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苦労噺⑧ きみは完璧で究極の

ある朝、早起きをした私はリビングでまったりしていた。
しばらくして、スーパー氏が降りてきた。
挨拶をすると、スーパー氏はわたしの隣に座った。そして持っていた本をテーブルに置き、パソコンを開いてオンラインミーティングを始めた。彼女はいつも朝に友人らと何らかの集会を開いているようだった。
単純に早起きができるのと、定期的に人と話す機会を作っていることは素敵だなと思っていたが、今までその姿を見たことはなかった。
私は特に気にもとめず、スマホをいじっていた。スーパー氏は初め黙って会議を聞いていたが、ふと口を開いた。

「今日も皆さんとともに本を読める幸せを噛み締めています」

どうやらオンラインで読書会をしている……ようなのだがなんだかなにか引っかかるぞ……?

「……というわけでいしの力が……」
 
いし?意思の話をしているのだろうか。
ふと気になって隣を見る。彼女が手に持った本が見えた。

(「ワクチンの闇」……?置いてある本は「金持ちパパの秘訣」だ。その下にあるのは…占星術の本??)

ワクチンの闇ということは医療系と、ビジネス系の本だろうか?それと意思に何の関係があるのだろう?

私の頭の中ははてなでいっぱいであった。

読者諸君は本の並びからなんとなく気がつかれたかもしれない(もちろん本についてどうこうというものではない)。

彼女は究極で完璧のスピリチュアル・マルチ・陰謀論レディだったのだ。
よってこれからは彼女のことをレディと呼ぶ。


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