おとぎ話の解釈
白雪姫の本当のお話は、ディズニー映画の王子様とのハッピーエンドとは違っていて、結末は怖いものでした。
おとぎ話の解釈についての学びは、とても面白いものでした。
「お妃さま、あなたがここでは一番美しい、けれど若い女王様はあなたの何倍も美しい。」これを聞いて妃は驚きました。そしてとてもとても不安で、不安で、言いようもないほど不安でした。けれども妬ましい気持ちに駆られて、結婚式で若い女王を見たいと思いました。そして、行ってみると、それが白雪姫だとわかりました。結婚式で、そこには鉄の上履きが火の中で真っ赤に焼かれていて、妃はそれを履いて踊らなくてはなりませんでした。足はひどい火傷になりました。
けれども死んでしまうまで、踊りをやめさせてはもらえませんでした。
「白雪姫」は、嫉妬と女性の自立の物語として捉えられるのです。
絵画療法、夢分析のシンボルの理解は実に深いと思います。
火は情念、そして熱い鉄板の上で踊る様は、嫉妬そのものです。
前半に出てくる森は無意識であり、豊かな場所。森に入っていくというのは無意識に入っていく、という意味です。
狩人は本能の生かし方を知っている教師のように捉えられます。
生きていくために必要な課題として、「胸(胸紐)、頭(くし)、林檎」がシンボルとして出てきますが、それらは、エネルギーであり、知識であり、欲望とも解釈でき、眠ってしまうことで熟成させる意味があるのだそうです。
ものごとを熟成させるためには、静かな時間を持つ必要がある、と受け取ります。
素直で、信じやすく、行動的で従順な白雪姫は、妃の仕掛けてくることに対峙していくうちに、女性としての自立を果たしていくのです。
「知識」を生かす「知恵」がないとならない。
つまり、「生きた知識」にするという命題があります。
グレートマザーとしての妃。小人はトリックスター。
ペルソナ、シャドウ、アニムス、アニマ、そしてセルフなど、ユング心理学の元型論から見ていくと、いろいろなことがわかってきます。
数字の解釈は、特に興味深いものです。
1、はじまり
2、バランス、パートナーシップ、対立概念
3、統合、新しいものが生まれる
4、安定(机の足のような安定)
5、変化しなさいという意
6、3角形が重なる6角形は、3角形より高次の統合という存在となる
(6以上の数字は精神性の領域になります)
7、一つの周期の終わり
(12は、実際の終わりとなり、13を超えると異次元に入ると解釈する)
これらは、人間の7つのチャクラに連動しているともいいます。
小人は?7人でした。
3という数字は、おとぎ話によく出てくるそうですが、
血が三滴・・・という表現が出てきた時には、赤ちゃんが生まれたという意味となります。
上記に照らしても、「新しいものが生まれる」という解釈に当てはまります。
一般的に、奇数は不安定、偶数は安定と解釈します。
ユングはもちろん、エドガー・ケイシーセンターでも研鑽された先生のお話によると、林檎を生で食べるのは、林檎ダイエットのみで、エドガー・ケイシーは、林檎は生では食べないものとしたそうです。
林檎を生で噛む、ということは、知識を得るとも解釈できるといいます。
益々深さを感じます。
他の例では、どうでしょう。
典型的な男の子のおとぎ話のドラゴン退治は、成人するまでに自分のエネルギーをどう使うか?という命題を持っています。
また、グリム童話にも日本民話にもある「手なしむすめ」の話は、親が娘の手を切って追い出す話です。
手がないということは、自分の価値観がまだない、という意味ですが、自分の手を切り落とすような親の価値観では生きてはいけないので、自分の価値を探していくということになります。
夫への手紙を悪魔や鬼にすりかえられてしまい、その結果、姑にも産んだ子供を背負わされて追い出されるむすめ。
歩き続けて喉が渇き、川の水を飲もうとした瞬間に子供を落としそうになります。
その時に、愛から手が出ます。
自分の価値観を持って、夫と一緒にその後の人生を生きていくことになります。
また、ヘンデルとグレーテルは、魔女(グレートマザー)を倒します。
親殺しのお話ということになります。
親殺しとは「親の価値観を手放す」ということで、実際のことではありませんから、悪いことではなく、親にはじめてNO!を言える状態になるということです。
これは、親が死んだ夢の解釈とも同じです。
自分と親を分離させる通過儀礼として、夢を見るのだそうです。
河合隼雄さんの「昔話の深層」には、
その他の物語についての解釈も書かれています。
人間の魂、自分の心の奥には何があるのか。"心の専門家"の目であのグリム童話を読むと・・・・・・生と死が、親と子が、父と母が、男と女が、そしてもう一人の自分が、まったく新しい顔を心の内にのぞかせる。まだまだ未知に満ちた自分の心を知り、いかに自己実現するかをユング心理学でかみくだいた、人生の処方箋。
童話、神話、民話から読み取れる深層は、思いがけず、生きていくのに必要不可欠な知恵を私たちにもたらしてくれます。