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夜明けのすべて

去年の今頃、夜明けのすべてを観に行った。勿論原作も読んだ。
人によって壁と感じるものは違う。今まで壁と思わなかったものがある日突然壁になることもある。良いことも悪いことも何が起こるかわからないのが人生だと思う。生きづらさを人生において全く感じない人はいないと思う。
拙い感想だが、思ったことを綴っていきたい。生きづらさを感じている人にこそ触れてほしい作品だと思った。


作品名の英語版タイトルについて


”all the long nights”、これが英語版タイトルとなっている。この表題を見てその言い回しに感動した。この作品のテーマに非常にマッチした言い回しだと思った。個人的な意見だが、主人公達の抱える生きづらさが見事にタイトルに反映されている言い回しだと思った。
自分自身、生きづらさを抱え、海の底を歩いているような何とも言えない孤独と出来ないことが増えていく怖さを感じながら毎日を過ごしてきた。山添くんの気持ちが痛いほどわかる。決して明けることのない夜に迷い込んだような気持ちでいつまでこの状態が続くのかと思い悩む毎日だった。それがこのタイトルを見た瞬間、今この時は長い夜なだけなのだと思えた。いつか必ず明ける日が来ると希望が持てた。

夜明け前が一番暗い


映画館に着くとブックマークが売っていた。夜明け前の空が一番暗いことから来た名言だそうで、転じて苦しい状況は終わりかけの時が一番辛いということらしい。一向に良くならない状況に辛さを感じていたので、この言葉にもすごく救われた。
非常に苦しいと思っていてもそこがピークであとは良くなっていくのだと希望が持てた。良いことも永遠には続かないけれども、悪いことや辛いことも底なし沼ではなく必ず底があって浮上できる時が来るのだと思えた。

感想


誇張されず丁寧にリアルに描かれていたことに率直に感動した。多くは語らないが、作中で触れられている病は他人から見たら非常にわかりづらい部類のものだと思う。症状や出来ないことも人によって多種多様。誤解もされやすい。
PMSもそうだが、ある特定の場面や時期でだけ症状が出るということは逆に言えばそれ以外の場面や時期は普通に見える。それ故に苦しみも中々伝わりづらく理解されづらい側面がある。

周りの人は普通にできていること、以前はできていたことができないもどかしさを抱える身として、山添くんの行動の意図が非常にわかると思いながら見ていた。

勿論場面や時期関係なく症状のある病に苦しんでいる人もいる。目に見えなくても、普通に見えてもギリギリの状態で生きている人は思っている以上に多いと思う。
人間は万能ではない。肉体も心も許容量以上の負荷がかかれば簡単に壊れる。だからこそ出来ないことを互いに補完し合いながら支え合える社会になって欲しいと思う。

役者の想いに感動


優しい世界観に感銘を受けて、山添くん役を演じた松村さんのインタビュー記事をいくつか読んだ。

記事を読んで率直に山添くんと同じ病を抱える当事者の生きづらさを何故ここまで理解出来るのだろうと思う程、的確に掴んでいて心を打たれた。こうやってわかってくれる・わかろうとしてくれる人がいるということが希望の見えない毎日の中では一筋の光に思えた。作品や役への姿勢にこちら側まで大切にされているような温かい気持ちになった。

同じ病を抱える人は少なくないとは思うが、同じ思いをする人が少しでも少なくなってほしいと心から思う。

最後に


作中で触れられているPMSやパニック障害に限らず生きづらさを感じている人には是非お勧めしたい。
明けない夜はない。何事も永遠はないのだ。いつかこの長い夜が終わって、夜明けを迎えられると信じて過ごしていきたい。

今日のつぶやき
松村さんの名前に因んだものなのか、北斗七星が映せるボールペンが当時売っていた。星が好きなので、時々部屋に映して楽しんでいる。

「普通」に見える人も実は人知れず生きづらさを抱えているかもしれない。そんな想像力を持って皆がお互いを尊重し合えるような社会になってほしい。

北斗七星

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