京都の思い出


俺は新入社員の藤川菜緒。
今回は三村社長のお付きとして京都に来ている。無事何事もなく会議も終わり、俺と社長は居酒屋で酒を呑んで労った。
社長は仕事に対して厳しいが、自分の指導に折れずについてくる俺の事を気に入ったのか、最近はこうして自分の付き人として俺の事を可愛がってくれている。俺も、厳しいが色んな場面で助けてくれる社長のことを上司として好いていた。
「おっともうこんな時間か。藤川、今日は早めに切り上げるぞー。お前を連れていきたい所があるんだ。」
お酒でほろ酔いしている三村社長が上機嫌でそう言った。
「どこへ連れて行ってくれるんですか、社長?」
「それは行ってからのお楽しみだ♪お前もきっと気にいるだろう。俺が京都の楽しみ方を教えてやる!」
そう言って社長は居酒屋を後にする。社長がわざわざ俺に教えてくれる楽しいコトとはどんな事なんだろう…。俺は楽しみで浮き足立ちながら社長の後ろをついていった。

「しゃ、社長…ここって、、、」
「お前はもちろん初めてだろうな。そう、ここは"祇園"だ。芸妓さんの舞を見たりお遊びができたりする場所だぞ。これがまた楽しいんだ!さぁ、今日はとっておきの芸妓さんを呼んである。楽しもうじゃないか!!」
社長についていってたどり着いた場所はなんと、"The 京都!!"ていう感じの豪華な日本邸だった。
"祇園"、そこは舞妓さんが悠々と練り歩き、お偉いさんが遊ぶ場所。
こんな場所に俺がいてもいいのだろうか…
俺は自分の場違い感に体がソワソワして落ち着かなかった。
そうしてる間に社長は荘厳な門をヒョイっと通っていく。相当通っているのが分かった。俺も慌てて社長の後に続いた。

着物を着た綺麗なお姉さんに連れられて、とある一室に案内された。"カコーン"とししおどし(っていう名前だった気がする)の音が響くなんとも風情のある部屋だった。
俺はお姉さんに勧められて社長と一緒に座布団に座る。社長は胡座をかいて慣れた様に座った。社長の様に通っている人ならそんな風にしてもいいが、なんせ俺は初めてだ。胡座をかいて座れば行儀が悪いと思われるかもしれない。俺は慣れない正座で席についた。
何もかもが初めてで俺は落ち着きがなく辺りをキョロキョロと見回す。客が2人なのに用意された部屋は広くて、窓からは綺麗な庭がこれでもかと見えた。
社長は慣れた手つきで目の前に置いてあったお品書きに手を伸ばす。俺も社長の真似をしてお品書きを開いた。
ズラーっ!!と難しい漢字が並んだ文字が目に入ってくる。何も読めずに頭がパンクしつつも、内容が分かってるかの様に俺はお品書きに目を通していく。
「芸妓、雪見ほのか」
お品書きに目を通していく中でその文字はかろうじて読むことができた。

「失礼いたします」
「おっ、来たきた!」
そう言って1人の女の人がお酒をもって入って来た。白い肌に、赤い紅、黒色の綺麗な着物を着ている。とてもとても綺麗なお姉さんなのに、声は思ったよりハスキーでギャップがあってまたそれが可愛かった。
「本日お客様のお相手をさせていただく、雪見ほのかと申します。よろしゅうお願いいたします。」
お姉さんは深々と礼をする。社長も俺もそれに続いて礼を返した。
「ささ、まずは一杯どうぞお客さん。」
そう言われてお姉さん、雪見さんは俺たちのおちょこにお酒を注いだ。
「では、遠慮なく」
社長はそう言ってグイッと一杯お酒を飲んだ。
「い、いただきます」
俺も後に続いてお酒を飲む。喉に通った瞬間、グワッとお酒の熱さが伝わっていった。思わず顔を顰めてしまう。お酒は強い方だが、ここまで喉にくるお酒は初めてだった。
「かぁーっ!!うまい!!さぁさぁ、雪見さんも一杯!!」
社長は上機嫌に雪見さんにもお酒を勧める。
 「ありがとうございます。」
雪見さんもお酒を貰うとクイっと上品に飲んだ。
その後も、顔色一つ変えずにお酒を飲んでいく。

