病歴56:ブーツ状のちくちく
それは、突然始まったように感じる。
気付いた時は、我慢の限界だった時だ。
両足の靴下でおおわれる範囲が、真っ赤にはれあがって、ちくちくとかゆくて痛くて、たまらない状態になっていた。
これは、アレルギー?
たとえば、靴下やボディクリームなどにかぶれたのか?と最初に考えた。
皮膚が乾燥した時の掻痒感を強くしたような感じで、赤いし、腫れているし。
とはいえ、いつもと同じものしか身につけていないし、皮膚に塗布するものもいつもと変わらない。
かゆみを抑えるようなものを塗るべきか、腫れを抑えるようなものを塗るべきか、保湿を心掛けるべきなのか。
困り果てた。
10月頃からだろうか。四肢のむくみがひどくて、それがつらくなっていた。
赤ちゃんの手足のようにと言えば可愛らしいが、それが私の手足で起きると象に例えるほうが適切な気がする。
一時期はふくらはぎがむくみのために、ぱんぱんになりすぎて固くなった。
足首を曲げることは、今も少し痛い。
足の甲まで腫れあがるものだから、靴を履く瞬間が痛くてたまらなくなった。
体重増加もむくみも嫌で嫌でたまらなくなり、11月、それまで服んでいた薬のうち、鎮痛剤や抗うつ剤など、副作用で太るものを、自己判断で一切、中断してしまった。
これは後々、緩和ケアの医師に叱られちゃうんだけど。
神経障害性疼痛治療剤も服むのをやめたので、徐々に手足のしびれや痛みが強くなってきた。
ペットボトルの蓋が開けられなくなる。箸を持つのも痛くなる。服のボタンを留めることができない。
足裏の痛みも同様だ。この数年、足裏の母指球のあたりからつま先までは感覚がないのであるが、そこに痛みが加わってきた。
ついでに、不眠がひどくなった。
意欲減退は、ステロイドがなくなったあたりからどうにもならない。
しなくてはならないことも、したいことも、思い浮かんでは行動できないまま、時間だけが過ぎていく。
ただただ横になっていることしかできない。
それでまた、焦燥感が沸き上がってきたり、自責感や無価値感が強くなる。
希死念慮はそこまで強くなっていないし、落涙するほどでもないので自覚がなかったが、緩和ケア医に抑うつ状態を指摘されて、「あ」となった。
うつ病のチェックリストなんて、そらで言えるぐらいに何度も何度も繰り返してきて、自分の状態もしばしばセルフモニターしていたつもりだったけれども、他者に言われないと気づかないこともあるものだ。
体感だけのフラッシュバックの時も、自分ではわかりづらいことがあるけれども、この時もそうだった。
妙にじたばたしているのも症状と思えば、納得がつく。
抗うつ薬を再開し、もしもの時のための安定剤も手元に置くようにした。
12月の診察では、腸に腫瘍がはりついていることはわかったので、その日の自分の気持ちの揺れを支えてもらうためにも、抗うつ薬や安定剤はもらっておいてよかった。
さて、足の症状に話を戻そう。
体重増加と痛みと、どちらかを選ばないといけない。
これは中々悩ましい。
一旦、体重を減らしてしまってから、再び服薬ではいけないんだろうか。
と思ったけれども、医師に叱れて、なだめられて、神経障害性疼痛治療剤を半量で再開した。
にもかかわらず、冒頭のような「ブーツ状の掻痒感」が出現したのである。
この「ブーツ状」という表現を聞きなれない人もいるかもしれない。
両手や両足に、「グローブ状」「ブーツ状」に感覚障害や神経系の問題が出る。
糖尿病やアルコール依存症、ビタミン12欠乏症などで生じるので、教科書的に私も憶えていた表現だ。ほかに、ギラン・バレー症候群などでも生じる。
これがあの…!と、ちょっと面白がって使ってしまったのであるが、糖尿もアルコール依存も、私には関係ない。
慢性浮腫にともなううっ滞性皮膚炎という可能性も考えてみたのであるが、下肢のエコー検査では異常がなかった。
そのことで、わたしのひどいむくみは、おそらく薬剤性であろうということになり、とりあえず、漢方薬で様子を見ている状態である。
あとは、座りっぱなしにならないように気を付けている。
2時間以上、座っていると、徐々にむくんで痛くなってくることがわかるからだ。
それでまた、寝たきり生活になりがちなんだけど。
医師をさんざん悩ませて、結局、神経障害性疼痛治療剤をもともとのように、朝夕と服用することになった。
これがとにもかくにも眠たくなるお薬なのだけど、この足の症状は我慢しかねるので、軽くなるとよいなぁ。
幸い、もうすぐ年末年始のお休みもあるし、そこならどれだけ寝てもよかどうってことで。
年内のnoteの記事はこれが最後になるだろうか。
今年も、私の闘病のあれこれ、猫たちのあれこれ、その他、思い付きのあれこれにお付き合いくださり、ありがとうございました。
みなさまに、どうぞよいお年を。
そして、地には平和を。
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