見出し画像

言い争いのその後

アメリカ出張中に経験した、チームメンバー同士(正確には同僚とサプライヤー担当者)の攻撃的な言い争い。

他者によるむき出しの強い感情と言葉に戦慄を覚えつつ、自身の無力さを痛感した、キャリアにおいて重要な経験と言ってよい出来事だったと思う。

翌日すぐに、帰英していた上司に事の顛末を報告し、サプライヤー担当者とアカウントマネージャーへのフォローアップをしてもらった。
週末にも関わらず迅速で誠実で、上司には心底、感謝と尊敬の念を抱いた。自分もこのようなアクションがすぐさま起こせるようなプロフェッショナルでありたいと思った。

さて出張終了後ほどなく、今度は上司が同僚と話す機会が設けられた。同僚とは言っても我々にとっては社内ステークホルダーで、他のビジネス案件の協議を目的とした会議の場だ。
上司は注意深く、アメリカでの件の出来事について持ち出したという。ここで同僚が上司に共有した内容に、私は心底たまげることになる。

曰く、彼女は確かにサプライヤーと言い争いをしたが、人権を侵害するような発言をした意識は毛頭なく、すべてサプライヤー側が悪く、彼らが責め立てられるのは当然であり(実際のメールやチャットも見せながら正当性を主張したらしい)、なんならサプライヤーから私への言葉や態度が許容しがたいものであったため(!!)、私を守るべくそのような申し立てをしたと言うではないか。

えぇ〜〜〜!?どういうこと!?状態である。

確かにサプライヤー担当者のいくつかの発言は、言い訳がましく従順でないように聞こえたものもあるが、私は単に文化習慣の違いと捉えていて、"It's just different."とは言ったが、彼女が繰り返し言っていた"She's rude."には決して同意していなかった。

あ、私、言い訳に使われたな、とピンときた。

あれだけ強い感情と攻撃的な言葉を爆発的に出すタイプの人間、おそらく出張も終わりほとぼりも冷め、なんなら忘れかけてた頃に、まさかその場にはいなかった上司にその出来事を持ち出されて、考えたはず。
自身の発言が一線を越えたものであったことをどこまで認識していたかはわからないが、それらすべては自身の感情のままに行ったものではなく、あくまで同僚(この会話で言うと、上司の部下である私)を守るために行った正当性のあるものなのだと、のたまったのだ。なんて狡猾な!

びっくりするわ。私を守るだとか、私に対するサプライヤーの態度がどうとかなんて、現場では同僚は一言も発してなかった。
上司が彼女の説明をどこまで信じたかわからない。
邪悪で、意地悪で、悪い意味でのずる賢さで、態度を豹変する恐ろしいモンスター。そんな怪物がこんな近くに、同じ会社にいるなんて。
こんなの、到底敵いっこない!

私はまた胃腸が冷え上がる恐怖を抱いた。
いやしかし、世の中には自分の想像を遥かに超える別世界の思考経路が存在することを覚悟し、自分を守るべく打ち返せる肝っ玉と言葉を備えなければ。
劣等感を言い訳にしている場合ではなく、それを払拭して、強く立っていられる自信と覚悟にみなぎっていたい。
どれくらいの時間軸で成長できるかわからないけれど、次に同じような事案が起こったときに、震え上がって何もできないのはいやだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?