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結核が再び注目される理由とは?感染拡大の現状と予防策
かつて「過去の病気」とされていた結核.しかし、近年結核の感染が再び注目されています.結核は日本でも感染者が依然として確認されており、特に免疫力の低下した高齢者や都市部での感染が増加しています.結核に対する正しい知識を持ち、予防策を徹底しましょう😊
1. 結核とは?
結核は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる感染症で、主に肺に感染しますが他の臓器にも影響を及ぼすことがあります.結核は空気中に飛散した結核菌を吸い込むことで感染し、長期間の治療が必要になる場合があります.
2. 感染経路とリスク
結核は空気感染によって広がります.結核にかかっている人が咳やくしゃみをすると、結核菌を含んだ飛沫が空中に放出され、それを周囲の人が吸い込むことで感染します(空気感染).
特に、免疫力の低下した高齢者や、栄養状態が悪い人、またはHIV感染者などの免疫不全を持つ人がリスクにさらされます.
3. 現在の結核感染状況
最新のデータによると、日本国内でも結核の報告件数は減少傾向にあるものの、完全に撲滅されているわけではありません.2021年の厚生労働省の報告では、年間約1万5千人の新規結核患者が確認されています.特に都市部での高齢者やホームレスの間での感染が問題視されています.
また、世界的には発展途上国を中心に依然として毎年約1000万人が新たに発病し、約130万人が命を落としています.特にアジアやアフリカでは、結核は大きな公衆衛生の課題となっています.
4. 結核の症状
結核の初期症状は風邪やインフルエンザに似ているため、見過ごされることがありますが、以下のような症状が2週間以上続く場合は注意が必要です.
★持続的な咳や痰(特に血痰)
★発熱
★夜間の寝汗
★体重減少
★倦怠感
結核が進行すると、肺に深刻なダメージを与え、呼吸困難や胸の痛みを引き起こすことがあります.特に放置すると感染が他の臓器に広がり、生命を脅かす可能性があります.
5. 結核の予防策
結核の予防には、以下の基本的な対策が重要です.
・定期的な検査を受ける
特にリスクの高い人(高齢者や免疫力が低下している人)は、定期的に結核検査を受けることが推奨されます.結核は早期発見・早期治療が重要で、早期に治療を始めることで他者への感染を防ぐことができます.
血痰が出現している人は特に注意が必要で、肺結核の他に肺がんや肺真菌症など、その他の疾患に罹患している可能性もあるため『喀痰培養』(菌が生えるかどうか時間をかけて見る検査)と『喀痰細胞診』(病理医が顕微鏡で細胞や菌を染色したりして詳しく確認する検査)という痰の検査をしたほうが良いと思います.自身は痰を容器に入れて提出するだけなので痛くもないし身体への負担もほぼありませんので、積極的に検査を受けにいきましょう!
・BCGワクチン接種
結核に対するワクチン(BCG)は、特に子供に対して接種されています.日本では定期予防接種として生後5か月未満の乳児に接種が推奨されています.成人に対するBCGワクチンの効果は限定的であるため、通常は接種されませんが、特別なリスクがある場合は医師に相談してください.
・感染対策の徹底
結核患者との接触を避け、公共の場ではマスクを着用することが感染防止に役立ちます.また、家庭内で感染者がいる場合は、換気を十分に行い、家族内での感染を防ぐ対策を講じましょう.
・栄養バランスの取れた食事
免疫力を高めるために、バランスの取れた食事を心がけましょう.特にたんぱく質やビタミンC、亜鉛などの栄養素が免疫機能をサポートします.
6. 結核の治療と費用
結核の治療は、通常複数(3~4種類)の抗結核薬を6〜9ヶ月間継続的に服用する必要があります.治療が不完全であったり、薬を途中でやめてしまうと薬剤耐性結核(多剤耐性結核)を引き起こす危険性があり、より長期間かつ複雑な治療が必要になります.
・診察費用
結核の診察や治療は公費負担医療の対象となり、自己負担額が軽減されます.
・治療費用
抗結核薬の費用も公費負担の対象であり、経済的な負担を軽減できます.ただし、入院が必要な場合や多剤耐性結核の治療は長期化するため、医療機関や自治体に相談して適切な支援を受けましょう.
まとめ
結核は過去の病気ではなく、現在でも感染リスクがあります.特に高齢者や免疫力の低下した人々にとっては注意が必要です.
定期的な検査や適切な予防策を行い、結核から自分や家族を守りましょう.
結核の疑いがある場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です.
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