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笑福亭鶴瓶落語会@沖縄を観たこと
鶴瓶さんの落語を観に行った。
600名程収容できるホールは見事に満員。
年齢層はパッと見50-60代が大半で、ちらほらと20代もいるぞと思えば、小学生もいてファン層が幅広い。
鶴瓶さんは洋服を着て現れた。
フリートークから始まるのだ。
ご自身が出会った愉快な人々や、奥さんのこと、ひどい目に遭った話。
途中から入場したお客さんに舞台から話しかけ、狭い座席の間を縫いながら進む様子をニコニコと見守る。
やさしい距離感にほっこりする。
再び幕が上がると、ちゃんと(笑)和服で登場。
演目は鶴瓶さんの若き頃をモデルにした創作落語「お母ちゃんのクリスマス」と、登場人物にアレンジを加えた古典落語「死神」。
フリートークの時とキャラが変わらない。
柔らかい口調でいながら話のスピードは早く、わずかな間の敷き詰め方がそのまま落語の特徴になっている。鶴瓶さんが人々へ向ける優しい眼差しに、鑑賞している私はどことなく救われるような心地がした。
照明効果と囃子を使い、場面転換、心理描写、ストーリーの展開を視覚的に補填した、いわゆる今風の演出が施されている。
落語初心者にとってはたいへん鑑賞しやすく、別の噺家が高座に上がればまた印象が変わるだろう。
もっと落語を知りたくなる。
ステキな送り三味線を聞きながらホールを後にする。
退場を待っていると耳馴染みのある曲が。
『てぃんさぐぬ花』だ。
太鼓と笛、三味線の旋律で奏でられるその曲からは、南国の湿った風や海の青さは遠くにあり、
ソメイヨシノの淡い桃色、きりりとした空気の冷たさ、朱色の鳥居が頭に浮かぶ。「粋(いき)」とか「めでたい」とかよく似合う。
見事に日本の空気をまとったてぃんさぐぬ花で、沖縄で生まれ育った人間にとっては不思議な感覚だった。
落語を生で聞くのはこの日が初で、
鶴瓶さんに初めてを捧げられて嬉しかった笑
また再会できる日を願う。