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賢治の「猫の事務所」と幻の花、ハヤチネウスユキソウ--岩手県大迫町を訪ねて

Kenji Miyazawa's "The Cat's Office" and my elusive flower, the snow flower(Leontopodium hayachinense)-- A visit to Ōhasama, Iwate Prefecture

「早池峰と賢治の展示館」

軽便鉄道の停車場ちかくに、猫の第六事務所がありました。

賢治の寓話『猫の事務所』の書き出し


「早池峰と賢治の展示館」は、レトロモダンな洋風建築

晩秋、東北へ小さな旅をしました。30年ぶりに再訪した花巻の宮沢賢治記念館をあとに、私と夫が次に向かったところは、大迫の「早池峰と賢治の展示館」でした。これは息子の強いすすめによるものです。はたして‥‥ 目の前に現れた建物に思わず歓声! ここはかつては稗貫郡役所として使われていたそうです。現在は、賢治ゆかりの展示物が興味深く、小さくも趣きのある洋館です。

賢治の象徴 と言っていいだろうか、マントと帽子
教室の様子が展示されている部屋

2階に上ると「教室」の展示室があり、ここで少し休むことができました。二人がけの小さなベンチと蓋付きの机が可愛らしくおしゃれです。ときの流れを感じさせるあたたかい木の肌が郷愁をかきたてます。


付録 : 花巻の「宮沢賢治記念館 童話館」

この旅で同時に訪れた花巻の宮沢賢治記念館 童話館の映像をInstagramのストーリーズハイライトに投稿しました。ご興味のある方はぜひ下記のリンクからご覧ください。


早池峰山のハヤチネウスユキソウ

ところで30年前に大迫を訪れた目的は、ただただ、ある高山植物を見たいがためでした。当時、私はフローラ・ワンダリングという植物観察の会の一員として、各所で花や樹木を写真におさめることに夢中になっていました。なかでもエーデルワイスとよく似た花 ハヤチネウスユキソウはあこがれの高山植物のひとつだったのです。

また、うれしいことに!大迫町の山岳博物館では「エーデルワイスの世界展」の展示が開かれているという情報もありました。

早池峰山は賢治も愛した名山、ハヤチネウスユキソウはその固有種を代表する美しい花ですが、私はこのとき悪天候に見舞われ、体力不足もあって中ほどで登山を諦め、泣く泣くふもとの宿で濡れた靴を乾かしたのでした。

以来、ハヤチネウスユキソウは私にとって、幻の花となってしまったのです。

大迫町立山岳博物館で購入した小冊子「早池峰の花」と入館券
(1995年8月)


ウスユキソウとは

薄く雪に覆われた感じからウスコキソウの名が。星状の花弁に見えるのは包葉と呼ばれる葉である。花は球形。包葉に囲まれた中央部に1個から数個つく。

学名のLeontopodium(レオントポディウム)は綿毛の密生した包葉と頭花とをライオンの足首にたとえたもの。
ヨーロッパに産する名花 Leontopodium alpinum は Edel Weiss (独)エーデルワイスの名で知られ、あまりにも有名。

「早池峰の花」 編集・発行:大迫町山岳博物館

大迫町立山岳博物館

この施設は老朽化により2011年3月31日に惜しまれながら閉館したとのこと、博物館の貴重な資料は現在、花巻総合文化財センターに移管・展示されているそうです。

上掲の写真は当時の山岳博物館だと記憶しているのですが、確信が持てません。建物の裏手から撮影したようでもありますが‥‥ご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください。

早池峰山 蛇紋岩の登山道
ハヤチネのつかないウスユキソウだが 可憐! はじめての出逢いに感動!

クラシック音楽と本と🌈さえあれば! 今回は、賢治の童話とハヤチネウスユキソウを追って大迫への小さな旅をしたお話でした。

なお続編として、次回は早池峰で撮影した高山植物の写真投稿を考えております。引き続きよろしくお願いします。最後までお読みくださりありがとうございました。ごきげんよう!

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