見出し画像

紙巻きタバコと電子タバコの併用、禁煙成功率を下げる

タバコをやめたいと思って電子タバコを試していませんか🤔?

紙巻きタバコと電子タバコを同時に使う「二重喫煙」が、禁煙を妨げる可能性があることが明らかになりました.

ドイツの研究チームが発表した大規模な解析結果では、電子タバコを併用している人の禁煙成功率は、むしろ低下していたのです.

禁煙を目指す方にとって、この事実は重要な注意点となるでしょう.


紙巻きタバコと電子タバコ併用のリスクとは?


紙巻きタバコをやめるために電子タバコを使う人が増えていますが、実際にはこれが禁煙の成功を妨げる可能性が高いことが、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのJosef Hamoudらの研究*で明らかになりました.

*参考文献📖 Josef Hamoud, et al. ERJ Open Research: 00902-2024

この研究は、「ERJ Open Research」に掲載された、16件の過去の研究を統合したシステマティックレビューとメタ解析です.

研究では、紙巻きタバコと電子タバコを併用する「二重喫煙者」2,432人を含む、9,337人の喫煙データが解析されました.

その結果、二重喫煙者は禁煙に成功しにくいことが明らかになったのです.

併用者の禁煙成功率は低い


解析の結果、電子タバコを併用している人は完全禁煙に至る確率が低く、喫煙継続のリスクが高まることが判明しました.

★完全禁煙に成功した割合
 ●4〜8カ月後
  二重喫煙者:3%
  紙巻きタバコのみ:6%
  電子タバコのみ:8%
 ●8〜16カ月後
  二重喫煙者:5%
  紙巻きタバコのみ:7%
  電子タバコのみ:19%
 ●16〜24カ月後
  二重喫煙者:13%
  紙巻きタバコのみ:17%
  電子タバコのみ:26%
 ●24〜48カ月後
  二重喫煙者:24%
  紙巻きタバコのみ:25%
  電子タバコのみ:35%

このデータから、電子タバコを併用している人ほど禁煙に成功しにくい傾向が明確に見られました😯

なぜ電子タバコ併用が禁煙を妨げるのか?


研究者らは以下の理由を挙げています.

・過渡的な使用が習慣化
電子タバコを「一時的に」使用しているつもりが、長期化してしまう

・ニコチン依存の維持
電子タバコにもニコチンが含まれるため、依存が続く

・誤った安心感
「電子タバコは害が少ない」という誤解が、使用の継続につながる

Hamoudらは、「二重喫煙は過渡期ではなく、むしろ新たな依存の形であり、完全禁煙を妨げる可能性がある」と警告しています⚠️

電子タバコのリスクを過小評価してはいけない!


欧州呼吸器学会(ERS)のタバコ規制委員会委員長であるFilippos Filippidisらは、次のように述べています.

「今回の研究は、電子タバコと紙巻きタバコの併用が禁煙の妨げになることを明確に示した重要な報告です、特に非喫煙者が電子タバコを使用し始めることがないよう、強力な規制が求められます」

まとめ


★電子タバコは禁煙補助として不十分
今回の研究結果は、「紙巻きタバコ」と「電子タバコ」の併用が禁煙の成功率を下げるという重要な事実を示しています.

禁煙を目指す場合、電子タバコはむしろ障害になる可能性が高く、完全禁煙を目指すことが推奨されます.

★禁煙成功のためのポイント
・完全禁煙を目指す
紙巻きタバコも電子タバコも一切吸わないようにする
・禁煙外来の利用
医療機関で専門的なサポートを受ける
・禁煙補助薬の活用
ニコチンパッチや禁煙ガムなどの使用も効果的

あとがき


禁煙は、自分自身と家族の健康を守るための大切な一歩です.

電子タバコが「害が少ない」と思って使い始めたとしても、依存を強めるリスクがあることが今回の研究で明らかになりました🚬

本当の健康への第一歩として、完全禁煙を目指してみませんか?

いいなと思ったら応援しよう!

No.28@呼吸器内科医
もしこの記事があなたに役立ったり、応援したいと思っていただけたなら、チップをいただけるととても嬉しいです😊!皆さんからのサポートが次のコンテンツ制作への大きな励みになります、ありがとうございます!🙏✨️