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【毎週ショートショートnote】お姫様ラッコ

江戸時代のお話しです。
ある藩のお姫様はたいそう大切に育てられました。
そのせいで目方が四十貫(約150キロ)にもなりました。
殿様は姫に見合うような男は
姫を軽々と抱き上げられるような男が良いと考えました。
家老が力自慢を集めて伝えました。
「我が藩の姫君を「お姫様抱っこ」できるほどの力自慢を募っておる。その暁には姫君を娶らせようと殿はお考えじゃ。」
それを聞いた力自慢たちは我先にと挑みましたが、抱き上げることはできませんでした。
二月程経った頃、
一人の男がお姫様の元にやってきました。
「私はあの日から、蝦夷地に行って火縄銃で何頭もラッコを撃ち、その皮を剥いで参りました。これはその皮で作った外套であります。」
そう言って男はお姫様に外套を着させました。
お姫様は何のことかさっぱり分からなかったのですが、その外套をたいそう気に入り、その男と結ばれました。
家老の発音が悪かったのか、男の耳が悪かったのかどちらにせよ、
めでたしめでたし。
(410字)

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