夜神 夏

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黒ばらチームショー妄想小説

朗読の前、私はいつも同じ妄想をしている。 広い広い砂浜に立っている一本の桜の木。桜の花弁が散る下に、私は座ってただただ波の音を聞いている。 その波の音に身を任せながら、夢か現実か分からなくなる程の深い深い暗闇へと身を預けていくのだ。 「秀子、皆に朗読を聴かせて差し上げなさい。」 叔父様の声が遠くで聞こえた。 「…はい、叔父様。」 自分の声が卑猥な言葉を紡ぐ度に、ねっとりと重い何かがのしかかり、私を縛り上げていく。最初は苦しさで息をするのも辛かったが、もうその息苦しさも感じなく

    • 1章:色違い

      まだまだ残暑が厳しい日の中、聖ロック座女学園では着々と「夢幻」に向けての稽古が進んでいた。 ある日の稽古終わり、 「んー??おかしいなぁ…」 「武藤先輩どうしたんですか?」 「僕の使ってたSeaBreezeがないんだよねぇ…」 各々が片付けをしてる中、武藤は自分が愛用しているボディケア用品がない事に気づき探していた。 「これじゃないんですか?」 「色が違うから僕のじゃないんだよねぇ」 棚に置いてあったはずなのだが、辺りを探しても見つからず同じブランドの色違いの物がぽつんと取り

      • 聖ロック座女学園〜秋の文化祭編〜

        0章 秋風が薫る頃、聖ロック座女学園では秋の学園祭が開かれる。 その学園祭では、生徒会によって学園中の生徒から選出された生徒達による劇が行われる。今年の劇のテーマは「源氏物語」に決まった。 そしてある日、生徒会から劇の配役が決定したとのお知らせが届き、タイトルと配役が書かれた紙が掲示板に掲載された。 第75回聖ロック座女学園 劇タイトル「夢幻」 配役 光源氏:武藤つぐみ 朧月夜・葵の上:白鳥すわん 若紫:椿りんね 夕顔:須王愛 六条御息所:橋下まこ 明石の君:ゆきな 紫の

        • 京都の思い出

          俺は新入社員の藤川菜緒。 今回は三村社長のお付きとして京都に来ている。無事何事もなく会議も終わり、俺と社長は居酒屋で酒を呑んで労った。 社長は仕事に対して厳しいが、自分の指導に折れずについてくる俺の事を気に入ったのか、最近はこうして自分の付き人として俺の事を可愛がってくれている。俺も、厳しいが色んな場面で助けてくれる社長のことを上司として好いていた。 「おっともうこんな時間か。藤川、今日は早めに切り上げるぞー。お前を連れていきたい所があるんだ。」 お酒でほろ酔いしている三村社