【Nのために】湊かなえ
ストーリー
高層マンションに住む野口夫妻の死体が部屋で発見される。
その現場に居合わせた男女4人。
なぜ4人はその現場にいたのか。
なぜエリート夫妻は亡くなったのか。
4人の証言とそれぞれの視点からの回想で物語は進んでいき次第に事実が明らかになっていくのだが・・・
感想
まず読み始め数ページでこの物語はきっと私好みの作品だろうと確信しました。
この時点で私は興奮と共に気持ちが高まっていく。
その確信通りすぐに物語に引き込まれ先が気になって読む手がとまらない。
4人の証言から物語は始まり次にそれぞれの回想になるのだが、それは各自が抱える秘密でもあり誰かに語ることもなければ知らせたいとも思わない。
『その人のためなら自分を犠牲にしてもかまわない。その人のためならどんな嘘でもつける。その人のためなら何でもできる。その人のためなら殺人者にもなれる。みんな一番大切な人のことだけを考えた。一番大切な人が一番傷つかない方法を考えた。』
物語を読み終えたあとにこの言葉をもう一度読むと、その意味が分かりとても切なくなる。
登場人物のイニシャルがすべて「N」であることからタイトルの「Nのために」なのも好きだ。
すべてはNのためにしたことだった。
愛するNのために。
湊かなえさんの作品は「告白」が一番好きですがそれと同じくらい心に残る好きな一冊になりました。
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