クヴァスなるもの
黒パン工房イクラさんの、この美しい文章を読んでから、クヴァスという飲み物が気になってしょうがない。
黒パンを水に浸して発酵させる。それが古代のロシアのビールなのだそうだ。
この作り方は、古代エジプトのビールの作り方と同じではないか。
いつだったか、一番古い労働契約書の粘土板の解説に、当時の労働の代価はパンかビールであったことが書かれていた。
しかも、パンは食べずに固くなったら、水に浸してビールにしていたという。
当時のパンはどんなものだったのか。ナンやピタのような種なしのパンだったと思うのだけど。
それを水に浸すだけでビールになることが、私の中ではうまくイメージできずにいた。
古いビールの味といえば、ベルギーのランビックのようなものが近いのではないかと勧められて味見したこともある。
野生酵母を用いて自然発酵させたビールで、多くは酸味が強い。砂糖を入れたり、果汁を加えて飲むこともある。
年によって出来不出来が変わり、味も違うことも気にせず作る、昔ながらの地ビール。
それぞれの醸造所の個性も強く、詳しい人に話を聞きながら味わうのはとても楽しい。
さて、そのクヴァスだ。
どうやったら味を知ることができるだろうか。
自分で黒パンを焼くなんてことは、ちょっとハードルが高い。
買ってきた黒パンでも作れるのだろうか。その場合、発酵しているのか、腐敗しているのか、私に区別がつくのだろうか…。
やっぱり、ペットボトルや缶のを買ったほうが早い気がするが、調べていたら、インスタント・ドライなものもあるようだ。
気になる。
ロシアの夏の風物詩だという、クヴァス。
季節外れになってしまうかもしれないが。
気になる。
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イラストは、ダラズさんのものをお借りしました。
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