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置き土産と共に去った人

働いていてもプライベートでも出会いと別れは常にツキモノですよね。
縁があればまたどこかで続くし、縁がなければ二度と出会わないし。
去年に起きた出来事でこれからも忘れられなくなるであろう思い出があるので綴ってみたいと思います。

昨年、7月か8月頃に背が高くて天然パーマが特徴的な人が職場に入ってきました。
非常に物静かで無口で大人しい雰囲気の人なのに着ている服は「Rancid」だったり「NOFX」だったり・・・。結構激しい目のバンドTシャツ・・・。
そんなギャップが気になりすぎて服の話をネタに声をかけてみました。
メロコアよりもハードコアが好きだというHさん。(にしておきましょう。)
そのHさんがある日、昼休憩中に本を読んでいました。
それも気になる私も私ですが、読んでいる本のタイトルを尋ねたところ。
西村賢太氏の「苦役列車」でした。
人は見かけによらず、ってやつですね。
丁度、そのとき私は読書を再開していたので電子書籍版で購入。
主人公の貫太には女の私には全く同情できないわぁ~なんていう感想をHさんに素直にぶちまけていました。
そしたら、Hさん笑いながら一言。

「貫太シリーズなら「小銭を数える」がオススメやけどね。「苦役列車」の続編やし。」

その一言に素直に「小銭を数える」を電子書籍で購入。
そのタイミングでHさんは職場を去っていきました。
一緒に働いたのは3ヶ月も満たなかったけど、元々出会いと別れの多い職場なので、きっと新しい仕事を見つけて頑張っているんだろうと私は思っている。

置き土産を残してさらっと去っていく。寅さんの映画をちゃんと見たことはないけど、なんだかフーテンの寅さんみたいだった。

いつかまたどこかで会えたなら伝えたい言葉がある。

「小銭を数える」途中まで読んだよ、って。

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