【FDUA×Lupinus】金融業界におけるDX/AI活用~『金融AI成功パターン』出版記念(後編)
こんにちは。Lupinusでコンサルタントとして働いている高野です。
今回はFDUAと『金融AI成功パターン』出版を記念した【金融業界におけるDX/AI活用】というイベントに参加しました。
実践的な適用事例を元に講演・ディスカッションすることを目指したイベントで、単なる教科書的な説明にとどまらず、最前線の実務者の声を元に、金融におけるDX/AI活用の到達地点を議論した非常に中身の濃いイベントでしたので、前後編に分けてご紹介いたします。今回は後編です。
【パネルディスカッション】
■登壇者:三井住友信託銀行株式会社 鈴木みゆき氏
デジタル企画部データサイエンスチームに所属。
Trust Base社も兼務し、三井住友トラスト・グループ全体を横断し、デジタルトランスフォーメーションの推進を担う。
テーマ:テキスト分類AI(自然言語処理)
フリーテキストを分類し、営業機会の創出等に活用する。
テキストの探索型だけでなく、テキストと顧客情報を組み合わせた分析や、そこから目的を元に必要データを抽出する。
■登壇者:SBIホールディングス株式会社 橋詰創一郎氏
組織を横断して活動・研究を進めるAI専門のCoE(Center of Excellence)所属のデータサイエンティスト
グループ会社の社内コンサルティング、データサイエンス、人材育成を担う。
テーマ:『金融AI成功パターン』 第4章 需要予測AIパターン
コールセンターにかかってくる量を将来的に分析するAI
属人的な経験や勘に頼っている要素をAIで代替するプロジェクト
■登壇者:三井住友海上火災保険株式会社 安田浩平氏
ビジネスイノベーション部データサイエンスチームに所属。
保険の損害を減らすための分析やR&Dを担う。
テーマ:『金融AI成功パターン』第11章 損害保険会社のロスプリベンションAI
損害保険会社では、事故が起きた場合に原価が発生する。
本来発生する事故を減らすことで、損害そのものを減らすことを目的とにする。
故障発生確率や、故障発生時の支払いに対し、AIでアプローチする。
【所感】
精度の高いデータが取れないことや、開発が費用対効果に見合わないことが理由で、システム導入をする際に、旧運用方法を踏襲してしまう可能性のお話に共感しました。
私もセキュリティの問題やデータの整備不足により、必要なデータが取得できないという経験を以前にしたことがあります。そのため、必要なデータを収集・分析し、その効果を考えるためには、多くのことを考慮する必要があると感じました。
LT①:【ビジネス資料の印象を変える配色の考え方】BLOCKDESIGNディレクター 白木久弥子
【略歴】
早稲田大学卒業後、公認会計士・税理士として有限責任監査法人トーマツ、EY、新日本有限責任監査法人で国際監査業務に携わる。地元高知県の企業(近森産業/食品製造)を二次創業。2020年から「日本中のプレゼンをセンス良くしたい」というコンセプトのもとでパワポ情報の発信を始め、プレゼンクリエイターとしても活動。2022年シンガポールにデザイン経営の会社「BLOCKDESIGN」を設立し、Twitterのフォロワー数は70000人を超える。(著書『誰でも作れるセンスのいいパワポ PowerPointデザインテクニック』より引用)
白木さんには、「ビジネス資料の印象を変える配色の考え方」についてプレゼンして頂きました。
ビジネスで使用するパワーポイント資料には、押さえるべきポイントがいくつかありますが、色の選定はその中でも重要な要素の一つであり、以下の要素を組み合わせて資料を作成すると印象が格段に良くなります。
・クール系シングルカラー
ビジネスパワポの配色でまず押さえたいのは、モノトーンと単色ブルーの組み合わせです。清潔感のある白い背景にグレートーンのスライドを作成し、信頼性をあらわす青色をアクセントとして使用することで、クリーンで安定した印象のスライドを作成することができます。
・エモ系シングルカラー
活気のあるビジネスパワポを作成したい場合には、レッド・オレンジ・ピンクなどの暖かみのある配色でエモさを加えることがおすすめです。白い背景のスライドにポップな赤系シングルカラーをポイントとして取り入れることで、よりポジティブでオシャレなスライドを作成することができます。
・70:25:5
