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四年ぶりの中国上陸

中国上陸準備

 中国に行くまでの一ケ月は、半年前からがんばっているジムに通えるだけ通おうと毎日通い、ジム仲間で銭湯仲間のズッ友オタク先生と、おまえら小学生かってぐらいほぼ毎日会い、筋肉少女帯ブルーレイライブを満喫したり、はっきりいって渡航準備そっちのけで遊んでいた。

 中国に行くとなると、その前に会おうと言ってくれる友達も多く、会える時に会いたい人に会っておく主義の私としてはそういう約束は何一つはずさなかったので、本当に準備なんてろくにしてなかった。

 それでなくともギリギリまで何もしない性格のため、12月が迫ってきてやっと飛行機やホテルのチケットを取った。

 ラッキーなことに飛行機は春秋航空で二万円ぐらい。
 40㎏までの荷物入れても三万円だった。
 ※前日の同日同便の価格は48000円だった。

 使ったアプリはこの二つ。

移動手段はTrip.でホテルはbookingcomで予約

 荷造りは前日夜まで完了しなかった。
 送る荷物が28キロ、持参の荷物が23キロ。
 この国際郵便で後にとんでもない目にあうことになるが、それはまた別の記事にて。

 荷造りをしようと思って数年前のスーツケースを見たら、ファスナーはぶっ壊れてるし、カギもない。

 中国では基本的に荷物はぶん投げられるので、基本ボロボロにされる。
 なので、ぎりぎり壊れるまで使おうとそのまま放置して四年。

 思った以上に壊れていて使えなかったのでAmazonで5700円で買う。

手前の赤いのがぶっ壊れたスーツケース、奥の金が今回買ったもの

 今までより大きいから余裕かと思いきや、季節は冬。
 冬服をとにかくつめこんだのでわりとぎゅうぎゅう。

 翌朝出る時もばったばただった。

 徒歩2分のバス停だが、雪の為重いスーツケースがなかなか動かずたいへん。
 そしてバスターミナルから空港バスに乗り換え。
 これが一番歩かなくて楽なのだ。

 この日は路面がつるつるしていて、バスは少しゆっくりだったけれど、それほど送れず空港に到着した。

搭乗手続きとカツカレー


 去年は島暮らしをしていたり大阪に遊びに行ったりもしていたので国内移動はしているが、国際空港を利用するのは四年ぶりのことだ。

 が、なんかずいぶん変わってると思ったのが、
 中国人が静かだ!!!!ということ。

ほとんど中国人

 私の記憶では、いつも出発の時、荷物でひっかかる中国人多数で、列の先頭でトランク全開で荷物整理している光景がよく見られ、うるさかったりしたのだが、そんな光景今回はなかった。

 わんぱく坊主ども(のちに私の後ろの席になる)を除いて、みんな静かにおとなしく並んでいる。

 この四年で何があった?と思ったけれど、考えてみれば、ここにいる人たちはほとんど観光客ではない。

 お土産の多さで引っかかっていたのはだいたい観光客のおばちゃんとかだった。今、中国から観光に来ている大陸の中国人なんてほとんどいない。

 たぶんここにいる人はもともと日本に住んでいるとか留学しているとか仕事とかそういう人ばかりなのだろう
(ってことを今書いていて初めて気づいた)

 この四年の変化といえば、北海道に来る大陸の中国人が本当に減ったということだ。大体観光客は台湾人だ。

 順調に搭乗手続きも終わり、搭乗口まで入ろうとしたが、ここで私の前のベトナムカップルが荷物検査でひっかかる。
 私もうっかり水を持ち込んでしまったので、彼らの後ろで待っていた。

※これも四年でボケてたところで、私の記憶では、荷物検査の前に水捨てるところがあったはず。ベトナムか中国かも? 
 それがないからうっかり水捨てるのわすれた。

 ベトナムカップルが引っかかっていたのはヨーグルトなど。しかしそれより、どんだけ買うねんってぐらい、荷物の中身がほとんど蒟蒻ゼリー。まさか自分もこの後買うことになるとは思ってなかったが……。

 そしてやっと荷物検査を終えて搭乗口のところに来てみたが、思った以上に飲食店が少ない。

 私はこの時猛烈にカツカレーが食べたかったのだ!!!!

 案内所のお姉さんに聞くとカツカレーはないと言う。
 しかし、私は発見した!
 が、そこには怒涛の韓国人観光客集団。
 最初に支払いするシステムらしいが、中は席が空いているのに受付のところにも誰もいないし、韓国のおじさんも困惑。

 店の中まで入っていくおじさんと一緒にバイトの兄ちゃんに状況を聞く。
 カツカレーが食べたいのに時間がなくて焦っていた私は
「どれだけ待つの? なんで入り口で止めてんの?」
と少々語気も荒く聞いてしまったが20分待つと言われ、泣く泣く引き返す。時間がなかったのだ。

 コンビニもなく、仕方なくみやげもの屋でかまぼこ、更にサブリミナル効果で蒟蒻ゼリーを買う。

が、カツカレーの神は私を見捨てなかったぁ!!!!

