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アベノミクスが残した猛毒:シャレにならない日本の末路
かつて「三本の矢」で日本経済を救うと高らかに宣言されたアベノミクス。いざ蓋を開けてみると、景気回復はどこへやら。気がつけば無茶な金融緩和で円の価値を薄めまくり、国の借金は増える一方、おまけに給与もなかなか上がらないという有様でした。「いや、まだこれからなんだ!」と信じ続ける信者がいますが、「これはもはや三本の矢どころじゃなく、やいばのブーメランだろ」と突っ込まざるを得ない状況になったのは周知の事実です。
三本の矢は「飾り矢」だった
金融緩和の限界
アベノミクスといえば、まずは金融緩和。いかにも強そうな「異次元の金融緩和」と称して、日本銀行が市場に大量のお金を供給しました。最初は「円安で輸出企業が儲かる」「インフレ目標2%もいける」なんてウキウキしていたものの、金融緩和だけでは根本的な経済の体質改善には至らず、毒だけを延々と貯め続けました。
気づけば、ただひたすら日銀のバランスシートが膨れ上がり、今では日銀自体が日本株の最大株主とも言われる始末。ここまで日銀が株を買ってしまうと、株価のリアルな価値判断なんてあってないようなものです。信者の方々は「株高万歳!」と叫びたいかもしれませんが、その株高が本当の実力によるものではないなら、いつかバブルははじける。いわば、でっかい風船を必死で膨らませ続けただけだったというわけです。
愚かかな、財政出動
次に「機動的な財政政策」。公共事業をガンガンやれば景気は良くなるという期待は昔から根強くあります。もちろん、短期的には経済効果が出るかもしれません。一時的な経済危機・緊急時に実施して成功した例もあります。でも長期的には借金が増えるだけ。しかも日本は、アベノミクスが始まる前から既に巨額の国債を抱えていました。それでも無理やり財政政策を推し進めた結果、気づけば国の借金はGDP比200%超え。かつては「借金を返さなくても大丈夫! 日本は内需で回ってるから!」という謎理論がもてはやされていましたが、2025年現在、国債の金利上昇リスクや社会保障費の増大が痛いほど家計や企業、何より国家にのしかかっています。「思ったより大丈夫じゃなかった」というオチは、むしろ今が始まりなんですから、笑えない話です。
ほんの気持ち程度の成長戦略
最後の矢である「成長戦略」(構造改革)は、アベノミクス最大の期待要素でした。ここが本丸とも言われていたのに、実際にやったのは規制緩和の小出しとポイント還元策のようなチマチマ施策ばかり。もちろん、部分的にITや農業分野の規制緩和が進んだのは事実なのかもしれませんが、既存の利権・構造を根本から覆すような大胆な改革は起こらずじまい。結果、少子高齢化や人材不足などの構造的問題への抜本的な対応は一向に進みませんでした。のちに「政府がやりたかったのは本当は護送船団の維持だった」なんて皮肉も飛び交うほどに、改革らしい改革が見えなかったのです。
信者たちのお花畑論理
「景気が良くなればすべて解決」
アベノミクス信者の合言葉のひとつに「景気が良くなればすべてハッピー」というものがありました。たしかに景気がよくなれば雇用も生まれ、賃金が上がって、消費も伸びて…という理屈はわかります。
しかし、「なぜ景気が良くなるのか」「好景気が持続するには何が必要か」をすっ飛ばして、ただ金融緩和と財政出動を続ければ万事オーケー、という思考はあまりに短絡的で、長期的に見れば猛毒なのであって、これはお花畑と言わざるを得ません。しかも、賃金がしっかり上がるような改革(企業統治改革や人材投資など)を本格的に推し進める前に、財政の爆買いでバフをかけてしまった結果、国の財布がとことんやせ細ってしまいました。
「円安最高! 輸出企業が儲かれば俺たちも儲かる」
「円安になれば輸出企業が儲かって、そのおこぼれが国内にも回ってくるんだ!」というのがトリクルダウン理論(滴り落ち理論)。でも実際には、円安のメリットを享受できたのは一部の大企業や海外展開の上手な企業だけ。多くの中小企業は原材料費高騰に苦しみ、家計も輸入品やエネルギーコストの値上がりで悲鳴を上げていました。この輸出万能信仰を最後まで捨てきれなかったのがアベノミクス信者たちの最大の問題点。日本全体が儲け組に早変わりするという淡い妄想を抱いたまま、気がつけば円安メリット以上のデメリットばかりが拡大し、むしろ国民生活を苦しめる結果となったのです。
2025年、ツケがいよいよ表面化
膨れ上がる社会保障費
2025年といえば、団塊の世代が後期高齢者入りして社会保障費がますます増える年。もともと少子高齢化のスピードは分かっていたのに、アベノミクスではそこへの抜本策は先送り。財源は後先考えない金融緩和と財政出動に回され、結果として財政の不健全性が深刻化しています。
老後の安心どころか、現役世代も年金負担が増大し、企業は社会保険料アップに悲鳴。経済成長を期待するどころか、どんどん個人消費が冷え込む悪循環に陥っています。
国債・円の信認問題
これまで「国債は安全資産」「日銀がなんとかしてくれる」という神話がまかり通ってきましたが、コロナ後の世界的なインフレや景気後退の波に揺さぶられ、今では日本国債の金利上昇リスクが一部メディアを騒がせています。もし金利が上がれば、国債の利払い費用は爆発的に増え、財政を圧迫。再び増税が避けられない…という暗いシナリオが現実味を帯びてきました(金利を上げなければハイパーインフレを招いてしまうリスク)円の信認もじわじわ低下しており、将来に不安を抱えた個人や企業が海外資産に逃避する動きも出始めています。「ちょっとやりすぎた金融緩和と財政赤字が、こんな形で日本を襲うとは…」と嘆いても、もう手遅れなのです。異常な政策の出口をアベノミクスでとことんふさいでしまったからです。
笑い話にできない日本の未来
アベノミクスが始まったとき、多くの衆愚が「日本はまだやれるぞ!」と心を躍らせました。株高や円安、一時的な経済指標の好転が「やはりアベノミクスすごい!」とメディアを賑わせ、「やっぱり安倍さんしかいない」と信者が増殖したのも事実です。しかし、その裏には経済の土台を作り直すための地道な構造改革が不足し、借金と金融緩和に頼った虚飾の成長が進んでしまいました。気がつけば2025年、増税・社会保険料負担増・インフレ・国債リスク—と矢継ぎ早にツケが請求され、もはや誤魔化しがきかない状況です。
夢のような景気回復という御旗は、最初から単なるバブルの幻想にすぎなかったのです。だからこそ、当時から冷静に構造改革を進める努力が必要でした。今さら「どうしてこうなった?」と嘆いても、時間は巻き戻せません。
アベノミクス信者の皆さんには申し訳ないですが、日本を不健全に導いたプランを全力で信じ込むことは、時に危険なお花畑そのもの。私たちが次に取るべき行動は、現実を直視しながらも、これからの日本を本当の意味で立て直す地に足のついた改革を進めること以外にありません。
『三本の矢』を放ったはずなのに、まともに当たった矢はなかった」というのが、アベノミクス最大の笑えないオチ。私たちはここから立ち上がるしかないのです。うまい話には裏があるんだよ、信者のみなさん。
さあ、あなたはこの先の日本でどう生きますか?