70:25:5は、インテリアやwebサイトの配色を決める際などに頻繁に使用される法則です。モノトーンのベースカラーを70%、メインカラーを25%、アクセントカラーを5%の割合で使用します。これにより、分かりやすいビジネスパワポを作成することができます。
・トーンオントーン
項目が多い場合は、トーンオントーンのビジネスパワポの配色を使用して、グラデーションを作成し、関連する項目に色を割り当てると見やすくなります。ビジネスで使用する場合には、好感度の高いモノトーン×青系グラデーションを使用して、爽やかな印象でまとめることをおすすめします。
しらき@パワポ図鑑
(https://twitter.com/kumiko_shiraki/status/1616360907990536192?s=20 )より引用
【所感】
パワーポイントの作成に苦手意識を持っている方も多いかと思います。
私自身も完成形をイメージできず、時間をかけた資料でも伝わりにくいという経験があります。
しかし、今回白木さんの発表で使用された資料の構成や配色は工夫されており、内容をスムーズに理解することができました。さらに、発表者が伝えたい内容を効果的に理解するためには、知識と経験が大切であることを学びました。
また、データ活用の発表とは異なる頭の使い方(右脳と左脳の違いなのでしょうか)をすることで、リフレッシュすることができました。
詳しい内容については、白木さんのTwitterにも掲載されていますので、是非そちらもご覧ください。
LT②:【仮名加工情報の活用について】株式会社Lupinus 小出和輝
【略歴】
大情報系システムの維持保守を長年経験した後、アクセンチュアにてデータ分析基盤構築やデータを活用したプロダクト開発に従事。現在はLupnusでデータ基盤周りのコンサルティングを担当。
普段データ基盤構築や運用保守に携わっている小出さんに、仮名加工情報の活用についてお話し頂きました。
個人情報保護法は3年ごとに改正され、年々厳格化が進んでおり、データを扱うハードルが高くなっている印象があります。
その中で、2022年4月に新設された「仮名加工情報」は、データを保護するだけでなく、一部規制を緩和し、データ活用を容易にするという背景により制度整備されました。
データの活用を考えていても、データ基盤のセキュリティが強固であり、分析環境へのアクセシビリティが低下し、結果的に活用が進まないケースは多く見られます。特に金融業界では、この問題が顕著に現れています。
以前より制定されていた「匿名加工情報」は、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報ですが、顧客等を一意に識別するIDを持つことができず、分析や活用においては制約となる要素となっていました。
一方、今回の「仮名加工情報」は、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工された個人に関する情報であり、対照表を安全に管理することで同じ個人に対して同じIDを振ることができます。
「仮名加工情報」を用いてデータ活用を促進し、第三者へのデータ提供時には「匿名加工情報」へ加工することで、データの活用促進が図られています。
【所感】
データ活用と個人情報保護は密接に関連しており、適切に扱うことで安全かつ効果的にビジネスを推進することができます。今回のイベントでは、その重要性が強調されました。また、話の中で必要なデータが揃わないという問題も取り上げられましたが、今後の法改正や仕組み作りによって変化していくことが期待されます。重要な情報を見逃さずに、常に最新の動向を把握しておきたいと思います。
以上が今回のイベントレポートでした。
前後編にかけてお付き合い頂きありがとうございました。
本イベントではDX/AI活用に焦点を当て、特に金融業界について話を伺うことができました。ご参加いただいた方々との懇親会では、さまざまな職種の方々と意見交換する機会があり、活発な議論が行われました。
将来的には、さらに多くの方々に参加していただき、データ活用やAIに関する知識を広めていきたいと考えています。本レポートが少しでも興味を引き、参加していただける方々が増えることを願っています。
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