「いやぁ、やっぱりここは最高だねぇ!俺ぁ、もう最高の気分だよぉ。なぁ、雪見さんここでちょいと踊ってくれないかなぁ。」
だいぶ酔いが回ってきたのか、社長は少し呂律が回っていないなか、雪見さんに踊りをお願いした。
「かしこまりました。では、一曲踊らせていただきます。」
そう言って雪見さんはスッと立ち上がると部屋の真ん中に移動した。

どこからか三味線の音が鳴り出し、三味線に合わせて雪見さんは踊り出した。
しなやかに、ゆったりと、神経を研ぎ澄ませながら、扇子を持って踊っていく。
踊っている雪見さんは、まさに芸妓さんだった。
俺はその踊りに夢中になりながらも、社長のおちょこが空にならない様にお酒を入れていた。
「っ!〜ッ痛っててて…」
「おうおう、そんな律儀に慣れない正座をするからだぁ、ははっ!!!こういう場所は座りやすい格好をしてていんだよぉ」
「すんません。じゃあ、遠慮なく…」
「ほらほら、お前も飲め飲め!今日は雪見さんを呼んだんだ!パーっと飲もうじゃあないか!!」
ヒックとしゃっくりをしながら社長は俺にもどんどんお酒を仰ってくる。俺も気分が段々と良くなって、調子に乗ってお酒を飲み続けた。
そうしてる間に雪見さんの踊りは終わってしまった。
「いやぁ、流石京都一と呼ばれる芸妓さんだぁ!!」
ガハハッと豪快に笑いながら社長は雪見さんをおだてる。
「ありがとうございます」
「いや、こういう"日本"ってぇ踊りもいんだけど、もっと、こう、なんて言うの?調子の良い感じの踊りも見たいんだよねぇ。だから、も一曲踊ってくんないかい、雪見さん?お前も見たいよなぁ?」
「へ?あ、はい!もちろん、みたいです!!」
「では、もう一曲踊らせていただきます。」
そう言って雪見さんは再び部屋の真ん中へ移動した。
今度は、昭和の小気味良くて独特な節がどこからか流れ出し、それに合わせて雪見さんはテンポ良く踊り出す。
社長も俺も曲に合わせて手拍子をしながら楽しんだ。
「やっぱり、こうでなくっちゃなぁ!」
「すごいですね!」
「そうだろそうだろぉ!でもな、これはまだ始まりにすぎないんだよっ!面白くなるのはこっからだぞ♪」
社長はウキウキしながら雪見さんの踊りを見つめている。その目は踊りを楽しみながらも体を舐める様な目つきで見つめていて、鼻の下も伸びていた。これ以上の面白いことがあるなんて、いったいどんなコトなんだろう…
そう思っている間にもう雪見さんの踊りは終わっていた。
「いやぁ、素晴らしいっ!!!」
「ありがとうございます。ささ、次は社長さんもお楽しみのアレをやりたいと思います。」
「いよっ!待ってましたぁ!!」
"アレ"?アレとは一体なんなんだろう…
すると、再び三味線の音が鳴り出した。今度は最初と違って少し明るい感じで軽快に奏でている。
「ささ、いきますよ。お隣さんもご一緒に」
スッと雪見さんは右手を上げる。これは、ジャンケン…?
俺は雪見さんに促されて右手でジャンケンの準備をする。
「ジャーンケン、ぽん。」
曲に合わせて雪見さんとジャンケンをした。結果は、社長がグーで僕がチョキ、雪見さんはチョキを出した。
「いよぉっし!!!!」
社長はガッツポーズをする。
「あらまぁ、残念…」
そう言うと雪見さんは、突然目の前で帯の一部をほどき始めた。
シュルッと帯と着物の擦れる音が妙にハッキリと聞こえる。
社長が言っていたのはこのコトだったのか…!これは、たしかに、テンションが上がる…!
「それではもう一回、ジャーンケン、ぽん。」
今度は僕が雪見さんに勝った。
「おぉ!でかしたぞ!!流石俺の部下だぁ!」
シュルシュルと解かれていく。ほんの少しだけ雪見さんの首元が見えた。お酒のせいなのか、ほんのりと赤みがある様に見える。
ヤバい…色っぽい…
そうしてる間にどんどん雪見さんの着ているものが無くなり、ついに俺たちは着物の下に着ている布一枚まで雪見さんを脱がせる事に成功した。

