「怪物」を観た
どんな作品なのか、子供が喧嘩して居なくなった、そんな程度のあらすじしかわからないのに、「きっといま観なければいけない作品なのだろう」と感じさせるのは、坂本龍一教授の音楽家だけではない、なにか胸のざわめきや危機感を感じたからかもしれない。
それだけ、監督や脚本家のネームバリューだけではなく、予告から感じ取るテーマ性が強く伝わったからだと思う。
様々な視点
人それぞれの視点で、見え方や感じ方、印象が違い、ひとそれぞあに真実が違うということは、きっといつかはたどり着く人の真理のひとつだろう。
それを見事に映像化したのがこの「怪物」だった。
人とヒトの関わりが大いに職場ではとくに感じる真理だと思う。
この誤差、感じ方の違い、信じる物の違い、見えているモノの違いで、人はすれ違い、分かり合うタイミングを逸して、時には取り返しのつかないことになることを痛感するのはただ生きているだけでは得られないことだと思うけど、それをしっかりと体系させる映画であることが素晴らしい。
ネタバレできないのがもどかしい
一瞬のミステリ要素もあるのでネタバレできないのがもどかしい。
ただ子を持つ人ならきっと直面するリアルな話しであり、今後の言葉選びや接し方をかんがえる良いきっかけになるはずだと思う。
息子が直面する未来でもある
息子がこの作品で描かれた出来事に直面し、親である私も直面する日が来る可能性が高い。
情報に惑わされたり、自覚したり、きっかけや本質は様々だろう。
そのときに、手を差し伸べただ抱き合って、寄り添い、理解し合えるのか。
それが大きな大きな課題だ。
私や妻はきっと大丈夫だと思っている。
でも、子供自身がどのように捉え、迷うのかは不明瞭だ。
ラストシーンはいまの日本
この映画のラストシーンがいまの日本の現実であるのだろうとも思う。
何も気にせず、自分を疑うことをしなくていい世の中ではないから。
あのラストシーンを向かえなくて良い、何も気にせず、誰とでも同じように生きていける世の中にうちの息子が歩んでいけたらと切に願い、そして親としてせめて近くに寄り添っていけるようにしていこうと、そう違うような、そんな大事など作品だった。
最期に坂本龍一教授の音楽の息づかいまで伝わる作品が脳に優しく染みわたる音楽で素晴らしすぎました。
ありがとうございました。