にんにく
名前に餃子が入っているので、ここはひとつ、餃子の話でもしてみる
よく勧誘の声かけに引っかかる
声をかけやすい雰囲気でもあるのだろうか
姉の誕生日を祝うために神戸に遊びに来ていた
姉は仕事に行き、終わり次第、姉、祖母、叔母と夜ご飯を一緒に食べる予定があったので、
それまでの時間を潰そうと神戸を一人で観光していた
職場の上司に神戸餃子が美味しいとおすすめしてもらったので
神戸餃子を食べに行こうと意気込み、餃子屋に向かった
餃子屋は、高架線の下にあり、ひっきりなしに客が出入りし、
酒と餃子が目の前を通り過ぎていった
メニューは餃子と飲み物のみ
地元感漂うなんとも言えぬ雰囲気にドギマギしながら注文した
神戸餃子は味噌をつけて食べる
餃子だけでも匂いのパンチがすごい
しかし、それだけでなく
ラー油、味噌、そしてスライスニンニクをつけて食べるのが定番らしく
頬いっぱいに餃子を詰め、
これが神戸餃子か!と舌鼓を打った
隣のおじ様は、ビールを煽りながら餃子を頬張っていた
酒が飲めない私でも、酒飲みてぇ!となる程に
たまらない旨さであった
2人前の餃子をペロリと平らげ、
口内はすっかり餃子とニンニクの匂いでいっぱい
お腹も満たされ、幸せ気分で
特に用事もなかったので、目的もなくふらふらと歩いていた
「あの、すみません、今お時間大丈夫ですか?」
声をかけられることはよくあることだった
何の勧誘なんだ、と思い、声の主の方へ目を向けた
「ジム、エステの無料体験が…」
ノルマがあるのだろうか、お兄さんが一生懸命勧誘していた
しかし、私の頭の中は、
(まずい、ニンニク!!!!)
口を開けなくても分かる
とてつもなくニンニク臭かった
ミントタブレットを食べはしたが、それでもあまりにも臭う
調子に乗ってニンニクを食べまくり、餃子本来の匂いのパンチが上乗せされ、
とてつもなく口臭やばいぞ!
そう思うと、私は口を開きたくなかった
その上、私の住まいは神戸ではない
ここで勧誘されたところで、神戸に住んでいないので、無意味なのである
目を逸らしつつ、というよりは
「口」を逸らしつつ、
私は出来るだけ口を開かないようにして
「あー、大丈夫です」と伝え、足早にその場から去った
よく勧誘されるのは、いいカモだと思われているのだろうか
フルメイクでちょっとでもお洒落を頑張った時ならば
まだいいか、と思える
しかし、ニンニク臭MAXの時はやめてほしい、と心から思った
姉は良いとして、
久しぶりに祖母、叔母に会うというのに
とびきり臭う餃子とニンニクを鱈腹食べるべきではないだろうと
自分で少し反省した
それでもやっぱり
餃子は旨いし、ニンニクは正義である
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