【毎週ショートショートnote】蕎麦でも気球は浮かんでる(エロ注意)
開拓者はまず種を植える。
さつまいもと蕎麦の種。
痩せた土地でも育ちやすいからだ。
次に、雨風を凌げる住居を建てるのだが、
住居は一朝一夕には建たない。
そこで、骨組みを組んで布を被せ
仮住まいを作り当面はそこで暮らしながら
足場を固めていく。
一方、作物は蕎麦の芽は出なかったが、
さつまいもは茎を伸ばし始めた。
一安心だ。
男たちは山に入り木を切り倒す。
次々と丸太を切り出し定住できる丸太小屋が完成した。
開拓者たちは丸太小屋に移住した。
独り身の女たちだけは仮住まいに残った。
ある夜、ひとりの男が仮住まいへ夜這いをかけた。
選ばれた女は悦びを感じた。
彼女はもう若くは無かったからだ。
身をくねらす度に使い途のなくなった蕎麦殻で作った枕がザラザラと音を立てた。
布に覆われた仮住まいが、まるで気球の中のように感じられ、浮かんでいるようだった。
他の女たちは蕎麦枕の音でとっくに目覚ているが眠っているフリをした。
次は自分の蕎麦気球が浮かぶときのために。
(410文字)
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