T.M.Revolution「WHITE BREATH」の歌詞を(冬とClariSのせいにして)真剣に読んだ
まえがき(え?なんで突然の T.M.Revolution? )
前回記事でこんなことを書いて終わった本ブログ。
さ~て、初回記事に書いた好きなアーティストの誰にしようかな?
まどマギの影響でClariSとセットで好きな人が読者にも多そうなKalafinaとかが無難かな~、とか今週初めくらいまでは考えていました。
それなのに、今なぜか T.M.Revolution について書こうとしています。
どうしてこうなった?
はい、推しのせいです。
来月発売のコンセプトミニアルバム「WINTER TRACKS ー冬のうたー」。
そこでなんと「WHITE BREATH」がカバーされることになり、早速フルサイズのリリックMVが先行配信されました。
【以下、読まなくていいオタクの早口語り】
いや、まず平日の13時にいきなり収録曲発表しないで下さい仕事が手に付かないんです、てかアルバムのイメージイラスト良すぎませんか神々しすぎて失明するんですけど????そんでWHITE BREATHのイラストは千種みのり先生???ワイ氏普通に2年前くらいからツイッターでフォローしてる神絵師さんなんですけど?たしかまだ20歳くらいの若い女性なのに既に人気イラストレーターとして不動の地位を確立しているとんでもないお方ですよね?
女性絵師さんらしく、セクシーな構図でもいやらしさより可愛らしさや爽やかさを感じるのがやっぱり男性絵師とは違う所だなって思ってて好きなんですけどその神絵師さんがClariSの公式イラスト描いてくれるってどんなご褒美なんですかってあぁぁぁ千種先生のクララちゃんとカレンちゃんカッコカワイイふつくしいにも程があるんですけど待って待って待って待って(略)
【早口終了】
・・・とか、色々言いたいことはあるんですが。
え? WHITE BREATH?
まずこの選曲にビックリですよね。
ClariSファン以外の方向けに一応補足すると、実は西川貴教さんとClariSはフェスで共演経験があって親交があるので、T.M.Revolution の曲をカバーすること自体にはそんなに驚きは無いんですよ。
でも WHITE BREATH?
このアップテンポの荒々しい曲調で、
かつ歌詞も色々とセクシーなこの曲をClariSが?
と面食らったのは筆者だけではなかったようで、ツイッターのタイムラインはお祭り状態でしたが、いざClariSが歌うリリックMVが公開されると、
ええやん・・・。
これ、むっちゃええやんけ・・・。
と、筆者も盛大な手のひら返しをキメざるを得ませんでした。
もう何なん?なに歌ってもちゃんとClariSになるじゃん。
しかもこの歌詞ですら、ClariSが歌えば「宝塚の男装の王子様」とか「少女漫画の俺様系ドS王子様」みたいな妙に健全な爽やかさで聴こえる気がするのも何なん?
本当に男性ホルモン出てるの?って聞きたくなるくらい肌白くて体毛が薄いジャニーズのイケメンかよ・・・透明感の化身か・・・?
・・・とまぁ、いつも通りツイッターで延々クソデカ感情を吐き出し続けていたわけですが、改めて聴いてみると T.M.Revolution の原曲も良いですね。
筆者は1992年生まれなので、1997年にヒットしたこの曲は正直あんまり世代じゃなく歌番組とかで何回か聴いたことはあるかな~くらいの感覚でした。
なので、今回カバーされると知って初めて原曲をちゃんと聴いて、歌詞も真剣に読んで「マジ?これをClariSが・・・?」と思っていたらあっさり手のひらクルーしたというわけです。
で、リリックMV公開前に何回も聴いてたら「原曲良いじゃん、歌詞も面白いじゃん」となったので、せっかくなので記事にしてみたくなりました。
というわけで、(いつもどおり) 前書きがクソ長くなりましたが、T.M.Revolution の名曲「WHITE BREATH」の歌詞を真面目に読んでいこうと思います。
曲紹介
作詞:井上秋緒 作曲・編曲:浅倉大介
1997年の大ヒット曲。
CD売り上げは102.9万枚のミリオンセラーという、T.M.Revolution の代表曲の1つらしいです。
西川さんお約束の強風MVは一応観たことがありました。
歌詞考察
歌詞全体から筆者が感じた印象
・現代社会で生きていくことへの生きづらさ、孤独感、虚無感
・本音では心の触れ合いを求めているけど、深く関わって傷付くくらいなら身体だけの関係で一瞬の快楽に身を任せてその日の寂しさを埋めたい
では、いつもどおり歌詞を順に見ていきます。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/10096/)からの引用
1番
いきなりメチャクチャ大人な場面から始まりますね。
こんな凍えそうな人肌恋しくなる季節だっていうのに、
君はまだ「愛」がどうとか気にしてるの?
