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海外転籍という道を選んでよかったこと

日本国外で働く方法はさまざまある。
私がイギリスに生活拠点を移し、働くことになった「海外転籍」という選択肢について、よかったことを記しておこう。なお、これらは私の主観的な意見であって、所属元や転籍先、家族の状況に応じて受け取り方は百者百様であろうことを付記しておきたい。

①人事関係のサポートが心強い、特に就労ビザ取得

「海外転籍」とは、日本法人を退職(除籍)して、グループ会社の海外法人に雇用されることと定義しておく。転籍先の国の通貨で給与が支払われ、その国の労働法に従い、税金や保険のシステムに入ることになる。
海外駐在や出向の場合は雇用主が日本法人である、という点が転籍との違いだろうか。

海外転籍が決まるまでのプロセス(社内公募から面接、採用確定など)はここでは触れないとして、いざ転籍となった際に人事部門のサポートを得られたことはありがたかった。

特に就労ビザの取得に関して、会社が契約しているエージェントから指定される手順に則って書類を準備したり申請手続きしたりと、機械的に進められた。ビザの費用も会社が負担してくれている。自分で申請手順を調べて、自腹で費用を負担して、という状況だったら心が折れていたと思う。

海外転居費用の補助や片道旅費の負担、赴任先での仮住まいの提供や不動産契約の斡旋などは、ケースバイケース。周りの海外転籍者の話を聞くに、所属先の予算や決裁権、雇用契約によってかなり違いがある。ちなみに私の場合は「ミニマムパッケージ」だったが、それでも来たかったので一部でも補助が得られて感謝している。

一方、海外駐在や出向には付随してくるであろう、住居の保証、海外赴任手当の支給、一時帰国費用の負担、などは海外転籍者にはない。すべて自己負担で賄わなければいけないのは、覚悟が必要な点だ。

②日本法人での実績・経験・知識・ネットワークが活かせる

日本法人で数年間培ってきた実績や経験が、グループ会社の土俵でも活用できてかつ評価につながる、という点は海外転籍のよい点の一つと感じる。過去の実績にあぐらをかくわけではないが、日本法人でも大なり小なり目標達成してきたという自信になっている。(記憶の上書き補正ともいう。)

特に、日本法人でラインマネージャーを経験していたことは大きい。会社の人事評価制度、昇給や賞与の決定プロセス、業務改善計画の枠組み、採用面接と新規雇用など、経験することで理解が深められ、今のポジションに活きている。

業界、製品・サービス、顧客、市場環境、組織・職種、規則・システム、などの情報は共通知識として持ち合わせていて、ゼロから学ぶ労力がかからない。細かい点では、社内略語を知っているだけで、会話がかなりスムーズになる。

私は日本担当というわけではないが、ときおり日本チームとのやり取りが必要な事案が生じる。その際、日本法人時代に築いたネットワークを頼りにチームをつなげたり、情報を得たり、依頼事項を個別に連絡したり、というカードが切れる。

日本を離れた期間が長くなるにつれて効力は薄まると思うが、「日本(人)は仕事をきっちりこなす」というステレオタイプを存分に活用しつつ、それを体現するようなパフォーマンスを発揮していたい。

③グローバル本社側からの視点、情報、ネットワークが得られる

私の転籍先が本社の組織下なので、都合上「グローバル本社側」と書くが、実際に身を置いて仕事をすると、日本法人に所属していた際には知らなかった(見えていなかった)世界が広がっていた。

グローバルの組織体制や意思決定プロセス、業務の進め方やスピード感。各国マーケットへの戦略伝達。名前と顔は知っていたシニアリーダーとの交流。グローバルの一挙手一投足が影響する範囲の大きさ。方針転換によって容赦なく再編される組織。価値観や家庭環境に応じてキャリア選択していく人々。。。

日本法人での業務経験があるからこそ、比較できることかなと思う。

もし次のポジションを開拓するときが来たら、グローバルのどこかの部署に挑戦したいと思う。就労ビザの期限はあれど、「片道切符」で来ている海外転籍だからこそ、日本法人に戻るという制約なく次のキャリアを目指すことができる。この点は、まだ私が経験していない「海外転籍でよかったこと」の最後に挙げておく。

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