【毎週ショートショートnote】もじもじ社
この島に助けは来ない。
仲間はいる。
常に空腹でケンカになるので
皆、別の洞窟に隠れている。
正直もう戦う気はない。
状況の変化を待っている。
洞窟に光が差し込む。
南国の陽気な太陽は不似合いだ。
後藤が外を歩いている。
何やってんだ。
危ないだろ。
もじもじしている。
小便が限界か?
「ターン」という呑気な音が響き、
太陽が弾けて紅く拡がった。
首から噴水が出た。
もうやめてくれやめてくれ
ごとうにはなんかいもたすけられた
もしかみさまがいるのなら
どうかごとうをよみがえらせてくれ
もうたくさんだ
すると、
赤い噴水は首の中に収まり、
弾けた破片が集まって後藤の頭になった。
後藤はもじもじしている。
「後藤!伏せろ!」
慣れた動きで伏せた後藤。
「チーン」と空気を切り裂く音が響く。
神様!
奇跡が起こった!
匍匐前進で後藤が来る。
立ち上がるとズボンのチャックが下がっていた。
「後藤。社会の窓が開いてるど。」
その一言で安心したのか
筒先から「シャー」と勢いよく小便が出た。
(410文字)
※「社」の回収が強引ですね。
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