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祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
私が住む街にはパワーセンターという形態の商業施設がある。
パワーセンターとは、広い駐車場の周りにスーパーマーケットやホームセンター、飲食店のようなお店が立ち並ぶ形態のショッピングセンターである。各地にあるイオンタウンなんかがそうだ。
様々な店が1ヶ所に集まるという点ではショッピングモールや大型スーパーと似ているが、1つの建物ではなくそれぞれの店が独立した建物だという点で異なっている。
広い駐車場とほとんどの店舗が平面上にあるという特徴から、東京や大阪といった大都市では滅多に見られず、土地に余裕のある地方都市特有の業態と言える。
で、そんなパワーセンターが、私の通っていた小学校の学区内にあって、物心ついた頃から買い物をしたり、外食に行ったりしていたので、それが幼い頃の思い出の大きな部分を占めている。
しかし、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と平家物語にもあるように、当時と同じ店が今も残っているものもあれば、閉店して別の店に変わってしまったものもある。そういうところは大型モールや駅ビルのテナントと同じである。
現在このパワーセンターにあるのは、
・スーパーマーケット
・ホームセンター
・ドラッグストア
・釣具屋
・安売りお菓子の店(おかしのまちおか的な)
・メガネ屋
・24hジム
・衣料品店
・古着屋
・CoCo壱番屋
・焼肉店
・ラーメン屋
・ゲームセンター
である。
ではここで問題。
これら13個の店のうち、私が幼かった25年前から変わらず残っている店は3つだけ。それはどれでしょう?(業種が同じでも会社が異なるものは変わった扱い)
正解は、
メガネ屋、ラーメン屋、ゲームセンター
である。
もしかするとこれは意外な答えだったかもしれない。
メガネ屋はチェーン店だが、昔から何ひとつ変わっていない。確かに目が悪い人がいる限りメガネの需要は無くならないし、コンタクト派の人もメガネを持っている。
老眼鏡や補聴器のことを考えれば、高齢化で需要が増えるタイプの業種と言える。
ラーメン屋は博多豚骨系の店で普通に美味しい。
ゲーセンはSEGAのゲームセンターで、他のSEGAのゲーセンと同じくGIGOに変わったがそれはノーカン。昔も今も入ったことないのでそれ以上は何も言えない。
変わってしまった方も、昔の店と今の店を比べると時代の流れを感じられて面白いので一言ずつ解説していく。
・スーパーマーケット→スーパーマーケット
スーパー自体はずっとあるけど、一度別の会社に変わっている。前はデパートの傘下のスーパーだったけど、今は業務スーパーと提携しているスーパーに変わった。
・ホームセンター→ホームセンター
こちらもスーパーと同じで、ホームセンター自体は前からあるが、会社が変わった。ずいぶん昔のことなので、もう前の店の名前も思い出せない。
・おもちゃ屋→西松屋→ドラッグストア
少子高齢化というものを如実に表していると思う。
・紳士服店→釣具屋
ずっと閉店セールしてるのに全然潰れないという不思議な店だったが、いつの間にか本当に無くなってしまった。
・靴屋→安売りお菓子の店
ハローマックの後釜でお馴染みの東京靴流通センターがあった。今確認したらお菓子の店とブランド品買取り業者が元靴屋の店の中に一緒に入っているらしい。どちらも高齢者需要が高そう(偏見)
・家電量販店→衣料品店
Amazon等の出現によって家電量販店はかつての勢いを無くしているが、この店が無くなったのはAmazonより遥かに昔なので関係ない。どちらかというと、ヤマダ電気などの大型店の台頭により、フロア面積の比較的小さかったこの店が追いやられた感じ。
・若者向けの服屋→24hジム
全国各地にポコポコ出来ている24hジム。広い駐車場があるし便利だと思う
・本屋→古着屋
ゲーム売り場も併設されてて思い出深い本屋だったが、本に厳しい時代の流れには逆らえず無くなってしまった。悲しい。
・無→CoCo壱番屋
CoCo壱は居抜きじゃなくて、空きスペースに新しく出来たので少し特殊。このCoCo壱が出来たのは記憶に無いくらい昔なので相当長生きしている。
・うどん屋→焼肉屋
確かにラーメン屋に比べるとうどん屋の方にはほとんど行っていない。近くにローカルチェーンのうどん屋があるのと、焼き肉の方が需要が高いのとでこうなったのだと思う。
うどんと焼き肉の間にちゃんこ鍋の時代もあった気もするが記憶が定かではない。もちろん食べに行ったことはない。
あとオートバックスもあったんだけど、今は閉店してそこは現在空きテナントになっている。車に乗る人の数や、車にこだわる人の数が減っているのかもしれない。
というわけで、地方都市の商業施設の25年前と現在とを比べてみた。色々見えてくるものがあったんじゃないだろうか。何というか、こういう小売店は我々の生活や環境、時代を映す鏡のようなものだと思う。その中で時代の流れに乗って盛り上がったり落ち込んだりする業態もあれば、時代に関係なく需要があり続ける業態もあるのだろう。というかどの店も少子高齢化に適応しすぎじゃないか?まあいいけど。
そういえば、この商業施設のすぐ近くに工場が少しあるので、ラーメン屋やCoCo壱が強いのはそういう理由もあるのかもしれない。
ゲーセンが生き残っている理由はよく分からん。でも出来ることならこれからも無くならないで欲しい。
ではまた明日。
※このnoteを書くにあたって、パワーセンターという呼び方を初めて知った。他にもロードサイド型ショッピングセンターも当てはまるらしい。チャットGPTに特徴を書いたら教えてくれた。こういう概念の名前を尋ねるのにはAIはとても便利で賢い。