島地保武×環ROY「ありか」
あんまり観劇・ダンス鑑賞の感想を書いてこなかったのですが、書いてみるのもアリかも?と思ったので、書いてみます。
作品詳細:http://shimaji.jp/arika/
●きっかけ
この作品に行こうと思ったきっかけは、おそらく新国立劇場で6月に上演した「ふしぎの国のアリス」にチラシが挟まってたのを見たのかと思います。所属している会社でカンパニーデラシネラの制作をやっているので、KAATダンスシリーズ繋がりで知ったのかもしれません。
島地さんの作品は(おそらく)今まで見たことなくて、そして実は恥ずかしいことにNoismも見たことないのですが!!ボスが「たぶん好きだよ」と言ってくれたのと、夫が音楽好きなので環ROYさんが出るなら抵抗ないだろうし、連れて行こう!と思ったのでした。実はむしろ環ROYさんは他の企画で2回ほど拝見しています。
あと、チラシデザインもめちゃめちゃ良かったですよねー。
●作品について
・舞台・美術・装置について
左右に四角い舞台があり、それを繋いでいる橋があるような舞台面で、その橋を挟むように対面で客席がありました。対面客席、嫌な人は嫌みたいですよね。わたしは色んな人見られるし、表情とかも見れるので好きですが。
かなり話が飛びますが、昨年ニューヨークで見た『FUN HOME』という同性愛を題材にした超傑作ミュージカルでも対面(というか円形劇場)で、大の大人が涙ぐんでいる姿含め、感動してしまい、それ以来対面好きです。
話を戻しますが、四角い舞台面の片方には舞台上にPCなどの機材、もう片方には変な形のマイク?が置いてありました。
照明は客席含めて全体を照らすようなもの(ナトリウム?)、舞台面を白くくっきり見せるもの、裸電球のペンダントがいくつも吊ってあったり、かなりアクセントになっていました!美しかった~。ペンダントはもうすこし低く吊っても良かった気がするけれど。見上げないと、視界に入ってこない感じで少し残念でした。
・内容について
ダンスのスペシャリストである島地さんと、言葉のスペシャリストである環さんが、お互いのスキルに対してリスペクトしつつ、真似をしたり対決したりしていくような構成に見えました。2人で言葉を交わす際は島地さんがどうしても未熟に見えてしまうし、2人で身体を動かす際は、反対に環さんの拙さが浮き出る。でもそれが本当にとってもキュートでした。
でもそういうのを、お互いに放置するのでなく関わり合いながら展開するので「こっぱずかし~!みてらんなーい!」という感じにはならない不思議さがありました。
そして、暗転ぽくなって、「もう終わるのかな?終わらないのかな?」という状態で始まった、島地さん”モダンバレエ”的なダンス。一観客として『え~、今までオフビートな感じでやってたのに、今これやりますかい、おい!』と内心突っ込みをいれながら見ておりましたが環さんが「ダサ!」と言ってくれたおかげで、『なるほどね!痛烈批判ね!』と分かってかなり痛快でした。
おそらく、2人が共鳴して作品を作るには2人の共通の想いが必要だけれど、モダンバレエ的な動きは、「ソレ」じゃない。あくまでもダサくない≒カッコいい、ダンスであってラップだよね?という、痛烈批判を交えた前提共有みたいなものだったなぁと。
さらに面白かったのが、ラップを歌いながら身体を動かしたりするので、動きが言葉の表象となっているのが直接的に分かるというか。それって他のダンス公演では、なかなか無いことで、普段はそれを求めずに見るから何を得たのか分からないまま終わってしまうこともあります。その点この作品は、その時々の状況が観客に対して分かりやすく提示された印象でした。
そして最後の方、環さんのマイクパフォーマンスと島地さんの全力ダンス!やぁ、もう単純にカッコよかった…。『そうだった、この実力のある人たち何だった…』となりました、圧巻。良い作品見させてもらいました、ありがとうございます。
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