見出し画像

切り株兄弟とアイスブルー

緊急事態宣言の最中、人の少ない時間を選んで、近くの公園を散歩した。
ベンチで本を読んだり、音楽を聞いたり、瞑想をしたり・・・。

武蔵野のこの公園は、森林の香りがする。
朝や雨の後は、特に良い香りがする。
お気に入りのベンチの場所まで、池の周りを深呼吸しながら歩く。

画像1

途中に大きなイチョウの木がある。
2本並んでいて、どちらも頼り甲斐のある太い幹をしている。
このイチョウの木に会いに行っていると言ってもいいくらい、好きな場所だ。

画像2

ハワイのホ・オポノポノでは、『アイスブルー』と言って植物に触れると、
いろいろな情報のクリーニングが行われるという。

その際には、木に「触れてもいいですか?」とお断りをしてから。

いつも、この2本のイチョウの木に断ってから、手のひらを当ててみる。
心の奥が癒されるような感じがする。
木の幹からパワーをもらって、お気に入りのベンチまで再び歩く。

画像3


公園のベンチはたくさんあるのだが、気にっているベンチは2箇所。
ひとつは、遠くの橋まで見渡せる景色の良いところ。
たまに、キラキラ光るようなエメラルドグリーンのカワセミに会える。
ずっとカメラを構えているおじさまを差し置いて、到着して10分足らずでカワセミを見つけた時は、
「ラッキーだよ!そんなに頻繁に会えないんだよ!」
と話しかけてもらった。


画像4


もうひとつは、ベンチの前に枝が垂れて、包まれているような感じがする場所だ。
木のエネルギーが頭の上から覆いかぶさるような場所で、ほっとできる。

画像5



このベンチの後ろには、大きな切り株がある。
そして、毎度毎度、その切り株に男の子が二人で座っていた。

切り株に座るには、既に大きいような・・・中学生と小学校高学年くらいの。
ぴったりくっついて、一つの切り株に二人で座っている。
二人とも眼鏡をかけていて、タイプでいうとのび太くんのような感じ。
兄弟のように見えた。

聞いてはいけないと思いながら、二人の会話は耳に入ってくる。

とても難しい生物や化学の話をしているようだ。
と思っていたら、そのうちに家に帰りたくない話になっていた。
本来なら、学校に行っている時間だけれど、休校中である。
他には子どもは見かけない時間だ。
何か、家庭の事情かもしれない・・・。
などとお節介なことを考えそうになった。

いやいや、しかし・・・。
もしかすると。

ここからは、そうあってくれたら嬉しい、という私の妄想。
あの二人は狭いだろうに、大きさに合わない切り株に二人で座っているなんて、不思議だ。
さっき、挨拶をしてきた2本のイチョウの木の精霊だったらいいのにな。
そして、私がわからないような話をしながらも、近くにいてくれていることにしたい。

『アイスブルー。アイスブルー。アイスブルー。』

アイスブルーは、氷河の水の色。
前述の通り、植物のエネルギーが嫌な記憶を消去してくれるらしい。
そのために、木に触れながら唱える言葉。

そして、

『ありがとう。ごめんなさい。許してください。愛しています。』

ホ・オポノポノでは、この4つの言葉を繰り返し唱えるのだった。
感情は込めなくても良い。ただ、唱える。
それによって、自分の周りの世界が変わっていくよ、という、昔からハワイに伝わる問題解決方法。
太古の歴史が私たちの潜在意識に蓄積され、その記憶が感情や思考となって表れているので、クリーニングするために唱えるらしい。


家に帰りたくない切り株兄弟より、いつも私が先にベンチを去ることになる。
気になるけれど、彼らはいつまでも立ち上がる気配がない。
よくよく見ると、切り株の手前には結界のように円柱のブロックが植えられていて、入ってこないでね!と言っているみたいだ。

私が帰るのを見届けてくれて、
ただ、イチョウの木のところまで戻るのだといいな。







いいなと思ったら応援しよう!

LUNA.N.
書くこと、描くことを続けていきたいと思います。