【いのちの停車場】南杏子
南杏子さんは初めて読む作家さんです。
東京の救命救急センターで働いていた咲和子は、あることがきっかけで故郷に戻り訪問診療医になる。
在宅医療とは病院に通うことが難しい患者に対して医師が訪問をし継続的な治療を行う医療の形。
すなわち家族に患者の「死」を見守らせることになる。
咲和子は在宅医療を通じてさまざまな患者に出会い今までは知ることがなかった患者とその家族の苦悩を知る。
患者の病気の苦しみや死を受け入れる気持ち、そして最後の望み。
患者家族の介護負担や愛する人を失う悲しい現実。
患者の治療の苦しみを分かっていても家族が延命治療を望む気持ちは痛いほど伝わる。
家族は愛する人の病気や死を受け入れられないのだ。
この作品を読んで患者や家族の気持ち、亡くなるときの選択肢、命の大切さを学ぶことができました。
もし私や大切な家族が同じ立場になったとき、どうしようか、どうすればいいのか、どの選択が正解なのか、考えさせられる作品でした。
小説の帯にある『人生の最後をどのように迎えるか。人には、それを自分で決める自由があるはずだ。』
最後にこの意味が伝わる一冊です。