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パフィンの少しDeepな解説

多くの人にとって、アイスランドで見たい鳥第1位はパフィンなのではないだろうか。お土産屋さんにパフィングッズが多いのを見るに、世界的にも愛されていることが分かる。ペンギンのような可愛らしい見た目とややどんくさい歩き方…ずっと見ていられる鳥だが、何のためにアイスランドにいるのか、普段何を食べているのか、冬はどこに旅立つのか、詳しく解説された日本語のガイドブックはまずないのではなかろうか。今回はアイスランドに10ヶ月ほど滞在したことがある筆者(CKとする)が、少しDeepなパフィンの解説をお届けする。

アイスランドパフィンのコピー

パフィンは、英名が「Atlantic Puffin」、アイスランド名は「Lundi」、和名は「ニシツノメドリ」である。ツノっぽい目をしているからツノメ(角目)ドリという。パフィンは北大西洋の広い範囲に分布している。近縁種の「ツノメドリ (Horned Puffin) 」は太平洋に分布しており、冬になると北日本の海上でも見られることがある。

アイスランドパフィンのコピー2


パフィンは「ウミスズメ」と呼ばれるグループに属し、空を飛べるし海を泳げるとても器用な鳥だ。パフィンは深さ最大48m、最長2分程度まで息をこらえて潜ったという記録があり、潜水能力が非常に高い。ペンギンの方が長く潜れるんじゃない?と思った人もいるかもしれないが、単位体重あたりの潜水時間に計算しなおすと、ウミズズメの仲間の方が潜水持続時間が長い。

アイスランドパフィンのコピー3


アイスランドでは5月から8月頃に子育てのためにやってきたパフィンを観察することができる。子供を育てるために柔らかい斜面に穴を掘って巣を作り、中で卵を産んで雛を育てる。子育てが終わるとパフィンたちは南の海で冬を越す。冬の間は顔がくすんだ色(冬羽)になる。

アイスランドパフィンのコピー4


アイスランドでのパフィンの主食はカラフトシシャモやイカナゴなどの小魚である。雛にも小魚を与えるわけだが、魚を運ぶのに巣と海を何度も往復するのは大変である。なので、一度にたくさん運べるように特殊なギザギザの形状のクチバシを持っている。また、餌をとって巣まで運ぶのに冷たい海と暖かい地上を行き来すると、体温調節が大変である。パフィンの大きなクチバシは内部の血流量を変えることができ、体温調節をするのに重要な役割を持っているとのこと。

アイスランドパフィン


パフィンの肉は貴重な食料源としてアイスランド人の食卓に並んでおり、一部のレストランでも食べることができる。食べる際にはぜひ肉の色に注目してほしい。先ほど、パフィンは長時間潜水可能だと紹介した。これは筋肉中に多く含まれるミオグロビン(酸素を蓄えるタンクの役割を持つ)の濃度が高いことが一要因だと考えられてる。ミオグロビンは赤黒い色素タンパク質なので、パフィンの肉(特に胸筋)は赤黒い色く見えるのだ。長く潜れるように進化してきた海鳥の肉の味は、鶏肉とどう違うのか?ぜひレストランで味わってほしい。


さて、そんなパフィン、一体どこで見られるのだろうか。
一番簡単なのはレイキャビクからホエールウォッチング船に乗ることだ。近くに繁殖している島があり簡単に見ることができる。ついでにクジラや他の海鳥も観察できるありがたいツアーだ。でももう少し近くで見たいと感じる人もいるかもしれない。

私が一番おすすめしたいのは東アイスランドのBorgarfjarðarhöfnだ。レイキャビクからは遠く離れており、途中不安になるくらいの山道が続くが、到着した暁には目の鼻の先でパフィンを観察することができる。途中の道ではたくさんの海鳥やトナカイと出会うことができるだろう。まさに極域のサファリである。

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次回の少しDeepなアイスランドの生物講座ではチョルトニン湖の鳥類について紹介する。

CK

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