やり続けないと形にならない。顔も知らない他人がこぼしたパン屑をいっしょうけんめい集めてパンを作ろうと指先で捏ねているような、または消しカスを集めてただただ練っているような、振り返れば制作ってこんな感じ。もうちょっとましな表現はなかったのか? 腰が痛くならないように設計された椅子の上でわざわざあぐらをかいて、机にだらしなく寄りかかりながら、目玉が画面の外へ泳いで逃げようとするたび意識を戻そうと水筒に手を伸ばす。やってはいる、考えてはいる、でも生産の手応えのない時間。 自分が
冬がめっちゃ苦手です。 日照時間の短さと寒さのせいでネガティブになりやすいこの時期は、創造力も働かないし身体も動きにくい。ずっとお布団にいたい。冬眠したい。会社のパソコンの前で本日10回目のあくび。お昼休みにしっかり昼寝をしたにもかかわらず。 そういえばこないだ暇つぶしに立ち寄ったユニクロで配布してたフリーペーパーをペラペラめくってたんだけど、無料とは思えないクオリティで驚いた。最近のファッション誌は付録がメインの安っぽいカタログ化してて(SHIENを特集してたときは目が
デザフェス、AdobeMAXの東京2連発お疲れ様でした自分。 まさか一週間と空けず大阪と東京ビッグサイトを二往復する人生が来るなんて思いもしなかったね。 他のデザイナーさんと違って、私は幼少期から絵を描いていたわけでも、アートに傾倒してる身内がいるわけでも、芸大卒なわけでもない。将来は医療従事者になる予定だった、ただの実力不足で夢敗れた凡人のうちの一人だ。グラフィックデザイナーを目指すことにしたのも、フリーター時代の苦手な接客業から逃げるための口実に過ぎなかった。 それで
長いようで短い二日間だった。帰りの地下鉄、どうでもいい広告を目に映しながらネガティブな妄想を繰り返す脳みそを壁で冷やす。 帰省して二日目のお見舞いは、終始ハッピーだった。祖母が一般病棟に移ったのだ。 「今日はどんな様子やろか」と空元気な声の祖父を乗せて、お昼過ぎに私たちは出発した。昨日は沈黙が気まずくて、毒にも薬にもならない話題を探すのに頭を使ったが、今日はだんじりの試験曳きで母が始終キレていた。「迷惑やわ!勝手に道封鎖して」。 病院の駐車場に入ってまもなく、耳慣れない着
こんなに乗り気じゃない帰省は初めてだった。祖父が入院したことはあったけど、それは補聴器を体内に埋め込む手術のためで、よりよい未来を得るためだった。今回はそうじゃない。 病院は大きくて、綺麗だった。入る前から薬品独特の清潔な匂いがして、ちょっとテンションがあがる。妙に緊張しているせいで、しょうもないことにはしゃいでしまう。 壁も白、手すりも白、天井も白、ICUの部屋に続く廊下はどこまでも真っ白だった。母が面会の手続きをしている間、祖父と一緒にベンチに座って、スマホをいじる。祖
いつも絵文字やスタンプで賑わう家族のグループラインは、一昨日から文字だけが並んでいた。 〔週末帰ろか?〕送信して仕事に戻ろうとスマホを置くやいなや、バイブが鳴った。いつもより返信が早い。着信にいつもで気づけるように気を配っているのかもしれない。 〔おばあちゃんまだ意識あるからあんたってちゃんとわかるやろうし、いつ急変するやわからんから顔見に来たって。来週は母フラダンスのレッスンがあるのでいけません。〕 人一人の命がこの世から消えるかもしれない深刻さと、母のぬるい未来が、画面
アマゾンのプライムリーディングで無料だった二巻目まで読んで、すっごい好みだと思ったのに読み進めるにつれて好きじゃなくなった、という感想を以下にしたためます。 この漫画は、私の分類でいう「気づき系」で、人々が日々無視している、あるいは慣れてしまった違和感や、「こうしなければならない」という世の中から刷り込まれた意識を、主人公が人間関係の中で解いてゆくストーリーだと思いました。 なので、最初の二巻には驚かされたというか、はっとする言葉が多かった。主人公(高校生)と叔母のやりとり
朝7時。意外といつも通りの時間に目が覚めた。 今日はお盆休み明け一日目。終わりの見えないカウントアップの始まりだ。 いつもより多めに寂しさを抱えた憂鬱な体を起こして、生活を忘れている自分の家をぼうっと眺める。帰宅してから机の上に置きっぱなしになっている紙袋が目に入り、レトルトや食材を私のためにせっせと詰めてくれた実家の母の姿が脳裏に蘇った。もう一度ベッドに沈みたくなった。 我が家に帰ってきたのにホームシックになっている皮肉に気づかないほど、寂しさで具合が悪い。気を紛らわせよ