なんと飛行機が遅延した。
13時50分発の飛行機が15時10分の搭乗時間に。

これだと着くのが夜になってしまうが、私は脳内で叫んだ。
「カツカレーが食べれる!!!!」

そして私はさっきの店へ。

 さっきのお兄ちゃんは私のことを覚えていたようで謝ってきた。
 私も急いでいたから言い方がきつくて悪かったと謝った。

 しかし、その時も入り口に韓国おばさん集団が。
 でも席は空いていて、ちょうど近くにいたバイトらしい女の子に
「ねえ、なんで入れないの?なんかトラブル?」と聞いてしまった。

 別に急かすつもりはなかったんだが、私の圧を感じたのか、その後韓国マダム軍団と共にすぐ中に案内された。

 そして待つと言われたカツカレーが鬼速で運ばれてきた。
 周りの韓国マダム軍団がちらちらと私のカツカレーを見ている。

 カツ以外は具のないカレーとありえないぐらい少ない味噌汁に福神漬けでもないなぞの漬物だったが、私は念願のカツカレーが食べられて満足だ!

 そして見てみるとその店はホールが二人しかいない。

 ああ、そういや自分も店回らない時入り口で客止めるわと自分の飲食バイト経験を思い出した。
 いっせいに集団で入られても調理の手が回らないし、入り口で待たせておけば帰るかもしれないし、少なくとも席ついて待たせて文句言われるよりはいいからってやつだ。
 席空いてるのに入れないってのは、わりとどこの店もやらされる。

 しかし客の攻撃をくらうのは表に出てるバイトのホールだ。

 見てるとお兄ちゃんは一生懸命働いている。

 私は帰りにもう一度声かけた。

「私が悪かったよ! おにいちゃん、いっしょうけんめいやってるよ! 人出不足なんでしょ? がんばってるよ!」

 謎の昭和おじさん風の励ましに彼も

「ありがとうございます!」と頭を下げ、去る私を見送る。

 なんだこれ……笑

 そして私は案内所に行き、カツカレーがある店を案内嬢に教える。
 その前にもいかに私がカツカレーが食べたいかを説き、空港にはカツカレーはないと言われていたのである。

 別に私はクレームを言ったわけではなく、

「日本最後にカツカレーを食べたいカレー民もいると思うんで、カツカレーはあったと、教えたってください!」

みたいな感じだ。

そしてカフェラテを買い、パソコンで学生の宿題をみる。

要するに暇なのだ。

カツカレーを食べたらもうやることなんてないから、しかたなく仕事していた。

そしていよいよ飛行機に搭乗。

上海女子


 三列の席の私は窓側だった。
 トイレが近い私は、選べるならたいてい通路側を選ぶが、まあしかたない。しかも羽根の部分だから、特に外が見渡せるわけでもない。

 通路側は若い女子だった。
 えげつないぐらい荷物を抱えている。

 なんで上にあげないんだろうと思ったけれど、もしかしたらスペースがないのかもしれない。この状態のまま飛行機は離陸態勢へ。

 幸い、私とこの女子の間の席には人がいないようだ。

 私は女子に話しかける。
 どうやら中国人らしい。

「まんなかに荷物置きなよ」と中国語と動作で伝える。
すると、その子も中国語で「ぬれている」と言いながら、真ん中の座席を示す。確かになぜか濡れていた。

「じゃ、ふいてあげるよ」と私はティッシュで座席を拭き、
「ここ置きなよ!」ともう一度言う。

 彼女はえらい感謝して真ん中に荷物を置いた。

 もともとおせっかいな私は、なんとそれから四時間着陸するまで彼女と話し続ける。しかもほとんど私がしゃべっている。蒟蒻ゼリーやらいろいろ「食べる?」と話しかけてどんどんやろうとする。

「何、おかし嫌い? 甘いの食べないの?」と聞くと

「好きだけど、そんなには食べない。でもチョコレートは好き。特にロイズのチョコレート」と彼女は言う。

 その時、私はたまたま隣の家の人にもらったロイズの板チョコを持っていたので、

「じゃあ、半分にしよう!」と言い、半分も食べれなかったので、「残り全部あげるわ」とあげると、彼女は恐縮しながらも喜んでいた。

 彼女は日本語は話せないようで、中国語と、時々翻訳機を使って話した。

 私たちの後ろはわんぱく坊主×2とお母さんで、相当うるさかったが、私も声が大きいので気にならなかった。

 その女子はとても気にしていたが、私は昔から歩く騒音と呼ばれるぐらい一人でもうるさいので、子どものうるささもそれほど気にならない。

 彼女は上海に住む女子で、アメリカ留学をしていて、ねえさんか誰か北海道にいるから遊びに来たとかで(中国人は血縁じゃなくても姉とよぶからよくわからん)、これから上海の家に帰ると言う。

