【ショートショート】Fラン大生モテモテ奮闘記
勉強は苦手だが、大卒が普通ということで頑張って勉強したものの、俗にいう「Fラン大学」しか合格出来なかった。
高校時代は、ひたすら勉強していたので異性のことも全く別世界だった。
果たして、ダサいFラン大生が誕生しただけである。
まあ、勉強はもうしなくて良いので、せめて異性にモテるように努力しようと思ったが、何からやって良いかも全くわからない。
従って、ネットで検索する訳だが、
とりあえずは「清潔感」が大事らしいことが分かってきた。
清潔ではなく「清潔感」だそうだ。
しかも自分で考えた「清潔感」は「清潔感」にならないとのこと。
なんだか禅問答みたいだなと思ったが、とにかく「丸投げ」した方が良いとのことだったので、とりあえずネットにある通りに美容室とアパレルショップ(服屋のこと)に行き、清潔感のある髪型と服装にしてもらった。
驚いたことに、翌日から異性に話しかけられるようになった。
俄然面白くなってきたので、次は何をすれば良いか検索してみた。
すると、「優しくする」とのことだった。
もちろん今までの人生で「優しい」についてなどほとんど考えたことがないので、具体的にどうすれば良いのかも検索した。
どうやら、「優しい」の正体はサービス業のサービスみたいなことのようだ。
そのタイミングで予め入っておいたサークルの「新入生歓迎コンパ」なるものが行われることになっていたので、1年生の取り纏め役を買って出た上、コンパ中は店員との取り継ぎ役及び話の「聞き役」など気持ち良く過ごせそうな「サービス」をしてみた。
その後、昼食時に声をかけられ一緒に食事をする異性ができ、
そうするうちに数件の異性の連絡先を得ることもできた。
そんな「充実した大学生活」を送っていたある日、地味でパッとしない、かつての自分のような異性がいることに気付いた。
それから、その異性を見かけると目で追うようになった。
自分の経験を教えてあげたいような「こうすれば良いのに」という目線で見ていた訳である。
しかし、あれ程「メソッド」を積んだにもかかわらず、その異性にだけは話しかけることができなかった。
その事を仲良くなった異性に、遠回しにそれとなく言っただけで
「おめでとう」と言われたのだ。
そこで全て分かった。
自分が「メソッド」を頑張ってやっている姿に対して、異性が好感を抱いていたこと。
そして、自分が初恋をしたこと。