そんなのどうだっていいから、
「冬のせい」にして僕と(裸で)暖め合おう、と。
ビジュアルにも声にも色気がある西川さんだからこそハマる歌詞って感じがしますね。
「TVを消し忘れ~ノドを痛めてる」の部分は、この曲全体から感じる孤独感が現れてるフレーズだなと思います。
「乾燥した時間にノドを痛めてる」とか、テレビが点いた部屋で1人で孤独を感じてる空気感と冬の季節感の両方を感じられて良いなと。
で、ここから一気にセクシャルさが上がるんですが、
「AM0:00解禁で見られる明日のビジョンは
大事なトコに来てモザイクがかかる」
なるべく言葉通りに受け取ると「日付が変わって明日がやって来たけど、希望や明るい展望が見えず不安を抱えている」的な漠然とした不安な気持ちも感じられます。
なんですけど、次の行の「ウカツな僕のせつなさを中に出させて」と合わせるとセクシャルな意味合いも一気に匂い立ってきます。
つまり、深夜になるとそういう大人な時間が始まる。
大事な所にかかるモザイク。
そして「中に出させて」なので・・・、うん、まぁ、って感じです。
でも、いわゆるそういう液体を「せつなさ」って表現するのはこの曲全体の雰囲気と合ってると思うんですよね。
どうしようも無い孤独や不安、焦りを感じて何かで寂しさを埋めたがっている。身体だけの関係でも良いから今日暖め合える誰かを求めている。
そんな僕のせつなさを受け止めて欲しい。意図的じゃなく「うかつだった」ってことにして嘘だと分かってても受け入れて欲しい。
そんな感じの、BLに出てきそうな「一見オラついてるのに中身は繊細な色白細マッチョイケメン」みたいな雰囲気を感じます。
こういう男性に母性をくすぐられちゃうダメ男製造機な女性、結構居ると思うんですよね(偏見)
2番
筆者がこの曲の歌詞で一番好きなの、この2番かもしれません。
「タランティーノ監督の映画くらい観ないとダメだよ」とか通ぶって言ってくる勘違いサブカル野郎にイラっとしつつ、「もしかしたら、自由に生きてるつもりの自分も結局はこいつと同じで、個性派なつもりで実は世間のレールやメディアが作り出した流行に乗せられてるだけなんじゃないか?」って不安になるっていう描写なのかな~と思っています。
多分この勘違い野郎がタランティーノ監督を知ったのは、POPEYEみたいなサブカル系情報雑誌を読んでだと思うんですよね。
インターネットも今ほど一般的じゃなかった1997年はこういうサブカル情報って雑誌が大きな影響力を持っていたと聞いていて、筆者が中高生だった2000年代もネットは普及してもSNSやスマホはまだまだだったので結局若者の流行も雑誌やテレビが作ってる部分が結構ありました。
多分「最先端のイケてる若者が見てる映画はこれ!」みたいな記事で知ってドヤ顔でタランティーノって言いまくってるんだろうな~と。腹立つ笑
筆者は1作も観てないですが、タランティーノ監督の映画(「パルプ・フィクション」とか「キル・ビル」はさすがに有名なのでタイトルだけは知ってます)は暴力描写が多いバイオレンスな作風らしいので、それをドヤ顔でオススメしてくる奴がろくにケンカしたこと無さそうなひ弱なサブカル文化系なのが余計イラつく、って言うのも含めてリアリティ有る描写ですよね。
ビデオ屋でレンタルして映画観るって所まで含めて、1997年のリアルな日常って感じがします。
「敬語を無視する今時の強さください」からは、奔放に生きてそうなこの歌の主人公が、内心では社会の仕組みに適合出来ない自分にコンプレックスを抱えてそうな印象を受けます。
この頃ってちょうどコギャルとかが流行ってた時代だと思うので、敬語とか大人のルールなんて平気でガン無視するような強さが欲しいっていう、1行だけですが意外と切実な気持ちのような気がします。
