病歴28:第3クールと皮膚転移疑い
5月下旬、鼠径部におできができた。下着の当たる位置なので、免疫も下がっていることだし、毛嚢炎とか粉瘤といったものができたのかな?と思った。
こういう不調の時、皮膚科に行くのか、婦人科に相談するのか、すごく困る。
現在の私の疾患の優先順位は婦人科であるから、婦人科に先に相談して筋を通しておくのがよいだろうとは思うが、受診まで2週間近くある。
その前に、緩和ケア内科には行くし、その時に相談することにした。
と言っても、気にはなったので、かかりつけの薬局に相談して、市販薬を数日間使ってみた。
6月3日。緩和ケア内科受診。胃痛がちょいちょいあったことを話すと、胃薬が変更になった。3回目の抗がん剤治療後に予想される痛みのコントロールについては、カロナールとロキソニンを使い分けるように指示された。
話の最後におできのことを言うと、「ヘルペスとかかもしれませんから、皮膚科に受診しましょうね」とその日のうちに皮膚科にコンサルテーションになった。
婦人科の外来時間は終わっていたし、皮膚科に女医さんが勤務していた日だったので、皮膚科になったみたいな様子。
若い女性の医師はてきぱきしていて、サイズを測り、写真を撮り、おそらく粉瘤ではないかということで、抗生剤が処方された。
「皮膚転移ではないと思います」と彼女がさくっと笑うから、緩和ケア内科医との違いをちょびっと感じた。
念のため、一週間後の抗がん剤治療の日にも、受診することになった。
6月10日 3回目の抗がん剤治療。前もって予約していたタクシーで、8:30までには病院につく。
最初に化学治療室で、体温、体重、血圧の測定と問診、採血がある。この日の看護師さんは、採血がとてもお上手で幸先良いスタート。
採血の結果が出るまでに、皮膚科に行く。
残念ながら、粉瘤らしきものは一週間の服薬では小さくなっていなかった。痛みは軽くなったものの、消えてはいない。
念のために、エコー検査をしましょう、ということになる。
難しいのはタイミングだ。婦人科に受診して、血液検査の結果を確認して、今日は抗がん剤治療ができるかどうかも確かめないといけない。
とはいえ、検査の結果が出るまでの時間がかかるから、抗がん剤治療の前に検査をしたい皮膚科の看護師さん。
それで、生理検査室に移動したわけであるが、どうやら待ち時間が30分以上かかるということで、ごねることにした。
抗がん剤治療の点滴、6時間かかるんです!
各所に電話連絡が飛び交い、非常に申し訳なかったが、とりあえず、本日の最大の目的である抗がん剤治療を優先させてもらうことにした。
婦人科に受診し、赤血球や白血球、肝臓や腎臓の状態をチェックしてもらう。次回の治療の予定を確認し、それまでのお薬を出してもらう。
そして、再び化学療法室へ移動し、点滴開始だ。
この日の点滴してくれた看護師さんも抜群の腕で、痛くなかった。針の跡も小さい。
この日の昼食は、ランチパックのツナマヨネーズ。
なるべくにおいがしなくて、音がしなくて、こぼさなくて、食べやすいものと思って、これにした。
むくみやすくなっているので、おともはジャスミン茶。利尿作用があるものを選んだ。
前日のおやつに買っていたカカオ味の米粉のシフォンケーキは、カバンの中で平たくなっていた。
悲しいからそれも食べたのは食べ過ぎだった。あと、ベッドにちょっとこぼした。ぽろぽろのものは食べにくくて困る。
歯磨きにはいけないので、ミントのタブレットを口臭ケアに口に放り込んでいたのだけど、どうやら、一粒、床に落としてしまっていたらしい。
看護師さんを、薬を落としたのではないかと、びっくりさせてしまった。
なんだかんだで、6時間のお昼寝タイムが過ぎて、あと少しで点滴が終わるところで起こされた。
アルコールも含まれている点滴であるので、ふらふらするし、歩くと気分が悪くなってくる。
が、ここから再び、生理検査室へ。エコー検査を受けなくては。
幸い、夕方も近い時間帯になっていたことから、待ち時間はほぼなしで、エコー検査を受けることができた。
そして、皮膚科に戻る。
皮膚科医は「どうやら粉瘤じゃなさそうです」と切り出した。
「細胞診をしましょう」と。
現時点で皮膚転移したと決定したわけではないけれども、部位は近いのだ。なにがあってもおかしくはないのかもしれないけれど。
月末に日帰り手術の予定が組まれた。
日帰りなので、PCR検査などはしなくていいそうだ。
珍しい症例だった場合に症例報告したいという要望にも同意した。
研究に協力するのは、どうぞどうぞ喜んで、だ。
そんなこんなで、病院の診療が終わるころになってやっと帰路に就くことができた。
さすがに、薬局にまで寄る気力も体力もなく、この日はまっすぐに帰ることにした。
帰宅ラッシュの時間帯が近づいており、タクシーが30分以上、捕まえられなかったことには往生した。
驚いたのは、病院の中を歩き回っただけなのに、7000歩ほどになったこと。
普段、出勤している日でさえ、3000歩ぐらいなのに。
自分の体の変化は次々で、いつも、気持ちは置いて行かれるような気がする。
出勤したら、また、業務の予定、調整しなくちゃ。
手術、嫌だなぁ。
局所麻酔だから、意識があるまま、手術をするってことじゃないか。
転移していても嫌だし、転移していなくても手術が嫌だし、あーやだやだ。
とっても憂鬱な日々である。
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