「今回は、ここまでどす。」
突然、音楽が止まり雪見さんからストップの声がかかった。
お預けをくらった…。もっと見たい…。
「えぇぇ〜〜!!!なんだヨォ、もっと見せてくれたって良いじゃないか雪見さんンン!!!」
社長もお預けをくらうと思わなかったのか、残念そうな顔をした。
「これ以上は堪忍しとくれやす。」
「そこをなんとかぁ、頼むヨォ…」
社長が頼んでも雪見さんは首を振るばかり。
すると、社長は思い付いた様な顔をして、ポケットに手を入れた。
「雪見さん、雪見さんや、これでも貰ってくれ。」
そう言って社長はなんと諭吉さんを出して雪見さんに差し出した。
「こんな大金…困りますよ社長さん…」
「そこをなんとか頼むよぉ、雪見さんン」
社長が頼み込むが雪見さんの首はなかなか重い。
社長…頑張って…!!
「ほらほら、金ならいくらでもあるから…貰って貰って。だから頼むよ、雪見さんン、この通りだ。」
社長がついに頭を下げた。
「えぇ…どないしよかなぁ…」
雪見さんの声色が変わった。これは、もしや、あるかもだぞ…!もう少し…!
「俺からもお願いします…!!」
俺も社長に続いて頭を下げた。

「はぁ…ほんに、いけずなお客様方だこと。今回は特別どすえ。」
ガバッと俺と社長は勢いよく顔を上げる。
「うぉぉぉ!!ありがとうございますぅ!!流石京都一の雪見さんだァァ」
2人で顔を合わせて喜び合っていると、雪見さんはふふっと口元を隠して笑いながら部屋の真ん中へ移動する。そして、再び曲がかかった。

シュルシュルと布を纏める紐が解かれていく。
ゴクリと俺は思わず生唾を飲み込んだ。
そして最後の紐が解かれる時、雪見さんはチラリと俺と社長の方を見た。
社長と俺は顔を見合わす。
そして2人で納得した様に頷くと雪見さんの紐を2人で掴んで引っ張った。
クルクルと回りながら雪見さんの体がついに露わになる。
ほんのりと赤みがかった体、ハリのある見事なお尻、そしてマシュマロの様に柔らかそうなふっくらとした膨らみと熟された様に赤みが増した乳房が目の前に現れた。
俺と社長は息を呑み、その体に見惚れながら歓声をあげる。
雪見さんはにこりと微笑むと裸のまま再び踊り出した。
裸で踊る雪見さんは本当にどこを見ても綺麗で、俺は食い入る様に見つめていた。綺麗な裸を見ながら飲むお酒は最高に美味かった。
お酒もどんどん進んでいく。
そして、雪見さんの踊りが終わる頃には俺も社長もグデングデンに酔っ払ってしまっていた。

「いやぁ、さいこうだよぉゆきみさんン。ヒックおれぁテンションあがってきちゃったなぁぁ、ヒックあついあついィ」
「さいこうでしたねぇしゃちょおぉ!!おれもなんらかあつくなってきてしまいましたぁぁ」
「あぁ、お客さん、そんな堪忍してください。アッ、やめてぇ。やめてくんなしィ」
「いいじゃないかぁよぉゆきみさんンンン」
「ゆきみさんンン♡」
「あぁぁァァれぇぇぇェェ…」

そこから先のことはよく覚えていない。ただ、一つ言えることは京都は最高だったと言うことだ。
あぁ、楽しかったなぁ…!!また社長と一緒に行きたいなぁ…!
京都最高!!祇園最高ゥゥ!!!!

終わり。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?