「雪吹雪く~」の2番のサビを聴くと、この男女の関係性にちょっと切なさも感じてしまいます。
吹雪の山小屋に2人っきりになって、嫌でも暖め合わなきゃ死ぬような状況になれば。そうすれば、僕も君もお互いの「愛」とか「本音」とか四の五の頭で考えることを止めて、本能で交われる(意味深)でしょう。
逆に、そうでもしないと何かお互いの事情があって素直になれないような、「冬のせい」って言い訳でもしないと身体を重ねられないような、切ない距離感があるようにもこの歌詞からは感じられますね。
ラスサビ
「こんな寒い時代」って言うくらいなので、やっぱりこの歌の主人公は現実に生きづらさを感じてそうですね。
「寂しさ舐め合うけど」も、この歌の中で聴かされると比喩表現的な意味と実際のセクシャルな意味の両方を連想させる感じがします。
全体的に、かなり直接的な性の描写を連想させる言葉が沢山あるのに、いやらしさや下品さより詩的さや切なさが強調されているような感じがして、意外とすんなり聴けてしまいます。
これは、曲の疾走感と西川さんの色気もありつつ伸びやかで爽やかな声、そして作詞の井上秋緒さんが女性なのが大きい気がします。
やっぱり男性が同じような場面を描くとどうしても官能小説みたいなエロスの方が際立ってしまうと思うんですが、女性が描くと不思議といやらしさより心情の方が際立つような印象があります。
前書きで千種みのり先生のイラストの下りでも書きましたが、イラストでも詩でもやっぱり女性と男性ではエロスを感じる力点が違うんだと思うんですよね。筆者が女性作詞家さんの詩を好きになりがちなのも、この辺に魅力を感じているような気がします。
最後の「愛が誰かを呼ぶの?」「なんも持たずに歩く僕だから暖めさせて」とかも、とにかく誰でも良いからこの寂しさを埋めて欲しい、みたいな心の叫びで終わってるような気がします。
やっぱり女性作詞家さんだからか、この曲で描かれる主人公の男性はオラオラ感と繊細さ・弱さが同居しているような感じがして、女性の母性本能をくすぐりそうですね。西川さんのビジュアルにもとても合ってて、これにハートを撃ち抜かれる女性が当時沢山居たんだろうなと想像できます。
おまけ:B'z 「BAD COMMUNICATION」
WHITE BREATHの歌詞を真面目に読み込んでいて、なんかどこかで見たような既視感がある気がしてたんです。
で、気付きました。これ B'z の「BAD COMMUNICATION」と歌詞のテーマが近い気がする。
※余談ですが、色々なアレンジがありますが筆者は ↓ の原曲版がなんだかんだ一番好きです。このバブル真っ盛りな1989年って時代を感じるアレンジが癖になる。
おまけなので歌詞の引用はしませんが、かなり近いものがありますよね。
WHITE BREATHは女性の井上秋緒さんが描く男性、BAD COMMUNICATIONは男性の稲葉さん目線ですが、「オラオラ感と繊細さ・弱さの同居(かつ顔がイケメン)」っていうのが女性に刺さる要素なのかもしれません。
まあ少年漫画で(腐女子)女性ファンに人気が出るキャラって大体そういう要素ありますもんね・・・。
あとがき
というわけで、初のClariS以外のアーティストで書いてみました。
いかがだったでしょうか?(結局文字数の半分くらいClariSじゃん)
いや、しかしまさか初めてを西川兄貴に奪われるとは・・・(言い方)
でも書いてて楽しかったですし原曲も好きになりました。
やっぱり、今までそんなに聴いてなかったアーティストを好きになるキッカケになるのがカバーの良い所ですね。
WINTER TRACKSの他のカバー曲も超楽しみです。
では、今回はこの辺で。