英語での失敗?山ほどあるよ
イギリスで働く3年目が始まった。
これまでの2年間、上司や同僚、取引先の人々からの理解や助けなくして、英語ネイティブスピーカーでもない私は職場で生き延びれなかったと思う。
知らない英語表現に遭遇する度、それらをエクセルにまとめてきた。そのリストを振り返ってみると、使いこなせているなと自分を誇らしく思うものと、一生口をついて出ることはないだろうなと諦めるものとさまざまだ。
英語力に起因する失敗談は、山ほどある。思い出したものを記しておこう。
Hang fire ー 火がなんだって?
あるプロジェクトにサブ担当として関わることになったときのこと。
その日の会議で出た宿題のうち、私がやるべきアクションをメイン担当の同僚にチャットで確認していた。急を要する用件もあり、私は焦っていた。
早く同僚からのOKが欲しいのに、何を迷っているのか返事が遅い。矢継ぎ早に同僚を急かす私。すると同僚から、
"Hang fire"
と返ってきた。
「え、なに?火を下げろ?火を掲げろ?どうゆうこと?」戸惑う私。続けてチャットが飛んできた。
”I just want to forewarn everyone first so maybe just hang fire."
なるほど、待てってことか。
洞窟の奥で松明を掲げた冒険者が、獣に遭遇して命の危険を感じ、迷わず武器を向ける姿を妄想をしていた私は、「すぐやれ」ってことかなと勘違いをしていた。
あぶない、あぶない。同僚の返事を待って良かった、と一人胸を撫で下ろしたのであった。
Cambridge Dictionaryによると、「決断を遅らせる」という意味だとわかる。
hang/hold fire: to delay making a decision
当時は会社のネットワーク環境でChatGPTが使えなかったが、今なら「ちょっとこれどういう意味?」と尋ねて、憶測での見切り発車を防ぐだろう。
Penultimate ー これ知ってるノンネイティブスピーカーがいたら尊敬するわ
あるプロジェクトの定例会議が、残り2回となったときのこと。
数ヶ月の間、会議の進行役を務めてきた私は、このメンバーで集まるのも残すところ今回と次回で最後か、と感慨深くなった。そこでこのように始めた。
"Hi everyone, this is the semifinal planning call…."
すると、揚げ足をとることが知性の表れだとしている(と私には見える)同僚が、"Did you say SEMIFINAL??"と苦笑しながら尋ねるではないか。
他のメンバーも楽しそうに笑っている。
「え、変なこと言ったかな」と戸惑っていると、上司が助け舟を出してくれた。
”I think you meant this call is the "PENULTIMATE" one. But I love the word you said."
「え、ペ?ペ、なに?」
聞いたこともない単語である。
眉をひそめる私の様子を見て、上司がチャットでその単語を送ってくれた。
Cambridge Dictionaryによると、penultimateの意味は、second from the lastと出てくる。
いやぁ、指摘されなければ、たぶん一生知らない英単語だったわ。これ、ノンネイティブスピーカーで口をついて出る人なんているのか?"second to last"が関の山ではないか?知らない英単語があるものだ。
ちなみに参加者が楽しそうに笑っていたのは、言いたいことの意味はわかるけれど、"semifinal"は主にスポーツゲームに使う言葉で、この場合にはそぐわないこと。
そしてちょうどそのとき、フットボールリーグの決勝戦だか準決勝のシーズンで、私が(意図せず)それに意味をかけたように見えたこと。
・・・というのも、上司が教えてくれた。
上司から見たら、私が変な英語を話していることがいたたまれないだろうけど、流さずに丁寧に教えてくれて、感謝である。ほんと、死ぬまで学びだ。
もう1エピソードを挙げようと思っていたが、長くなったので次の機会に。