見出し画像

病歴39:地味な不調

経口の分子標的剤の治療に変わってから、自分の状態を見直すタイミングが難しい。
抗がん剤治療は、3-4週間ごとに区切りがあるが、分子標的剤はじわっと同じ状態が続くからだ。
というのと、以前も服薬していた薬であるにも関わらず、不調続きで、文章をまとめる気力や体力が足りていないのもある。

11月中旬、抗がん剤治療は一旦終了し、オラパリブという分子標的剤の経口投薬に切り替わった。
これは1日の最大容量は600mg。150mgと100mgの薬剤がある。
最初の容量は1日300mg(150mgを朝夕1錠ずつ)であることが多いが、以前も服用していたということで、400mg(100mgを朝夕2錠ずつ)からスタートした。

意外に、しんどかった。

2週間後、しんどさを訴えて、やっぱり、300mgでやっていきましょうということになった。
300mgになっても、吐き気を強く感じたり、下痢をしたりと、不調は続いた。
吐き気止めも処方されているのであるが、これを1日3回使うと下痢をしやすくなるし、だからといって控えると吐き気が強くなるし。
どちらに振れても、しんどい。

夜の吐き気が強く、嘔吐した日があった。
胃が食べ物を受け付けない感じがして、省略できる薬はとりあえず、休むことにした。
ちょうど、伯母のこともあって、気持ちの落ち込み方がひどくなっていたので、抗うつ薬を増量していたも胃腸に負担をかけたのかもしれない。
そう思い、抗うつ薬も減らした。

追い打ちをかけたのは、12月23日。
とあるレストランでオードブルと、クリスマスケーキをお願いしていた。
カラフルで、仕事が細かくて、美しいオードブルのセットは美味しかった。
バゲットを切り、スープはレトルトだが、リトアニアのオーガニックなにんじんを使ったものをあたためた。
それだけでもお腹いっぱいだったが、マンゴーのムースとホワイトチョコレートのケーキは楽しみにしていたものである。
腹いっぱい、食べた。
いささか、食べすぎた自覚はあった。

そのため、嘔吐したのは、食べすぎだろうと思った。
それだけにすまず、下は太もものあたり、上は胸元から上腕部にいたるまで、じんましんが出現した。
かゆみがなく、赤い発疹ばかりで、最初は化学繊維の下着のせいかと勘違いした。
けれども、家族も似たような発疹が出ていることを知って、どれかにあたったんだろう、ということになった。
ケーキにトッピングされていた生クリームだったのか、オードブルのなかのイカやホタテやスモークサーモンだったのか…。
少なくとも、薬疹ではなくてよかった。

じんましんというのは、あまり経験が無くて、3日もすればおさまるかと思っていたら治まらない。
職場で相談すると、医師がセレスタミンとオイラックスを10本ほど、処方してくれた。
ボディクリームのようにオイラックスを塗るのは、私も初めてだった。
1つずつ塗るのは難しいぐらい、腹側も背中側も発疹が出ていたのだ。
セレスタミンも一週間ぐらい服薬し、新しい発疹が出なくなり、頬の紅潮がひどくなってきたところで、じんましんの治療は終わらせた。

ところがどっこい、である。
抗うつ薬をやめてから、数日。
音楽を聴いているだけで、落涙するようになった。
仕事の帰り道、運転中に、涙が込み上げてくる日が続いた。
別に何があったというわけではない。仕事はいつも通り、体が疲れることはあっても、特になにも起きていない。
感情の揺れ幅が大きくなり、家族のささいな言動にイライラしたり、傷ついたり、落ち込んだり。
そのうち、治療を投げ出したいと言う気持ちが大きくなっていった。

これは、よくない。
慌てて抗うつ薬を再開し、今に至る。
服んでいるほうが、気分的には楽だ。
普通の、いつもの、自分を保ちやすい。
けれども、やっぱり、吐き気は強く、最近はもう習慣になりつつあるような気がする。
吐き癖のようなもの。無理やりは吐かないようにしているのだけどね。

そんなわけで、大きく何か変わるようなことはあるわけではないけれども、地味に不調が続いている。
疲れやすくて、体がだるくて、重たくて、しんどくて、たまらない。
もしかしたら、抗がん剤治療の時よりも寝たきり生活になっているかもしれない。
だましだまし、毎日を乗り切っていこうと思う。引き続き。

サポートありがとうございます。いただいたサポートは、お見舞いとしてありがたく大事に使わせていただきたいです。なによりも、お気持ちが嬉しいです。