2024年映画ランキング
2024年に劇場で観た映画ランキングをベスト5でまとめたい。
最初にランキングを挙げてしまうとこうなる。
1位 ロボット・ドリームズ
2位 ナミビアの砂漠
3位 どうすればよかったか?
4位 14歳の栞
5位 大きな家
2024年に劇場で観たのは13作品。
1日に複数上映する映画祭に2日参加したので、それを抜くと普通の上映では8作品観ている。
ひとまず5位からいきましょう。
5位 大きな家
12/22 kino cinéma 新宿にて鑑賞。
次に詳しく触れる『14歳の栞』を観た時に、チラシを受け取って存在を知った。同じ監督のドキュメンタリーということで、『14歳の栞』で大きな衝撃を受けた後だった私はこれは絶対に観ようと思った。
現実の1つの児童養護施設の利用者に密着したドキュメンタリー映画である本作。施設という場所ではなく、人に密着することで浮かび上がってくるものがある。個別具体的なことを記すのはこの映画の作り手の方々の精神に反するので、というか普通にプライバシー保護に反するので控えるけれど、色々なものが写っていた。福祉というものを扱う作品はなかなかとっつきにくい部分があるかもしれないけれど、これはその中でも観やすいんじゃないだろうか。ドキュメンタリーはカメラの存在を黒子に徹するタイプのものもあるけれど、これは子どもが相手なので出てくる人がカメラの存在をばっちり認識してる。カメラの前でどんな振る舞いをするのか、というのも興味深かった。
ちなみにドキュメンタリー作品を3作ランキングに入れているけれど。実際の出来事を扱ったドキュメンタリーに対して「面白い」とか「ベスト映画!」とか無邪気に言うのはかなり憚られる。「興味深い」と言っても、人の人生に野次馬しているようで気が引ける。ただし、映画は映画なので「映画作品」として「面白い作品」として受容していることは否定できない。そんな罪悪感も含んでいるんだけれど、そのエクスキューズを書き続けると文章がグチャグチャになってしまうので、各映画に触れる時は「面白い」等と書くかもしれない。
そんなエクスキューズを挟んでからの4位。
4位 14歳の栞
4/13 CINE QUINTOにて鑑賞。
2021年3月に公開された映画の何度目かのリバイバル上映。実在の中学校の2年生の3学期に密着した映画。これも学校ではなくてクラスの一人一人に密着している。一番最初にクラスの1人のフルネームがバンっと出た時に、「まさかこれクラス全員分やるの?」と驚き、本当にそのまさかで更に驚いた。観客をものすごく信用しているし、少し背筋がピリッとするような思いだった。この映画を成立させるのは自分たちなんだな、と。学校名からクラスメイト全員の本名やその時の状況がしっかり残ってるわけだから。今なんでもネットに流れるこの時代に、すごい覚悟だと思う。
そんな性質上、配信等には今後もならないだろう。
私自身何度目かの話題になった時に、リバイバル上映で観られた訳だけれど、いつまでそのチャンスがあるか分からないから、おすすめし続けたい。
一人一人に密着して、最後のシーンには皆んなのことを想い、幸せを願うようになっていた。収められている光景は、言ってしまえば何も特別ではなくて、どこにでもあるような光景・出来事ばかりなんだけど。どこにでもあるような光景だって尊い。というか全てが尊いよ。
彼らは今高校生? もしかすると大学生になってる? 皆んな、幸せになってほしい。
そしてベスト3。
3位 どうすればよかったか?
12/28 テアトル新宿にて鑑賞。
映画の存在を知った時から、これは観なければと思っていた。がしかし、ポレポレ東中野では平日昼ですらずっと満席。2024年内に観るのはやめとこうかな、と少し引き気味になっていたところでPodcast『ドロッセルマイヤーズラジオ』にて渡辺範明さんの映画評を聴く。やっぱり行かねばなるまいよ、と年末に行くことにした。
統合失調症と思しき様子が見られ始めた姉と、然るべき対応をしない両親、それをホームビデオのていで残し続ける弟。この弟が監督である。
医療にも福祉にも繋がない両親を責めるのは簡単だ。けれど両親には両親の、というか父親には父親の考えがあって、母親には母親の考えがある。弟ももちろん。姉本人の意思が一番置き去りかもしれない。
外野からすればとにかく早く医療と福祉に繋げて欲しいと思った。でも、現実はそんなに簡単なことじゃない。外野だから意見をしちゃいけないわけでは、もちろんないんだけど。
医療に関係する両親の、姉の状態の受容の仕方や、それに対する弟のアプローチ、本当にどうすればよかったのかと悩む。
2位 ナミビアの砂漠
10/6 新宿武蔵野館にて鑑賞。
実写のフィクション映画としては1番。エンタメ的な意味では『ラストマイル』も面白かったけど、もうだいぶ前の作品のイメージ。
言葉にするのはとても難しいけど、河合優実がとんでもなく、寛一郎も金子大地も半端じゃない。
エンディングでカナとハヤシの部屋がまるっきり対称になっていた時はゾクっとした。映画を思い返そうとすると、まずこのシーンを思い出す。
今何かこの映画について書こうと思っても、この部屋のことばっかり考えてしまう。
1位 ロボット・ドリームズ
12/21 新宿シネマカリテにて鑑賞。
アニメ映画。
セリフらしいセリフはなく、言葉による演出はほとんどない。地名とか看板とかはあるけど。
主人公ドッグとロボットの関係性は、友達というよりは恋仲に近い。(ただしお金で買った関係だというのは引っ掛かりはするんだけど。)
それぞれが強くお互いを想うが故に迎えるエンディングはあまりにも涙腺を刺激する。
元々好きな曲『September』が涙なしに聴けない体に組み替えられてしまった。
そして、鑑賞のきっかけになった映画評では、宇多丸さんが自身のリリックを引き合いに出していたけれど、
「たとえキミが出したのがオレとは違うアンサーでも 星の下 似たステップを踊り続けるダンサー」
のアニメ化と言っても過言ではない。というか違う国の違う芸術形態で同じシーンを描いているの凄くない?
私は毎年9月になったら『September』って12月の歌なんだよって言ううざいやつなんだけれど、これからは『ロボット・ドリームズ』の話もセットでします。
そして最早映画の外の話ですが、年末のアトロク大忘年会のエンディングでも『September』が流れて、もう思い出として殿堂入り。
私はほとんど映画を観ないタイプで、普段は年1観れば多い方。
2024年は沢山観た。小学生の時以来だと思う。
2025年も良い映画に出会えますよう。