絡まったものを解き放て


“唯物と五感に絡まった、
意味や価値を解き放て。”

相対的なもので映し出された自分ではない、
自分と共にいること。
ただ存在として共にいる。委ねる瞬間の連続と余韻。

年に数回、この大きく鳴る音が内側から聴こえる。
“魂に潜れ”という呼びかけだと思っている。
あぁ、今年もそんな季節かと思いながら、自分の意志ではどうしようもなくその現象に誘導されていく。

深水していくと唯物をとらえる肉的な眼は、あまり価値を持たず意味を持たない。唯物や五感、意味や価値が消失した時に残るもの。その残ったもので深海に深くいるとき、宇宙というか、時代も時間も空間も超えたものに出逢うのだ。それが、私の中で“魂に潜る”という表現になるんだろう。

深さから戻ってきたこの世界は、冷たくも明らかなアバターの使い分けと駆使が賑わっている大都会のようだ。


アバター自体がアイデンティティとなっている。また、そのバリエーションも時代が加速するほどに増え続けている。メタのメタ化。それはどこまで続いていくだろう。メタ化し続けるというお決まりの動線に飽きた人たちから体験や心や情緒に向けていくのではと思っている。このご時世、注目すべきは、アバターや偶像でなく、そのデジタル端末やマインドを弄っているその奥にいる個人である。そこに来て、やっと人を微かに感じることができる。

こうして言葉を紡ぐことも、メロディを口ずさむことと変わりのない、わたしの情景。

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