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苦労噺⑤ 小休憩

本格的な話に入る前に、シェアハウスのつくりについて簡単にまとめておこうと思う。

私の住むシェアハウスは3階建てで、1階にキッチンやシャワールーム、リビングといった共用部がある。
2,3階は居住用スペースで、1つのドミトリールームと複数の個室がある。
介護士氏、スーパー氏、販売氏、私はドミトリー組である。

共用部

リビングにはテレビと疲れ切って皮の破れたソファが置いてある。
特にドミトリーの住民などはこの場所で食事をすることが多い。
また、早朝にはスーパー氏がソファで読書をし、日中や夜は介護士氏がよくテレビを見ていたので、帰ってきたときに誰がリビングにいるのか想像しやすかった。

リビングの隣がキッチンである。キッチンには一通りの調理設備と冷蔵庫が1つあった。
冷蔵庫は住民全員で1つのものをシェアしているので、常日頃から場所取り合戦が行われていた。
たとえば販売氏は仕事の付き合いか何かでよくお土産をもらっており、野菜室には常に大量のお土産が突っ込まれていた(本人から教えてもらった)。このなかに野菜をねじ込むのはなかなか困難であった。

リビングから続く小部屋にある洗濯機はいつも壊れかけであった。
自動ボタンを押して洗濯をしていると、アラームを鳴らしてたびたび止まった。またボタンを押して回し、しばらくするとまたアラームがなるという具合で、あまりにもひどい時には近所のコインランドリーまで行くこともあった。
管理会社はよっぽどひどく訴えるまでは我関せずといった顔をしていた。

その奥には狭めのシャワースペースがあった。バスタブはない。シャワー後に排水溝にたまる髪の毛は各自が使用後に片付ける決まりであった。

居住用スペース

ドミトリールームには2つの2段ベッドがおかれており、それぞれの段に外から見えないようカーテンがつけられている。私はスーパー氏の使っているベッドの二段目を使っていた。
また、各自に小さな机が割り当てられていた。これは勉強をしたい私には個人的にありがたかった。
同じく勉強をしたい介護士氏や、読書をするスーパー氏にもそうであったに違いない。

入って初日に気が付いたが、この家は日の光が入る一方で全体的に薄暗い。ドミトリーも例外ではなく昼は明るい一方、電球は切れかかっており夜は薄暗かった。
またエアコンもあまり効かなくなっており、酷暑の折は皆が辛い思いを味わうこととなった。

部屋には収納がほとんどなかったが、唯一押し入れがあった。
後程エピソードを書くことになるが、私はここに使わない調理器具なども置いていた。

個室は個室である。中には入れないので、内部のことはご想像にお任せする。
個室の住民は数名おり、ドミトリーの住民ほどではないがそれなりの交流があった。

つづく

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