病歴⑩:紅潮としみ
なにげなくつけていたテレビで、アピアランスケアが紹介された。
アピアランス、つまり、外見。
抗がん剤治療や放射線治療といった化学療法を受けている人の髪や皮膚・爪の黒ずみといった外見上の変化に対して、ケアを提供することで、気分の改善や生活の質の向上を図ることだ。
爪の黒ずみは見当たらないが、白い縦じまは入っている爪が増えた気がする。
10代から20代の頃はマニキュアも好きだったけれども、爪が傷みやすくなってからは使わなくなった。
ジェルネイルは1度試して、とても素敵だったけれども、コンスタントに継続することは難しいなぁと思ったので1度きり。
電子カルテを使っていることもあり、プライベートでもSNSやこうして文章を書いていることが多いため、1日中、PCを触っている。キーボードを打つ量はそれなりに多いので、マニキュアはもちにくいというのもある。
でも、京都の胡粉ネイルは、優秀だと思う。丁子油の香りもいい。元気になったら、久しぶりに使ってみたい。
隠すためではなく、色合いを楽しむために。
現在は5クール目に入った抗がん剤治療だが、抗がん剤を点滴した当日もしくは翌日から、頬がほてる。ほてっているときは、見た目からして、頬が真っ赤になる。その状態が数日間続く。
抗がん剤の治療初回、りんごのような、という形容がぴったりなほど、頬が紅くなることに驚いた。
発熱をしているのではないか?と驚かれても困るし、逆に、血色がいいとか、元気そうだと言われても複雑な気持ちになる。
これはステロイドの影響なんだそうだ。
抗がん剤治療は、ただ抗がん剤のみを点滴するのではなくて、なるべく安全に投与できるよう、副作用を押さえる薬を組み合わせて用いられる。
薬理についてはちんぷんかんぷんであるから、ステロイドがどう必要なのか、私は理解しきれていない。
無事に抗がん剤治療が進めばいいのであるから、そこにとやかくは言わないことにしている。
ただ、結構な量を使うのだと聞いている。
紅潮することそれ自体は、たいして苦痛ではない。
そのことでとやかく言われることが嫌なだけで。
それが、4クール目頃から、紅潮するあたりが少しずつ褐色になって残るようになってきたように感じて、気になった。。
両頬の一番高いあたりから、逆三角形に、淡く、広範囲に褐色味を帯びてきた。
鏡を見ると、例えるならば、アフリカ大陸と南アメリカ大陸を描くように。
治療開始時に、肌が白いので日焼けに注意するようにと言われたことを思い出す。
顔だけではなく、手も色素が沈着しやすいと教えてもらった。手袋を使うようにしたほうがいいと言われたのだ。季節柄、外出時は手袋を使うことが多かったので、手についてはそれ以上、気にせずに過ごしている。
顔については、それで、普段の冬場は保湿系の化粧品に変えるところを、夏から続けて美白系のものを使い続けていた。気休めにしかならなかったかもしれない。
感染症に警戒して外出時は必ずマスクを着用しているし、まさか頬が焼けるとは思わなかった。
同時に、皮膚の乾燥も気になるようになってきた。顔も、からだも。
加齢の影響として当然の部分もあれば、季節の影響もあるだろうし、乾燥しやすい季節であるのに保湿が不十分だったこともあるだろう。
そのうえ、新陳代謝が落ちているはずであるから、肌荒れしやすいのもむべなるかな。
保湿については、低刺激のローションや、皮膚科で処方された保湿剤など、今はいくらかは対処できて改善傾向にある。
抗がん剤の副作用のしみについて自分なりに調べてみたが、ビタミンCが効果があるかもしれないという記述は見つけたが、ビタミンCもトラネキサム酸もガイドラインで推奨されるほどではないらしい。
冒頭に書いたアピアランスケアも、ウィッグの着用とお化粧の工夫の紹介だった。
生き延びることができれば外見なんて二の次だとは思うけど、わかるけど、ちょっと気にはなってしまう外見上の変化である。