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病歴35:口腔ケア

投稿したつもりでいたら、書きかけで止まっていたものを見つけてしまった。
このままでは35が欠番になってしまう。というわけで、続きを書いていこうと思う。

抗がん剤治療の一週間前に、血液検査と診察を受ける。
前回の治療からの回復の程度を調べて、次の抗がん剤治療ができそうかどうかを判断するためだ。
9月5日。病院に着いて最初に採血をする。今日の私の状態は、血小板と白血球は少な目。
婦人科で抗がん剤治療の是非を決めてから、緩和ケア内科で副作用についての相談をする。
そこで、口内炎の話をした。

抗がん剤治療を受けた二年前も、今回も、その日の体調を記入する問診票に口内炎の項目がある。
抗がん剤の副作用として、よくある事象として紹介されていることも多い。
二年前は、鼻血こそひどかったが、口内炎はならずにすんだ。
なので、がん治療と口内炎は結びついていなかったのだけれども、9月頃はちょっとひどいことになっていた。

両頬の内側に、自分で噛んだ横線が入る。
噛もうとして噛んだわけではないが、寝ている間に横線が入ってしまうのだ。
それだけではなく、舌の下側にも痛みがあって、舌が動かしづらく、したがって、喋りづらい状態になっていた。

緩和ケア内科医はすぐに歯科にコンサルの依頼を出してくれた。
それで、この通院先に歯科があることを知った。
ちょっとわかりにくい場所に、ひっそりとある感じだった。
治療用の椅子は一席だけ。

これまで、1-2年に1度は歯科受診して、歯のクリーニングなどもしてもらっていた。
ほんとは半年ごとに葉書がくるのだけど、歯科衛生士さんから叱られるのが嫌で、ついつい後回しにしてしまう。
けれど、対面で人とお話しする仕事をしているのだから、自分の口臭には最大限気を遣うべきだと考えている。
歯垢や舌苔をケアし、口の中を清潔に保つことが、一番の口臭予防だもの。

けれども、コロナが流行したことで閉じこもりがちの生活になり、歯科受診からも足が遠のいた。
その上、抗がん剤治療が始まったことで、出血を伴う治療を受けることはためらわれた。
全部、一か所で受けられるなら、ラッキーだ。

というわけで、口内炎を見てもらったついでに、歯のクリーニングもしてもらえることになって、ほくほく。
口内炎の方は、500㏄の大きなボトルに薄めたうがい薬に、鎮痛剤を追加したものが処方された。
持ち歩くには、少し大きすぎる。
この液体を30秒以上かけて軽くうがいすると、痛みが遠のく。
食事の前後や、痛みのあるたびに、その後、何度もお世話になった。

衝撃だったのは、口内炎の理由である。
つまり、むくみなんだそうな。
抗がん剤治療を受ける。顔がむくむ。だから、自分で噛んでしまう。
顔がぱんぱんしているとは思った。耳の下あたりが痛くてたまらないこともあった。
そうか。これがむくみか…。
いや、体重そのものも増えているから、どこまでが水分かはわからないけれども、そうか……。
ということは、リンパを流せばいいのではないか?と考えて、マッサージを受けてみたのは別の章に書いた通りである。

同じ頃、歯科以外にも、もともと持病の緑内障があったため、かかりつけの眼科にも受診した。
そこで、視力が著しく低下していることがわかる。
運転時に見えづらく感じていたので、やっぱりか、とは思ったが。
がんになると目が暗くなるよとは親世代が言っていたが、私はがんとの相関性はよくわからない。
ただ、体調不良が多く、横たわって過ごすことが多いことで、スマホを見る時間がとてもとてもとても長くなったことは否めない。
目だけは結構、酷使している。これが理由じゃなかろうか。
見えづらいというのは大変不便なので、数年ぶりにメガネを作り変えた。

小さな小さな不調の積み重ねは、それが病気によるものか、治療によるものか、それとも加齢によるものか、区別がつかない。
変化があるたびに、病気に繋げたくなるものであるが、視力に関しては私の生活態度が直接の原因だと思う。
そんなところでも、なんでもかんでも病気に生活を奪われているとは思いたくない。
まだまだ治療は続くのだから。
そう思っていた。

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