 なんか今時と感じたのが、おとなしくて警戒心が強いってこと。
 私は地下鉄がよくわからんから、彼女と一緒に行動しようかと、
「どこの地下鉄駅で降りるの?」と聞いたが彼女は住んでいる場所を特定されたくないと教えてくれなかった。本名も言わない。

 でもそのくせ、連絡先は交換したいようで、私たちは連絡先を交換し、その後も彼女からは頻繁に連絡がくるようになった。

上海上陸

 上海女子とずっと話していたので、わりとあっというまに上海浦東空港に到着!
 着陸後、外国人は指紋とるのがあったり出口もちがうので、上海女子とは荷物受け取りの前に別れる。(でも交代でトイレ行ったりできて楽だった)

 しかし、それにしても、彼女とは四時間も話してられたが、ほんと仕事の人とかの中国語はほとんどわからん。

 やっと手続きから解放されて、荷物を受け取り、まず臨時のSIMカードを買わねば!と売り場に行ったけど、ここでも何言ってるかほとんどわからない。普段自分が使うこともない中国語だし。

 私はとりあえず一番日数短くて安いのがいいし電話番号もいらないと言った。大学の安い店で新しく契約するつもりでいたからだ。

 ところがあっさりそれができると思ったら、なんだかワーッとしゃべられて意味がわからない。

 でも、なんかとにかく一番安いのにはしてくれたようで、SIMカードも頼んだら交換してくれた。

 が、思ったよりずっと高い! 
 一番安いってのに270元ぐらいする。

 で、私は下手な中国語でまた確認する。
 それに対してまたワーッと言われたがわからん。

 でもとりあえず、店員さんが
「ほら、WeChatも(中国版LINE、私の命綱)もできるよ!」
と言うので、日本語がよくできる学生キシンちゃんに連絡して、通訳させた。

 が、それでもやはり何言ってるかわからん。

 とにかくわかったのは、中国移動(電話会社)のシステムが変わったらしいってことと、今は私が買ったSIMカードにするしかないってことだ。

 で、しぶしぶ高いなぁと思いつつそれにした。

 SIMカードもとりあえず買ったし、次は長距離バスのバス停へ。
何言ってるかわからない店員に私は最後に「おつかれさん!」と満面の笑顔で言ったが、本当に店員は疲れてしまったようで、ひきつりながら笑っていた。
 なにせ言葉もろくにわからん客にしつこく説明求められて、そりゃつかれただろうよ。しかもそれだけ説明しても、私は「わからん!」だからな。

 バス停に行くと、さっき後方にいたわんぱく坊主×2とお母さんもいた。
 このお母さん、四時間以上ずっと坊主どもを叱っている。
 ほんとこの男の子たちが漫画に出てくるようないたずらコンビで、私はむしろ微笑ましかったが、お母さんの苦労を思うと笑えない。

 バスは運よくすぐ来た。二分後に出発。

 そしてバスに乗っても坊主どもはうるさかったが、さすがに疲れたのか途中で静かになった。寝たんだろう。

 私が目指すのは虹橋空港の第二エアポート。
 そこにホテルを予約した。
 なにせ私はすぐ道に迷うし、携帯の地図もろくに使いこなせないし、翌日の高鉄のことを考えたら、駅に直結してるホテルがいいだろうと判断。

 で、バスは終点前の降り場、次の次で降りると覚えていたはずなのに、なぜか終点まで行ってしまった。

 焦った私はわんぱく坊主のお母さんに「ここはどこ!!!!」と聞いた。
 その時初めてそのお母さんが中国人だとわかった。
 ずっと日本語で怒ってたのか!たいへんだな!と思った。

 まあ、その感想はともかく、お母さんもよくわかってないようだから、運転手さんに聞いた。

 どうやらホテルは歩いて行けるらしいし、すぐそこだっていうんで安心した。

 そっしてホテルについたら、今度は500元のデポジットを払えと言われ、英語がわからず困ったが、中国語で「ヤージン(押金)」と言われて何とかわかる。

 ホテルの部屋は綺麗だった。

 高鉄の駅も直結してるし、22時近くに私は晩御飯を買いに行こうと思ったが、たまたま廊下ですれちがった従業員に聞いたら
「もう閉まってるだろう」とのこと。

(上海の駅のコンビニ24時間じゃないのか!)と驚いた。

 しかたないから、もらったコストコのインスタント食品を食べる。

 そういや前は赤いきつねだったなぁなどと思いながら、持ってきてよかったと思った。

 で、就寝。

 この日は日本最後の食事にカツカレーが食べれたし、上海女子の友だちもできたしで、いい日だった。

 この時、私は翌日の高鉄の移動がとんでもないものになるとは思いもしないのであった……。

つづく


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