あきなり

山あり谷あり綱渡り、人生

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山あり谷あり綱渡り、人生

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  • あきなりの短編集

    短編をまとめています。のんびり増量中。

  • 苦労噺

    短期集中で更新予定。シェアハウスに興味がある人向けです。それはそれとして、これはフィクションです。

  • 怠惰な人間のライフハック事例

最近の記事

苦労噺⑥ 完璧な一日

3日目、私は完璧な一日を過ごした。 比較的早起きして明るくなってきた部屋で資格勉強をした。スーパー氏はもう起きてどこかに言っているようだった。 勉強がひと段落すると、朝ごはんの買い出しに行った。朝の散歩にちょうど良いくらいの距離にコンビニがある。 ヨーグルトなどを帰ってリビングへ行くと、スーパー氏と個室Aの住民(ビールが好きなのでビール氏とする)がヨガをしていた。実に健康的である。私も少し参加させてもらい、久々に丁寧に体を動かした。 日が当たるリビングでのんびりと食事をし両

    • 苦労噺⑤ 小休憩

      本格的な話に入る前に、シェアハウスのつくりについて簡単にまとめておこうと思う。 私の住むシェアハウスは3階建てで、1階にキッチンやシャワールーム、リビングといった共用部がある。 2,3階は居住用スペースで、1つのドミトリールームと複数の個室がある。 介護士氏、スーパー氏、販売氏、私はドミトリー組である。 共用部リビングにはテレビと疲れ切って皮の破れたソファが置いてある。 特にドミトリーの住民などはこの場所で食事をすることが多い。 また、早朝にはスーパー氏がソファで読書をし

      • 苦労噺④

        介護士氏と別れたのち、引っ越しの準備が終わっていなかった私は一度家に戻った。 そして次の日、私はまたシェアハウスに帰ってきた。 すると今度は別の住民たちがリビングで食事をしていた。 挨拶をすると彼らは酒を私に勧め、話を始めた。 「私たちはここでいろんなものをシェアして暮らしているの」 と一人が言った。この住民のことをスーパー氏と呼ぼう。スーパー氏はスーパーでアルバイトをする傍ら、個人事業主をしていた。 スーパー氏は自分で作ったと思われる食事を頬張りつつ、一緒にいた住民とに

        • 短編 | 知らない人の墓参り

          9月のおしまいの日に、私は知らない人の墓へ行く。 ついぞさよならをできなかった、またねの約束が叶わなかった冷たい人の墓へ行く。 彼は不思議な人であった。 大変思慮深く聡明で、茶目っ気のある人であった。 だがその一方で非常に繊細で不器用な一面を持っていた。 我々は学生の頃に出会った。 たまたまサークルが一緒であり、気が合う面があったためそれなりに仲良くしていた。サークル活動の一環で休日に行動を共にすることもあった。 当時の私は少々偏屈な人間で、人間嫌いでありコミュニケーシ

        苦労噺⑥ 完璧な一日

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        記事

          怠惰な人間のライフハック事例 | はじめまして編

          わたしは根が怠惰な人間であると自負している。根から葉、花にいたるまで怠惰の色に染め上げられている。呼吸すら面倒なことがある。布団の中にいるものは幸いである。外界の煩わしさから逃れられるからだ。 思えば中学1年生の時一番初めに覚えた単語は lazy であった。 今思えばまたマニアックな、とは思うが教材の絵本の中にあった単語である。まさに運命の出会い。 そんなタイプの人間がどのように人生の荒波をサバイブしてきたのか? わたしと同じ怠惰なあなた、他の人の人生を覗いてみたい方など

          怠惰な人間のライフハック事例 | はじめまして編

          苦労噺③

          前回の話はリンクから。 リビングの扉を開けると、住民の一人がソファでくつろいでいた。 挨拶をすると、住民も挨拶を返してくれたので少し話をした。 聞くと、住民は介護施設で働いており、この家には3年ほど住んでいるという。便宜上、以後この住民のことは介護士氏と呼ぶ。 介護士氏曰く、この家はルールをなかなか守ってくれない住民が多いらしい。介護士氏も手を焼いているのだという。 シェアハウスは家によりまちまちだがハウスルールというものが存在する。見知らぬ人間たちが集まって住むにあ

          苦労噺②

          さて、前回も書いた通り私はシェアハウス暮らしに慣れている。学生の頃2年ほど別のシェアハウスに住んでいたのだ。例によって金欠だったのである。 そのシェアハウスは大体20人ほどが住む中規模のハウスで、私を含む数名が学生であった。 私が住んでいたのはドミトリーであり、一部屋に8名ほどが住んでいたと思う。カプセルホテルのように上下2段に限られており、それが4列ほどあった。 それぞれに与えられた区画は1畳程度であり、立ち上がることもできない程度の高さしかなかったが、作りが丁寧で、個人

          苦労噺① 

          お読みになる前に これから綴られる「苦労噺」はフィクションであり、実在の人物・企業・事件などとは関係ありません 苦労噺① 2年前、私は会社のある部署で追い詰められていた。そのまま転がるように病み崩れ、部署異動を願い出た。 1年前、私は異動先の部署(女の園であった)で再度追い詰められ、その余波もあり結婚をしようとしていた恋人と別れた。 それなりに疲弊した状態で一人の身になり、私は憤慨した。 メロスではないが、このような邪知暴虐な環境から抜け出さねばならぬと決意した。

          苦労噺① 

          自己紹介/初めてのnote

          初めまして、あきなりと申します。 地球のすみっこで会社員としてのんびりと暮らしております。 暮らしておりました。 が、ここ数年ついていないことが多く、友人たちに話(愚痴)を聞いてもらっていたところ数人から「その話はnoteに書くか配信してほしい」という感想をもらいました。 そんなに面白い話でもないんだけどなあと困惑しつつ、これも何かの縁ということでここ数年の話を少しずつnoteに書き出していこうと思います。 ついていない話だけではなく、最近の面白かったことや 考えたこと

          自己紹介/初めてのnote