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Reverse

巨大な音がした。人の信じたものが恨めしいとき、黙っているのが正しいのか。努力が否定される時、何が反転するだろうか。草津という町はいつにも増して美しくなっていた。一人の少年と出会ったのだ。なぜ彼がこの町に来たのかは分からない、彼は観光目的だと言っていた。それも嘘なんじゃないだろうか。中学生ほどの見た目をした彼は確かに初めてみた町の風景に感動している一方で、何か空っぽのようだった。考え方はずっと単純だった。中途半端な宗教は人を不幸にする。というよりも、あの別の違う宗教指導者が言った通り、宗教というのは老人にいまさら死後について考えさせる思想に過ぎない、それが不幸を産んでいるとも知らずに。そう少年は語った。どうやら少年の決断は誰にも邪魔できないそうだ。だから僕は気になって、時を戻す力を与えてみた。

時計は針を逆行する。アナログの時計は見たことのない挙動をする。

なぜあの罪はこの罪よりも重いという考えがまかり通っていたのか。家族は変容する。

机の上には『完全自殺マニュアル』が置かれていた。