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【ショートショート】或る病院勤務の男の生活

古い和室。
床に布団を敷いて、北側に頭を向けて寝ている。
頭の方向に19インチのブラウン管テレビが置いてある。

2:00

小便がしたくなったので、家の裏口から外にでて、5メートルくらいあるところの便所に入り用を足す。
喉が渇いたので、井戸から水を引き上げて一杯飲む。

部屋に戻る。
視線を感じる。
何かと思ったら、箪笥の上に飾ってある日本人形だった。

7:40

徒歩通勤
いつもの黒い猫がいつものように横切る。
街から離れた丘の上の古い病院で勤務している。

9:00

昨日「退院」した方のベッドのシーツを剥がし、新しいシーツに取り替える。

13:50

使用済みの注射針などが入った廃棄物を捨てに行く。
ゴミ置き場に行くとカラスが一斉に飛び立つ。

18:00

新館と旧館を繋ぐ地下道を通って旧館へ行く。
今日はそのまま夜勤なので休憩する。
カビの跡で黒くなってしまった壁紙が貼ってある狭い仮眠室の二段ベッドの上で仮眠を取る。

20:00

夜勤開始
旧館の見回り。
階段の踊り場の鏡に自分の姿が写る。
廊下を歩くと風が強いのか、窓ガラスに木の枝が擦れてずっとシャラシャラとなっている。
時間のズレた柱時計がゴーンゴーンとなる。
懐中電灯の電池が切れる。
真っ暗な中、手探りで当直室に戻る。
電池交換をしてから地下の渡り廊下を通り抜け、新館へ。
入院患者の痛みを堪えるうめき声が聞こえる。
巨大な人物画が懐中電灯に照らされる。
縁起が悪いからということで当直室になった元404号室で、チェックリストにチェックマークをつける。

2:00

朝5時に下番予定だったが、もう一人の当直であとは大丈夫、とのことになったので、帰る。

丘の上からいつも通り墓場を通り、いつもひんやりとして湿気の溜まり切ったトンネルを抜けて、
古い日本家屋。住み慣れた家に着く。

3:00

いつも通り、北側を頭にして布団を敷き、朝まで少し眠る。

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