バケツをひっくり返したような雨を、篠突く雨と言うらしい。 窓のすきまから雨が入り、サッシに小さくはねているのが見える。 体に巻きついたシーツを蹴って、寝返りをうった。 雲に照らされた部屋を薄目で眺める。眩しく光る白い床、疲れた木目の本棚、脱ぎ捨て色彩を失った服。このマンションの一室以外全てが雨に溶かされたのかと思うくらい、雨音以外何も聞こえない。ベッドのはじに追いやられたスマホに手を伸ばしたが、気が変わって床へ払い落とす。ブルーライトなんてくそ。 このままずっと雨が降り、
家に三人の見知らぬ男が来た。いらっしゃいませ、どうぞこちらへ。パソコン用の椅子しかないので皆様床へ座ってください。男三人が1Kの小さい面積を吟味している間、私は彼らが勝手に自分のベッドへあがらないように見張った。そういうところだけ潔癖症なのだ。ずるずると本棚の横に腰を落ち着けた三人は声を合わせてこういった「ハイボール三つ」。この場合ハイボールは三杯なのか九杯なのか?半畳ほどのおまけみたいなキッチンにグラスを二つだけ見つける。常温のままほったらかしになっていたペットボトルを注ぎ
嫌いな時間 「すぐかけなおす」のすぐ 「改めてかけします」の改めるまで きりどきのタイミングを逃し続ける 好きな時間 通話が終わったあとの開放感 こちらからかけて相手が出なかった時 私は電話が嫌い。「電話」という言葉のせいで、会話が聞く・話す、に二分されてしまい頭が回らなくなるので。 相手の聴きながらメモを取り返事をするなんて、残念ながら一度に三つもリアクションできるほど器用じゃない。 同じく嫌いなの要件を済ませたのにも関わらず雑談が伸びてやまない人。適当な返事でご自身の
先週末もポップアップ、ご来店ありがとうございました。 ビル風が吹きすさぶ日陰の当店も今年の夏には完敗。一日中いてると汗でべたべた、ビル風で髪がぼさぼさ。べたべたよりぼさぼさの髪の痛みの方がブリーチ民には死活問題です。帰宅後すぐにヘアパック。 灼熱地獄と話題になっているからか、日本橋の人通りも少なかったですね。ま、こんな暑かったら「家でゲーム」が休日の正解ですな。。 そんな夏休み直前のみなさまのために、るんるんゼミ陰キャラ講座が開講されました。 気になったTシャツをぽちっ
ヨガの帰り道に、でかい缶の形をしたリュックにたかる群れをを発見した。レッドブル無料配りだ。 私はこの品のないPRが嫌いだ。渡してきても受け取らないぞという意思を顔に貼り付け傍を通り過ぎようすると「お姉さんもどうですか」と声をかけられる。視線はあっけなく手に握られたレッドブルへ。「あ、CMで見たことある〜」と白々しい返事をする自分が悲しい。はいどうぞ、と輝く笑顔の日焼けした兄さんからレッドブルを受け取る。無料に釣られたんじゃなくてお兄さんの笑顔が素敵だから受け取ったんですと
文庫本のページが鞄の中で折れていた。 ヨガ教室で、無料配布のチョコレートをもらった。フラクトオリゴ糖、糖として吸収されない糖質でできたチョコレート。なんだかガムみたい。 母に会社を辞める予定だと伝えてみた。目を丸くして「そう」としか言わなかった。母はあまり本音を言わず、基本的にノンバーバルで感情を伝えてくる。どうせなら手先の器用さが遺伝してほしかった。 今読んでいる本の話がややこしくて、定期的に内容を思い出しておかないと理解が滑り抜けてしまいそう。早く読み終えてしまいた
「清潔感」を、独自の単位にしている友達がいる。 彼曰く、三吉彩花は清潔、小松菜奈はぎり清潔、池田エライザは不潔らしい。 いや全員芸能人や!清潔に決まっとうやろ!というツッコミは我慢した。なぜなら本人は誰の反論も受け入れない姿勢で強く断言しており、ついでに「ちひろちゃんは清潔だよ」と言ってくれたので(ちょろい)。 暫く経ってある日、実家でつけっぱなしにしていたテレビにたまたま池田エライザが映った。彼との会話を思い出し、池田エライザに不潔感を見出そうとできるだけ彼の思考に近づい
さっきのDJがすごく良かった。 ノースリーブのハイネックトップスにピンク色のマスクをつけて、茶髪、後ろで結っていた。どこにでもいるような、綺麗めの女性。ノイジーな音を巧みにメロディへ換えていた。 その女性は照明のせいか、とても色っぽかった。 対して私は自分が無様な存在に思えた。 ホルモンバランスか生まれもった性質かわからないけど、私には定期的に自分全否定期がある。 誰でもない自分自身になるためにできることってなんだろう。綺麗な人(しかもありふれている)を見たらすぐにぶれ