPコーポレーション東京Xが関わっているとのこと。
最後に「最高でした。来年もTP寄席ができるように弊社で頑張っていきたい」という一言と共にライブは終了。
公演時間は1時間半以上だったが、毎秒色んな角度からのお笑いに刺激を受け続ける時間以上に満足なライブとなった。
あとがき
この1年で多くのお笑いライブに足を運んできたが、それでもまだ見たことがないお笑いに辿り着ける数少ないライブが『TP寄席』だ。
もちろん自分が好きで面白いと思うお笑いを見てるのは大好きなのだが、常に「知らないお笑いとの出会い」を楽しみにしているのもお笑い好きの一つの習性。
もし、レポートを読んでいる方が私と同じように「常にお笑いの刺激を得たい」タイプのお笑い好きであるならば、来年『TP寄席 Vol.5』が開催された際にはぜひ足を運んでみてほしい。
また、前回・今回と『TP寄席』が行われた”しもきたドーン”は来年3月にて残念ながら閉館予定とのこと。
会場もTP氏を取り巻く状況も大きく変わりそうな予感と期待を胸に秘め、
来年の秋を楽しみにしていきたいと思う。
最後に今年も出演者の集合写真と、『TP寄席』を彩るフライヤーを以て、このレポートの締めとさせていただく。
文・編集:らずりー(@Luzuly2109)
写真:さくらいもえ 様
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