海 『1/f』・夢で運転するということ
車の運転は好きというほどでもないけれど、海に行くための運転は好きだ。
海の近くに住んでいた頃、朝、潮の香りがすると、一人で午前中いっぱい海のそばで過ごしていた。
簡単なサンドウィッチを作って、温かい飲み物を持って。
10分も運転すれば、海岸に着く。
夏以外の季節は、海岸に人影はまばらだ。
ストールを膝掛けにして、好きな本を読んで、たまにボーッと聞こえる船の汽笛に目をあげると、遠くの方に船が見える。
白いカモメが横切ったり、お散歩中の犬が駆けて行く。
海の音を聞いているだけで、ささくれだった気持ちが落ち着いてくる。
これが『1/fゆらぎ』のリズムか・・・。
心臓の音。呼吸のタイミング。体温の変化。
私たちの中で繰り返されるリズム。
それらが、自然界の音と共鳴することで、癒やしや安心感をもたらすと聞いたことがある。
そして、それは胎内で聞いていた音にも近いらしい。
夕方から海に行く時には、日が沈むのを静かに眺めていた。
ただ座って、風に吹かれていると、悩んでいたことを忘れて頭が空になる。
寄せ返す、波の音。
「もう、どうでもいいなあ・・・。」
海に行くと、そう思えるのだ。
夜は、工場地帯の夜景が綺麗だ。
泣きながらスピードを上げて運転して海へ。
しばらく眺めて帰ったこともある。
潮風で浄化されたかのように落ち着いたら、帰るのだ。
今は、海から遠いところにいる。
運転もしなくなってしまった。
夢の中で運転する自分が出てきたら、それは、これから自分で人生の舵取りをしていく、という意味になる。
助手席や、後部座席にいたら、誰かの人生に依存している状態だ。
クラシックな車を、ぶつけながら、コントロールしながら運転している夢を見た。
自分で言うのはなんだけれど、私はここまで運転が下手ではないはずだ。
今、軌道に載せようと頑張っているのかな・・・。
海は、近くにあっただろうか?
思い出せない。
海に行きたくなってきた。
『1/fゆらぎ』が恋しい。
書くこと、描くことを続けていきたいと思います。